見出し画像

犬と猫はなぜ定番のペットになり得たのか?

街頭インタビューで「あなたの飼っているペットは?」と聞いたときにどこの国でも不動のワンツーフィニッシュを飾る犬と猫。

なぜ彼らは人間のペットの定番になり得たのだろうか?

飼っているペット数ランキングのようなものを見てみると、犬や猫に続くのは観賞魚、鳥、ハムスター、カメ、ウサギ、昆虫、カエルやサンショウウオなどの両生類、ハムスター以外の齧歯げっし類、カメ以外の爬虫類となっている(順番については調査年により前後あり)。

しかし3位以下はドングリの背比べ状態であり、圧倒的な過半数を占めているのは犬と猫なのだ。

ビジュアルの可愛さだけで言ったらウサギやハムスターだって負けていないのに、どうして犬や猫でなければならなかったのか?

現代では犬や猫を飼っている理由の大半は愛玩目的だが、実は歴史を紐解くとそこには必然的な筋道が存在したのだ。

先人たちはなぜ犬と猫を飼ったのか?

犬を飼った理由

かつてより人びとが犬を飼った最大の理由は防犯目的である。

今でこそ各家庭では玄関に鍵をかけるのが常識となっているが、昭和時代までは田舎のほとんどの家は鍵自体は存在しても施錠しないで外出することが多かった。

ましてやもっと前の時代には鍵という概念自体が存在しなかったのだ。

しかし泥棒や不審者というものがいなかったわけではない。

エジプトのピラミッドの財宝が根こそぎ無くなっているように、どんな時代でも高価な物がある場所なら盗人は現れた。

ではなぜ鍵をしなくても平気だったかと言えば、単純に家のなかに金目の物がほとんどなかったからである。

現代の先進国では総中流階級と言われるほど各家庭は恵まれているが、高度経済成長期以前はほとんどの国民は農民であり貧しい暮らしをしていた。

それゆえスマートな忍びは一部の資産家の家だけを狙って侵入したのだ。

だが昨今でもコンビニ強盗をしてたった1万円だけ取って捕まるバカがいるように、いつの時代でもバカはいるものだ。

貧しい民家から僅かばかりの金銭や食べ物を盗む輩というものはやはりいた。

その防犯のために、犬を飼っているとコソ泥の足音に敏感に吠えてくれるので有効だったのだ。

21世紀の今はペットとして人気なのはあまり吠えない小さくて大人しい犬種だが、この時代は特に吠え声が大きく体長も大きな犬種が重宝された。

猫を飼った理由

猫にも広く飼われていた正当な理由が存在し、それはネズミ対策である。

家に食糧、とりわけ米を保管しているとすぐにネズミが沸くものだ。

現代でこそプラスチックケースのようなネズミが齧れない入れ物に保管しておくことができるが、紙袋や木製の飯櫃めしびつのようなものではネズミが平気で齧って穴を空けてしまう。

ネズミは米をたらふく食べて糞を撒き散らし、鼠算式という言葉があるように人間が栽培した栄養満点の餌のおかげでいとも簡単に繁殖して途轍もないスピードで増えて疫病を蔓延させる。

昔の人びとはこれに頭を悩ませ、ネズミの天敵である猫を飼うようになったのだ。

猫は肉食動物なのでネズミを食べることもできるし走り回って追い立てることもできる。

家を守ってくれる有能なハンターだったわけだ。

他の動物は?

残念な話だが、人気ペットランキングの3位以下の動物のほとんどは犬や猫のように家を守ってもらう存在として飼われていたわけではなく、かつては食用として飼われていた。

あんなに可愛いウサギちゃんを貴重なタンパク源として昔の人びとは食べていたのだ。

牛や豚は個体が高くて買えないうえに、一般の家庭では屠殺して解体しても食べきれずにすぐに腐ってしまうし、そもそもその作業自体がたいへんな重労働だった。

そのため鶏やウサギのような小さめの動物が食べきりサイズとして需要があったということだ。

現代でも一部の発展途上地域では犬や猫を食用している国もあるが、犬や猫はそのように家の守り神であるため先進国では彼らが死亡した場合でも食べずに埋葬、場合によっては火葬する。

同じ「動物」でも種族が違うだけでこのように扱いが違うのだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?