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言語の起源とそれ以前のコミュニケーション方法

人は言語を用いてコミュニケーションをとり、歴史的な史料などは言語があったおかげで保存され、後世の人間が過去を知る手がかりとなっている。

耳が聞こえない人は点字を使用し、喋れない人は筆談し、目が見えない人も言語を用いてコミュニケーションをとる。

このブログ自体も言語を用いて表現されており、あなたは日本語を読むことができ意味がわかるのでこのページを単なる図柄と認識せず言語学に関する文の羅列だと理解している。

人類がいつ/なぜ/どのように言語を使い始めたのかについては言語学上の未解決問題であるが、会話が先か文字が先かに関してはほとんどの研究者が文字を使うより話し始めたのが先だと言っている。

動物の鳴き声もよく聞けば毎回同じ音で吠えたり鳴いたりしているわけではないことに気づき、それは何かしらのニュアンスの違いによって仲間への合図だったり注意喚起だったり喜びの表現だったりと意味合いを変えているようだ。

ダーウィンの進化論に基づき、人類は進化のプロセスにおいて徐々に言語を形成していったという多くの研究者の説(連続性理論)に対して、アメリカ合衆国の権威ある言語学者ノーム・チョムスキー氏は不連続性理論を提唱し、体系的な言語は突然変異的に生まれたと考えている。

一般的な見解では言語という複雑な体系は何もないところから急に完全な形として現れるはずがなく、動物的な鳴き声や吠え声といった太古の霊長類が使っていた前言語的なものから発展してきたとされている。

霊長類のコミュニケーション

大型の類人猿などの霊長類が鳴き声を発した際、たとえ分類上では異なる種族であってもその鳴き声から発話者の精神的あるいは肉体的な状態の微妙な変化を感じとることができるようだ。

類人猿の咽頭の解剖学的構造では人間のように多彩な音色を奏でることはできないため、彼らは数種類の音程の差、長さの差、リズムの変化などを使いこなして状況を表現する。

霊長類の脳のブローカ野(運動性言語中枢)やウェルニッケ野(知覚性言語中枢)は音を認識するだけでなく、顔面、舌、口唇、咽頭の筋肉を制御する機能ももつ。

音声的な鳴き声は脳幹や大脳辺縁系の神経回路によって作られると考えられてきたが、近年の研究ではチンパンジーはブローカ野を使って鳴いていることがわかった。

数百万年前の初期の人類は二足歩行し始めたことによって声道がL字化し、このことが咽頭を頸部の下のほうに下げ、母音などの発声ができるようになったと考える研究者がいるが、咽頭の位置の低さと発声能力の発展の因果関係はないとも考えられている。

ホモ・エルガステルはヒト科の動物で初めて声を発したと考えられており、それをホモ・ハイデルベルゲンシスが継承し発展させたと見られている。

ホモ・ネアンデルターレンシス(ネアンデルタール人)は現生人類とほとんど同じだけの音声を発する能力を有していたと考えられ、舌下神経は神経管を通って舌の運動を制御しているが、30万年以上前に生きていたヒト科動物の舌下神経管はチンパンジーのものに近かった。

ゆえにネアンデルタール人は器官的にはその能力を有していながらも脳のレベルが追いついておらず現生人類のように交流することはなかったため、この時期の石器の大きな進化は見られなかったと考える研究者もいる。

ホモ・サピエンスは人類史上で初めて複数の材料を組み合わせた道具を作り始めたとされており、こういった道具の製法を継承していくために言語は必要だったはずだ。

しかしやはり言語の起源については世界中の研究者がさまざまな仮説を述べているが、いずれも根拠には乏しく決定的なものはない。

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