今夜、ハードロックカフェにて @第13夜
昼下がりの東京。ここは上野、ハードロックカフェ。
今日もまた、客もまばらな店内の片隅で
ニューウェーブ好きな先輩(40代後半絶賛両親と同居中先祖の墓参りは欠かさない孝行息子)とギターロック好きな後輩君の
ビール片手にダベりタイムが始まる。。。
「終わったね、フジロック」
「終わりましたね」
「やっぱしCURE最高だったな〜」
「え?先輩、行ったんですか?」
「配信で見た」
「配信、最高ですよね」
「配信最高!」
「ちょっと待ってください。先輩のその意見について、僕、一言言わせてもらってもいいですか」
「何?」
「人生で一度もフジロックに行った事の無いフジロック童貞の先輩が見る配信と、何度か行った経験がある僕が見る配信とでは、配信観賞レベルに大きな差があるって事です」
「配信観賞レベル?どういうこと?」
「僕は、フジロックの会場の雰囲気とか知ってるんで、配信を見ていても、その過去に会場に行った時の記憶が配信映像に更に上乗せされて再生されているんです」
「・・・。言ってる事、よくわかんない」
「例えば、CUREにしても、あの雄大なグリーンステージの状況と、日曜トリの「あーもうこれで最後だ」っていうどこか切ないあの会場の雰囲気をわかった上で見てるんです。いわば、自分がフジロックの会場に居る状態を脳内で再現して見てるんです。まあ、軽くトリップできてるわけですよ。例えばフィールズ・オブ・ヘブンからの配信であれば、ヘブンのあの多幸感溢れる会場の雰囲気を再現した上で映像を見て、トリップしているわけです」
「へ〜。会場がイスだらけだとか、ハンパない大雨が突然降ってきたとか、トイレに行きたいけど混んでて汚いからやだなぁとか、ビトビト汗まみれのTシャツ着たヤツに横から身体ガンガンぶつけられてる状況とかを思い出して、トリップしてるんだ」
「いや、そういったストレス部分は完全に消去され、美しく修正された環境で脳内再生されてます」
「なんか、修正がバキバキかかる最近のプリクラ写真みたいじゃないか」
「そう!まさに例えるならば、あんな感じです」
「そんなのフジロックじゃないだろ!過酷な環境で現地で生で見て、肌で音楽を感じてこそのフジロックだろ!」
「あんたフジロック行った事無いでしょーが!」
「・・・来年は8月だってな」
「どうせならいいメンツ呼んでほしいですね。先輩は誰に来てほしいですか」
「モリッシー」
「モリッシーはフジロック出禁でしょ」
「じゃあジーザス&メリーチェインかな。後輩君は?」
「これです」
「おお!お前、いつの間にリクエストしてたんや!」
「やっぱりポール・ウェスターバーグですね。死ぬまでに一度はライブ観たいです」
「おお。ホワイト・ステージあたりで見たいね」
「あんた、ホワイト・ステージ行った事無いでしょーが!」
(2019年7月31日)
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