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デイビッド・グローブってどんな人?

こんにちは。
クリーンランゲージという「前提条件を最小限にまで減らした」質問を使うコミュニケーション技法について、時折お届けしておりますが、その技法の元々を開発された方のご紹介をうっかり忘れていました。

クリーンランゲージ、と名前がついたり、クリーンな質問を使ったりする技法は実にたくさんあり、さらに増えつづけている現状なのですが、彼は、その元になっている質問を人生の最後の25年かけて作り出した方です。

彼の名前は、デイビッド・グローブ。

By Bogena PIESKIEWICZ - Own work, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=89747856

私がクリーンランゲージを知った頃には、すでに亡くなっておられました。それで、デイビッド・グローブに教わった人たちから色々話を聞くのですが、正直、私の中では、「デイビッド・グローブって一体どんな人だったの?」という謎がますます深まっていくばかりの今日この頃です。

本日は皆様とご一緒に、デイビッド・グローブを探究する旅に出てみたいと思います。

アーネスト・ロッシさんは言いました。

優しい妖精が魔法のランプから逃げ出した。
彼の名前はデイビッド・グローブ、彼の魔法は、クリーンランゲージ。

And, what kind of a man is David Grove?より

何だか、柔らかで優しげな人が浮かんできます。

一番最近、聞いた話はこれです。

デイビッドは10人のセッションを同時にすることができたのよ。そして、クライアントがセッションの中で使ったメタファーは全部、覚えていたの。でもね、クライアントの名前はさっぱり覚えられなかったのよ。

ペニー・トンプキンス

あれまあ。聖徳太子ですか?
でも、名前は覚えられなかったあたりが、何だか可愛らしいというか。

そして、このセッションの中でクライアントが使ったメタファーは全部覚えていたデイビッド・グローブの記憶力の良さは、おそらく、彼のルーツが、ニュージランドのマオリ族にあるからだろうという話は、あちらこちらで目にしたり、聞いたりします。

そして、もう一つ、デイビッド・グローブがした研究やワークのほとんどが空間に関わる物だったということなのですが、(クリーンランゲージとは違うこともされていたようです)、それも、また、このマオリ族の文化の中から来ていたのかもしれないという話は、最近聞きました。

いきなりですが、デイビッド・グローブのお葬式の時の話をここで。
Inside Cleanというオンラインワークショップの中で、ペニー・トンプキンスが語っていた話から、少しだけご紹介しますね。

ペニーとジェームズは、ニュージーランドで行われた、デイビッド・グローブのお葬式に参加しました。なんでも4日間かけてお葬式は行われたのだそうです。
その中で、マオリ族の語り部の人が、会場の天井のいろんな場所を指でさしながら、物語を語っていったということでした。
すると、そこに、クリーンラゲージ&シンボリック・モデリングでも使うメタファー・ランドスケープを作っていくような妙な懐かしさを、ペニーは感じたということでした。
そして、こういう文化の中で育ったからこそ、空間と言葉、物語を組み合わせたワークが生まれたのかもしれないなと感じたのだそうです。

なるほどねえ、と思いました。

さて、デイビッド・グローブについては、こんな話もあります。
こちらは、クリーンランゲージを最初のころ、一緒に開発されていたカイ・デービスさんが、日本で行われたワークショップで少し苦笑いしながらお話しされた一言です。

「デイビッドはクライアントが同じことを繰り返しいうのが好きじゃなかったのよ」

私はそれを聞いて、だからだ!と思いました。
何がかというと、クリーンランゲージの質問を使ってコミュニケーションをすると、本当に楽しいんですね。
表面的には、同じような話をしているように聞こえても、メタファーにしてみるとまるで違う個性的で豊かな世界がそこに広がります。

そして、これもよく聞く話なのですが、メタファーの世界は、何というのか、ユーモアに満ちている感じがするのですね。

私には、クリーンランゲージが、サポートする側も話を聞くのが楽しくなるように作られているように感じられて仕方がなかったのです。
きっと、話を聞く才能が素晴らしかったけれど、話を聞くのが好きじゃなかったことが、功を奏したに違いない!と私は勝手に思ったりいたしました。

さて、また、こんな話もあります。

「デイビッドは前しか見なかった」

決して後ろを振り返らない人だったようです。

そして、また、こんな話もあります。
こちらは、内容的にどなたが言ったかは伏せておきますが、英語を話すクリーンランゲージのトレーナーのお一人です。

「デイビッドはいうことがコロコロ変わった」

(笑)

どんどん、わからなくなっていきませんか?
私には、もう、デイビッド・グローブという人がどんな人だったかがさっぱりイメージがつきません(笑)

そして、デイビッド・グローブはものすごく実験好きな人だったようです。
視点を変えると、世界の理解がどう変わるのかを、単に思考実験するだけではなく、なんと。
ウィリー・ギグという乗り物まで作ってしまって、くるくる回って視点を変えてみたりもしたそうです。すごいですねえ。

ちなみに、この実験好きな精神は、今も、クリーンランゲージの世界の中には脈々と息づいておりまして、クリーンランゲージを使って、さまざまなことをさまざまな人が自由に試しています。「やってみなきゃわからないわね」と私も何度か言われたことがあります。

そして、最後に。

クリーンランゲージの根っこにあるのは、デイビッドのこの精神です。

クライアントは、自分自身の内に、伝記的、祖先的、文化的な過去の心理的、身体的な傷を癒す能力を持っています。

The Philosophy and Principles of Clean Languageより

彼は、人は自分で自分を癒す力があると信じていたのですね。私は、クリーンランゲージのここが好きです。
この部分が信じられないと、逆に、クリーンランゲージを使ったあれこれは、ヤキモキしてしまうことになるかもしれません。
相手の世界に、こちらは手が出せないからですね。

そして、私には、もう、デイビッド・グローブがさっぱりどんな人だったかイメージがまとまらないのですが、亡くなってもうずいぶん経つ今でも、彼に教わった人たちが、彼に会いたくてたまらない様子をチラチラ時々拝見する中で、みんなにとても愛されていた人だったんだなあということだけを感じます。

どうでしょうか?
デイビッド・グローブは一体どんな人だったのでしょうか?

彼が遺したクリーンな質問の数々が、今日も、世界のあちこちで、いろんな人をサポートし、好奇心を刺激し、新しいものを生み出しつづけているということだけが、私にわかる事実でした。

では、また。


デイビッド・グローブの著作はこちら。(英語版のみ)


直接、デイビッド・グローブと関わった人たちが彼の研究や思い出などについて語った本がこちら。(英語版のみ)


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