クノップフ《メリザンドの歌》/メーテルリンク「メリザンドの歌」

ごきげんよう。

城牙咲くらは(じょうがさき・くらは)です。


本日は、僕が好きな画家ベスト3に入るベルギーの画家フェルナン・クノップフ(Fernand Khnopff, 1858-1921)の描いた《メリザンドの歌》という作品です。

フェルナン・クノップフ《メリザンドの歌》、木炭・色鉛筆・紙、1907年


この絵のテーマになっている「メリザンド」という人物をご存知かしら?

演劇に関心のある方、もしくはクラシック音楽がお好きな方ならピンと来るかもしれません。

詩集『温室』でデビューしたベルギーの戯曲家モーリス・メーテルリンク(Maurice Maeterlinck, 1862-1949)の名作『ペレアスとメリザンド(Pelléas et Mélisande)』(1892年)のヒロインです。

この戯曲の作者メーテルリンクは、「メリザンドの歌」というタイトルの簡単な詩を書いているので、後ほどシェアいたします。

さて、この戯曲は、ドビュッシーを始めとする作曲家達が曲を添えました。

個人的には、最も有名なドビュッシー版よりもガブリエル・フォーレ(Gabriel Fauré, 1845-1924)版の組曲が好きです。

フォーレ版の組曲では、おそらく「シシリエンヌ」という曲が最も有名でしょう。

この戯曲へのオマージュとして書かれ、この曲のタイトルを冠した嶽本野ばらさんの小説『シシリエンヌ』(新潮社、2005年)も必見です(僕の美意識の数パーセントはこの小説に由来します)。

少し話が脱線しましたが、この記事で問題としている「メリザンドの歌」は、『ペレアスとメリザンド』の組曲の構成では、「シシリエンヌ」の直前に配置されています。

記事の冒頭に掲載した作品を見て、どんな物語を想像しましたか?

答えは、戯曲の作者メーテルリンクの書いた詩「メリザンドの歌」に掲載されています。

僭越ながら、僕の翻訳でシェアいたしましょう(あ、この詩、日本語では日本初公開ですよ!)。


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メリザンドの歌


泣いている水と、笑っている水
話をする水と、逃げていく水
夜の闇の中で、震えている水…

指環が滑り落ちて、指環が光っているわ指環が、逃げていく水に波紋を作っているわ
指環が、夜の闇に落ちていくわ…

指環が落ちて、夜の闇を飾っている天使達が、私達を赦してくれるのね!…
指環が、落ちていくわ
冷たい水と、夜の闇の両方に…


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La chanson de Mélisande


L’eau qui pleure et l’eau qui rit,
L’eau qui parle et l’eau qui fuit,
L’eau qui tremble dans la nuit …

L’anneau glisse et l’anneau luit,
L’anneau trouble l’eau qui fuit,
L’anneau tombe dans la nuit …

L’anneau tombe et la couronne,
Que les anges nous pardonnent !…
La couronne tombe aussi
Dans l’eau froide et dans la nuit…


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僕の翻訳書の予約販売が始まりました!

モーリス・メーテルリンク『対訳 温室:他全詩集』(デザインエッグ社)

『青い鳥』でノーベル文学賞を受賞したメーテルリンクのデビュー作『温室』および他の詩を全て集めたのは、世界初です!

表紙の絵も僕が描いた油絵です。

是非、メーテルリンクの幻想的な世界をお楽しみ下さいね。

城牙咲くらは

Twitter: @claha_jyogasaki




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