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ニンジャスレイヤーTRPGソロリプレイ【ユサーパー・オブ・ザ・スプリング】(中編)



はじめに

この記事は、ニンジャスレイヤーTRPGの自作プラグイン、「ティターン・ニンジャクラン」のテストプレイを目的としたソロキャンペイグン(キャンペーンのこと)のリプレイです。

前のお話はこちら

プラグインはこちら

今回は、自作シナリオをシーチ先生がNPCと2人(+1人)で挑戦する運びとなりました。マップありの戦闘でリプレイが非常に長くなったため、複数回に分けてのリプレイ投下となります。この記事はいよいよ戦闘回です。

1

「あ、あの……旅のお方々……」
震える声で客間のオールドコロッサスらに呼びかけた老人があった。この館の主、幽鬼の如く憔悴したる村長だった。
「この村は、今ブッダセイタンに呪われておるのです。あの戦争帰りの呪われ者、メイノカ=サンが突然オバケめいた、ニ、ニンジャになり……」

 顔面蒼白、最中に幾度もNRSのフラッシュバックに苦しみながらも、村長はオールドコロッサスらに切々とニンジャの暴虐を訴える。妄想癖のあった電子戦争帰還兵がある日異形のニンジャになったこと、そのニンジャが水軍と呼ぶズンビーめいた存在を呼び出し、あるいは作り出して村に圧政を布いたこと、そして、日本政府のエージェントを名乗ってやってきた男に救いを求めたが、その男がかえってニンジャに取り入り、副官めいて共に村民を搾取しはじめたこと……。

 旅人の反応は三者三様だ。自身も恐怖しながらも義憤めいて拳を握りしめるウミノ、仮面じみた無表情のアメデオ、そして……瞑目していたオールドコロッサスがゆっくりと目を開く。
「元より我らの目的の為には彼らを除かねばなりません。情報の提供を感謝申し上げるとともに、村の長としてのあなたのお覚悟を空しくはしますまい」

「時に村長殿、彼らはどこにいるのかね。なに、我らを売るにしても、言葉巧みに誘き寄せたとでも言っておけば申し訳が立とう」
「ア、アメデオ=サン!」
「おっとシツレイ。ウミノ=サン。だが用心役の一人は一行に必要なものよ」
オールドコロッサスの言を継ぐようにきわどい諧謔を弄したのはアメデオ。思わずたしなめたウミノの方を一瞬見て、村長が僅かに目を伏せた。

「そ、それが。郊外の荒野のどこかに陣屋を構えているそうなのですが……」
「詳しい場所は分からない、と。喜ばれよ。貴公を疑う理由が減りましたな」
「い、いえ、そうです!バイオパイン!バイオパインの葉が何時も装束に、とはいえそれだけでは……ククーッ!情けなや!」
村長は無力感に泣き崩れんとした。しかし!

「それが分かれば十分です。この周辺の地形と植生からして実際候補地の絞り込みは容易!」
力強く進み出たのはウミノだ。持参した地図を広げ、ペンで素早く数か所をピックアップしていく。
「ほお……。見事な……」
ウミノの考古学に留まらぬ広範なフィールド知識に瞠目したアメデオが感嘆を漏らす。既にウミノのこの見識を知るオールドコロッサスは静かに頷く。

「ウム、この数であれば実際虱潰しにできましょう。ウミノ=サン。ご同行頂いてよかった。では、アメデオ=サン。一旦我らニンジャのビズと行きましょう」
オールドコロッサスは立ち上がり、村長とウミノに微笑んで見せた。アメデオは既にマントを纏いなおしている。ウシミツ・アワーにもあと僅か、岡山県の荒野に二陣、色付きの風が吹き渡る!

2

「……しかし、これは露骨ですな。田舎芝居じみておると言っていいでしょう」
幾つめかの候補地への到達時、明々と篝火を燈す野営めいた拠点を認めたアメデオが肩をすくめた。実際、照らし出される幕屋はニンジャ二忍の拠点としては過度に巨大で、人骨めいた建材で悪趣味な装飾まで施されている。

「警戒の必要もないと考えるような精鋭なのかもしれません。とはいえ、やることは変わりませんが」
粛々と受け答えるオールドコロッサス。事実、二忍は幕屋の中にある強大なニンジャソウルの気配を察知している。拠点の周囲は岩山と沼地、数本のバイオパインの他は荒涼たるありさまだ。これが彼らのフーリンカザンなら。村長が言っていた水軍なる言葉、そして己の求める「銀色の水」……オールドコロッサスは沈思黙考する。

「オールドコロッサス=サン。先方が出迎えております。殊勝ですな」
アメデオが冗談めかしつつ注意を促す。両脇の岩山には不死海賊の気配、そして前方、篝火を背負うフック船長めいたニンジャのシルエット!

「ドーモ、ヴァイスアドミラルです。馬の骨ども。我らが軍門にドゲザし恭順しにきたか」
サイバネ腕から凶悪な鉤状武器を展開しつつヴァイスアドミラルは威圧的な大音声でアイサツした。その声は実際ハイタカを油断なく起動、岩山の影に配備しておくための囮でもある。

「ドーモ、アメデオです。何がしとやらにドゲザ恭順した貴公が言うと含蓄深いことよ」
刺突剣を抜き放ちつつアメデオが切り返し、貴人をエスコートするSPめいてオールドコロッサスを見た。そして。

「ドーモ、オールドコロッサスです。君をアゴで使って陣屋に踏ん反り返るニンジャ殿も呼んできてくれたまえ。手間だ」
オールドコロッサスは温厚な大学講師の顔からは想像できぬ冷たい声でアイサツする。

 その時、既に手練のニンジャ達のキリングオーラで張り詰めていた夜気が、アメめいてその場の全員に纏いつくかのように変質した……否、うっそりと幕屋から現れた異形のニンジャの存在感が、場の全員にそのように錯覚させたのだった。

「お前たちはおれの餌か、しもべか、どちらだ。ドーモ、アズールデスです」
異形ニンジャはコショウめいた格好の不死海賊に持っていたグラスを預け、狂気に満ちてアイサツした。

 月下、オールドコロッサスは既にビークド・ヤリナギナタを構え、アメデオもまた半身フェンシング・ドーを構える。ヴァイスアドミラルはサイバネ腕のさらなる機能を起動し……ふふん、と触手を揺らめかせアズールデスが笑った。それが開戦のドラとなった。

◆オールドコロッサス/シーチ先生 (種別:ニンジャ)
カラテ    1    体力   11
ニューロン  4(壁) 精神力  9
ワザマエ   10    脚力   7/-
ジツ     5    万札  6

攻撃/射撃/機先/電脳  3/10/4/4
回避/精密/側転/発動  6/12/-/9
即応/緊急回避     3+1/6
◇装備、サイバネ、ジツ、スキル
*ビークド・ヤリナギナタ*(ヤリ読み替え)、ニンジャブレーサー
☆巨神化の秘儀LV5、★クリオスの狡知、★★ゲゲネイス・ジツ
●連射2、●大型1×1、●轢殺攻撃1、●即死耐性、●脆弱性:電磁(体力1)
◉◉タツジン:ヤリ・ドー、◉ヒサツ・ワザ:シャドウレス(ムーン・シャドウ読み替え)
◉◉グレーター級ソウルの力
☆◉イサオシのティターン、★◉ティターン・エンハンスメント
記憶:◉交渉:超然、◉知識:古代ニンジャ文明、◉知識:高級嗜好品

3

「アイエエエエ……。送り出して、しまった。私は取り返しのつかぬことをしてしまったやも知れぬ。奥ゆかしき義侠の旅人相手に!」
同時刻、江戸・ジョージアン折衷様式の館ではウミノに縋る村長の姿があった。

「大丈夫です。村長=サン。仮にあなたがはかりごとの片棒を担がされていたとしても、オールドコロッサス=サンは責める方ではない」
「違うのです。私は、村の秘密を守るため、大事なことを言わずにいたのです」
背中を擦るウミノを見上げ、村長は告解めいて漏らす。

「この村の郊外には、実際不老不死の泉があると言われておるのです。キツネと邪龍が守る、白き蜜めいた泉が。アズールデス=サンはそれを探し求め、そこから力を得るのだと嘯いていた。もし伝説がまことであれば、そしてアズールデス=サンが泉の力で不死になっていたのであれば……。おお……許されよ。オールドコロッサス=サン、アメデオ=サン……」
「お待ちください!」
泣き濡らす村長の告白をウミノが遮った。伝承のニンジャ真実をほのかに予感し、考古学教授のニューロンが異常加熱する!

「泉の番に龍蛇が置かれることは実際稀ではない。しかしキツネ、なぜキツネなのだ!?アーッ!こんな時シーチ=センセイがおいでならば!否。センセイがお帰りの際に考古学的知見から実りある議論をするために、今から仮説を構築しておかねば……。キツネ……フォックス……イナリ……ゾロ……。ウウーム」
ウミノは持参した最低限の資料と、端末に保存していた電子データを元に仮説推論を開始した。なんたる倫理的アポリアを容易く打ち破る研究者の好奇心か!

「アイエエエ……ウミノ=サン……。実際オールドコロッサス=サンらの勝ち目は……」
「勝ちます。そしてシーチ=センセイは戻って私と議論します。今しばらく思考を妨げないでいただきたい!」「アイエエエ……」
予想だにしなかった流れに村長は呆然と窓の外を見つめた。ドクロめいた月はインガオホーを嗤うように輝いている。

4

オールドコロッサスはP5に配置
1T目、イニシアティブはアメデオ(AM)>アズールデス(AD)>ヴァイスアドミラル(VA)
   >オールドコロッサス(OC)>ハイタカ*2>不死海賊*3
AM移動K4、M3不死海賊に翻弄スリケン
n(526631)(213416)>M3不死海賊破壊
AD連続側転F5、VAに支援
VA集中し火炎放射器でOCを射撃
e(562533565)>OCn(212)、OChp11>10
終了時戦略視界ナビ
n(6414231)、●電子的デジャブの読み取りで再判定MP4>3>2、n(6253543)
OCはMP2消費しティターン・エンハンスメント起動MP9>7、M5に移動しM7不死海賊に強化精密攻撃
n(2415)(656324134)>M7不死海賊破壊
終了時ゲゲネイス・ジツOCMP7>5
h(551242133)、hp10>11
ハイタカ*2OCに射撃
自動成功>OCn(636415)
不死海賊全力移動D4>F4

「イヤーッ!」
月光に煌めく鋼鉄の星が左手の岩山に潜む不死海賊の脳天を射抜いた。アメデオは投擲しつつコンマ数秒でタタミ十数枚の距離をスプリントし、ヴァイスアドミラルを狙う。

「狙われておるぞ、ヴァイスアドミラル=サン。ハゲミナサイヨ」
他人事めいて警告するアズールデスはその実アメデオにキリングオーラを飛ばし牽制する。

 一方、そのヴァイスアドミラルはサイバネ腕から危険極まりない火炎放射器を展開していた。
「火砲!重点!」
ココココココ……FIRE!狙いは……オールドコロッサス!巨神ニンジャを爆炎が包んだ。

「直撃とは!何たる弱敵!そしてェ!俺は火力だけのニンジャにあらず!お前たちの動きは既に我が方全員に丸見えよォ!」
ハイタカを利用した視界共有ナビゲートだ!なんたるパラディンめいた物理電子両面に隙のない元アクシス精鋭に相応しい戦闘能力か!しかし!

「バカな!無傷とは!」
ヴァイスアドミラルは炎を意に介さず進み出たオールドコロッサスが無造作に右手の不死海賊をヤリ斬殺するのを見た。大地のカラテ粒子が既に火傷を癒しきっているのだ。

「我がジツはゲゲネイス・ジツという。ティーターンがボヤごときで死ぬものかね。ヴァイスアドミラル=サン」
ハイタカの重金属弾射撃を神業めいてヤリの穂先で全て撃ち落としつつオールドコロッサスはヴァイスアドミラルを睨めつける。

2T目
AM連続側転H4
n(342451413)回避ダイス11
AM針の穴VA,AMMP8>7,翻弄+1
h(15542)(23236)>VAh(6545323)(6452212)>AMCK回避n(36)
AD移動F6
AMに●引き寄せコンビネーション
n(3464)(2141631411)>n(343)(543)
VA突撃移動L5
攻撃OC
e(5122)(5434313156)>n(525)●迎撃串刺し宣言VA回避不可、HP16>14かつ2撃目破棄
終了フェイズ戦略視界ナビ
n(3265323)VAMP2>1
OC★クリオスの狡知宣言、VA轢殺しつつJ5、VA14>13かつ対OC崩れ、
VAに強化精密攻撃
e(352)(6463134214)>回避不可、サツバツ!(6)即死、VA第二の心臓で痛打変換(21)、VA13>6
ハイタカOC射撃
自動成功>(5125)
不死海賊移動G5攻撃AM
自動成功>(62)

「ヌゥーッ!かくなる上は!」「貴公の相手はまず私だ。野良犬殿」
残忍なる電磁クロー突撃を敢行しようとしていたヴァイスアドミラルの側面には既にアメデオ!針の穴を通すような精密フェンシング刺突がサイバネ装甲と火花を散らす。

「コシャク!イヤーッ!」
しかしヴァイスアドミラルは巧みに致命部位の心臓を狙う刺突にクローを合わせ、かえってアメデオを感電させようと試みた。

「なんと、総身に知恵が回るよう生身を削ったわけかね。頭が下がることだ。イヤーッ!」
再び火花!皮肉めいてジョークを飛ばしながらも、アメデオはクローの隙を縫うように既にサイバネ腕の関節部にダメージを与えているのだ!、タツジン!

「オノレ!」
ヴァイスアドミラルは激高し、アメデオに飛びかかろうとする。しかし!

「ヴァイスアドミラル=サン!ブザマを晒すなよ!お前はあのデカブツをやれ。この小賢しいのはおれがやる」「ハイヨロコンデー!」
タタミ2枚分の間合いから、撓る触腕がアメデオを打ち据えんと伸ばされる。アズールデス!

「チィッ!鬱陶しい!イヤーッ!」
アメデオは小手を狙う一本を切り払い、その隙に頭部を狙う一本には短剣を投擲して応ずる。この判断は実際正しかった。もしこの打撃のどちらかを受け入れていれば、アメデオはアズールデスの元に引き寄せられ、より致命的なワン・インチのカラテで致命傷を負うことも十分にありえたのだから。

「ククク。カンのいいことだ。アメデオ=サン。おれに仕えるというのならまだ今の大逆不敬をケジメで許しても良いが」
「これは慈悲深い。しかしな貴公。貴公は真に仕えるべき高貴というものを知らぬ。野良犬は野良犬同士で群れておるのが身の程よ」
アメデオは皮肉で切り返す。

「ほざくがいい!」
アズールデスが吐き捨て、両者の間の空気が殺気で満ちる!

「というわけだ。哀れで身の程知らずの薄らでかい老い耄れは、俺が電熱バーベキュー重点と言うわけよ!」
赤熱する電磁クローを構えたヴァイスアドミラルは猛然と巨神ニンジャ目掛け突撃する。迎え撃つオールドコロッサスのニューロンをニンジャアドレナリンが満たし、主観時間が泥めいて鈍化した。

 結論から言えば、これは本来精鋭たるヴァイスアドミラルにあってはならぬ判断であった。しかし、アズールデスに命じられたオールドコロッサスの排除を愚直に重点しようとしたヴァイスアドミラルを誰が責められよう。イクサにはカラテの優劣のみがモノをいう。それだけのことだった。

「イイイイヤアアアアアーッ!」「アバババーッ!」
巨神ニンジャと重サイバネ戦士が交錯し、一方がスプリンクラーめいた血を心臓部から吹き出しながら頽れた。もう一方は、オールドコロッサスは向きなおってザンシンし、ハイタカからの射撃をブレーサーで弾きつつ峻険なる霊山じみて聳える。

 ティターンの弱点を予想していたかのような危険極まりない電磁クロー突撃は、その実ヒアス・ニンジャ譲りの雄大なるヤリ・ドーの前に弛みきった隙を晒していた。オールドコロッサスは前傾姿勢で突進するヴァイスアドミラルの肩をヤリで貫き、そのままそこを抉りつつ支点として突進を回避。無防備な背面に必殺の突きを見舞っていたのだ。ゴウランガ……おお、ゴウランガ!

「アバッ……。これで、こんなことで俺を殺せると思ったかよ……!」
何たることか!心臓を貫かれたはずのヴァイスアドミラルは全身を血で染めつつ凄絶に笑っている。ソウル由来のニンジャ耐久力か?否。これこそはオナタカミとヨロシサンの共同開発による最新サイバネ人工臓器の恩恵なのだ!

「あまり惨いことをさせんでほしいのだがね」
人知を超えた光景の前にもオールドコロッサスに動揺はない。エンハンスの光を纏うビークド・ヤリナギナタを再び構え、ヴァイスアドミラルを待ち構える。

3T
AM連続側転L4
n(613443332)回避ダイス11
強化精密攻撃VA翻弄+1
h(3246)(553662)>回避不可、サツバツ!(2)頭部痛打、VA6>2、Nダメ2Wダメ1
AD連続側転J4
n(44415613155)回避ダイス15
AMに●引き寄せコンビネーション
h(4151)(6643665313)>n(513)h(6413)
VA集中
AMに攻撃
k(63)(635663534521)>ブースト使用e(3)n(561)
OC★クリオスの狡知、轢殺移動N5
n(61)
VAに強化精密攻撃、即応4>2使用
n(664)(665324366332) ヒサツ宣言MP5>4>VAブースト使用n(6314)h(666431315)
ハイタカOC射撃
自動成功>(5511)
不死海賊移動I5
OC射撃
自動成功>(41)

「ウォーッ!」
「貴きお方が慈悲深くおいでならば、無慈悲なる刃は介添人の役目。貴公、あまりしぶといとためにならんぞ」
狂戦士めいて再突撃をかけようとするヴァイスアドミラルの側面にはまたもやアメデオ!月光を受け輝く太刀筋がイナズマじみた軌跡を残す!

「拍手喝采!」「アバーッ!」
頭部から下腹部までをズタズタに切り裂かれヴァイスアドミラル苦悶!アメデオは活劇剣士めいて見得を切る。

「おっと、アズールデス=サン。寂しくさせたか?ダンスパーティのご婦人でももう少し自分の番を待っているものだが」
一瞬後、またも襲い来ったアズールデスの触腕をきわどくスウェー回避してアメデオは笑う。

「ヴァイスアドミラル=サン!いつまでいいようにやられている!」
「ウ、ウォーッ!」
叱咤されたヴァイスアドミラルがアメデオに大振りのクローで襲い掛かる。回避姿勢のアメデオの足を踏みつけ不可避殴打の狙いだ!

「惜しいものだ。ヴァイスアドミラル=サン。そのワザマエに信を置いていたものも多かったであろうに」
ゴ、ゴウランガ!複雑なダンスのステップめいて踏みつけをいなし、その終わり際を狙って繰り出された連撃をもアメデオは紙一重で躱し続けている。その時!

「私をお忘れでないかな?」「グワーッ!」
紫のエンハンス光が奔り、オールドコロッサスがすれ違いざまに無事な左肩部のサイバネ装甲を刺突粉砕する。ワザマエ!

「そして、こうだ!イヤーッ!」「グワーッ!」
さらに振り向き薙ぎ払いで堅牢なる胴体装甲破損!

「終わりだ!イイイイヤアアアアアーッ!」
ヤリを回転させ、瞬時に構えなおしてからの必殺の両断斬撃!しかし!

BRATATATATATAT!BRATATATATATAT!ハイタカ!
「ハァーッ!ハァーッ!電子方面へのザンシンを怠ったな!」
ハイタカへの咄嗟の攻撃指令がヴァイスアドミラルの命脈を繋いでいた。

「ア、アバーッ」「チィッ!」
BLAM!同時にコショウ型不死海賊がアメデオを牽制する。

「これがフーリンカザンよ。ヴァイスアドミラル=サンの意表をついて少々調子に乗っているようだが、おれもおれの軍勢も甘くはないぞ、流れ者め」
アズールデスが触腕を揺らめかせつつ言い放つ。

4TアトモスフィアHARD
AM集中
mp7>6として●針の穴VA翻弄+1
e(465)(6654365)ナムアミダブツ!(2)頭部痛打>u(16551)u2(55453456)VA爆発四散!
AD集中
AMに●引き寄せコンビネーション
e(216)(5246152666)>h(656654)●バック転回避宣言M4移動。攻撃破棄
OC★クリオスの狡知でAD轢殺移動H4、h(22)AD13>12、対OC崩れ
強化精密攻撃
e(152)(5545565341)>h(54445)(6525415)>OCHP11>10
ゲゲネイス10>11
ハイタカ射撃OC
自動成功>(546564)
不死海賊OC攻撃
回避不可、OCHP11>10

「これでもか?」「アババババーッ!」
ぞっとするような声で答えるアメデオは……ナムサン!刺突剣でヴァイスアドミラルの眉間を貫いている!一瞬の隙を縫うごとき、油断ならぬ怪傑じみたワザマエだった。

「な、ヴァイスアドミラル=サン!オノレーッ!」
アズールデスは突発的な怒りに任せ触腕を振るう!再び危険な引き寄せの構えだ!

 しかし、「イヤーッ!」アメデオはヴァイスアドミラルの眉間を抉りつつ刃を抜いてバック転回避!「サヨナラ!」取り残されたヴァイスアドミラル爆発四散!

「早速フーリンカザンが乱れたようですな」
アズールデスは耳元にオールドコロッサスの声を聞いた。つまり。
「グワーッ!」
咄嗟の回避も間に合わず、既に装束の胸を裂かれている!

「図に乗るなよ!イヤーッ!」
アズールデスは振り向きざまの連撃を繰り出すヤリの柄を触腕で打ち退ける。同時に、BRATATATATAT!ハイタカがそれ以上の追撃を阻み、「アバーッ」不死海賊がカトラスでオールドコロッサスを捉える!

「ヌゥーッ!」
攻めあぐね、オールドコロッサスが唸る。カトラスの傷は癒されども、アズールデスを落とす絶好の機を失ったのだ。しかし、その脇を色付きの風が駆けた!

5T
AM連続側転K4
n(443565245)回避ダイス11
mp6>5として●針の穴AD翻弄+1
h(1616)(546536)>ADブースト使用h(32263)(65624)
AD連続側転E7
n(54464212231)回避ダイス4
射撃OC
h(52116)(6665456)>n(422)OCHP10>9
終了フェイズ★●触手スリケン投擲OC
自動成功>緊急回避6>3使用n(513)、OCHP9>8
OC移動G7
強化精密攻撃AD
n(361)(2226651535)ヒサツ宣言MP4>3>u2(565)、ヒサツ(31)ADHP12>4
ゲゲネイスOCHP8>9
ハイタカ移動J7,J8
射撃OC
自動成功>n(614)
不死海賊
射撃OC
自動成功>回避放棄OCHP9>8

「うまくないな。貴公らの下賤なミーミーで貴人を穢すべからず」
うっそりと呟くアメデオがアズールデスに迫る。精密なる刺突剣の狙いは眉間、喉、心臓。一切のユーモアもない無慈悲なイアイが襲う。

 ドクン。アズールデスは極度集中し、状況打破のため一瞬のうちに自身とソウルの記憶を手繰り寄せた。ソーマト・リコール。そして。
「イヤーッ!」「グワーッ!?」
わざと触腕の一本を貫かせ、そのまま大きく振りぬいて逆にアメデオの体勢を崩す。透かさず本体は逆の触腕を支えに変形ウインドミル・キックでアメデオを蹴り飛ばしつつ連続側転離脱!
なんたる触腕カラテと体術の高度な融合か!これがサザナミ・ニンジャのカラテだというのか!?

「真の支配者に対する重ね重ねの不敬。赦さぬ。お前たちはおれのテンタクル・ドーの餌だ」
タタミ7枚の距離を疾風めいて移動したアズールデスの触腕の先端がかすかにブレた。スリケン!

「支配、君の支配とは搾取と虐待かね」
飛来する鋼鉄の星をブレーサーで弾きながら、オールドコロッサスは半ば反射めいた自身の憤怒に気づく。それは単なる義憤でも、ヒアスのソウルがもたらしたものでもなかった。オールドコロッサスは一瞬困惑した。

「グワーッ!」「オールドコロッサス=サン!?気を確かにもたれよ!」
アメデオの呼びかけ空しく、その隙にスリケンが次々と巨神の体に突き立つ。無慈悲な多腕のスリケン投擲が、ゲゲネイス・ジツの再生を超えてオールドコロッサスを苛んでいた。しかし!

「オオオオオッ!」
オールドコロッサスは迷いを振り払うように吶喊、地を蹴って一瞬でアズールデスとの距離を詰める。

「イイイヤアアアーッ!」

 強大なるサザナミの憑依者たるアズールデスは、されどその接近にも、ましてその後の影すら残さぬ無慈悲な刃にも、反応することができなかった。旧き奥義、シャドウレス。空から注ぐさやかなる月影は乱れない。光に白むべき刃は、反射すら許さぬ神速で振るわれていたからだ。

「アバーッ!」
アズールデスは苦悶し、触腕をでたらめに振り回してオールドコロッサスを阻もうとした。オールドコロッサスのヤリは無造作にそれを退ける。

「デ、デアエ!デアエーッ!」
残る手勢への攻撃指示も空しい。カラテ籠らぬ銃弾は豆鉄砲めいて再生のジツの前に無意味だ。

6T、前ターン脱落者なしのためアトモスフィア上昇
AM●カスミを宣言、J6に移動。回避ダイス10
J7ハイタカに●針の穴MP5>4、翻弄+2
n(136332)(51362)>J7ハイタカ破壊
AD連続側転H6
n(51144414341)回避ダイス14
AMに●引き寄せコンビネーション
h(31556)(444163451)>(64162)(63335)ヤバいと思った
OC★クリオスの狡知宣言、轢殺ADしつつI4に移動u(25)ADHP4>3、対OC崩れ
強化精密攻撃
e(614)(5234143552)>u(416415)(153126)
ゲゲネイスOCHP9>10
ハイタカ移動M8
射撃OC
自動成功>n(436)
不死船員
攻撃OC
自動成功>n(461)

「そろそろ無粋だぞ。ハエめ」
そして、発砲直後のハイタカの一機をアメデオが切り捨てた。表情こそメンポで窺えぬが、その声は今やコリめいて冷たい。

「お前らのごとき根無し草など!おれが水軍に命じればひとたまりもないものを!」
再び躍り出たアズールデスが触腕で打ち据えんとするはアメデオ!その軌道は先のものに増して鋭く、謎めいている。アメデオは一瞬逡巡し、オールドコロッサスを見て回避に徹する。

「イヤーッ!イヤーッ!」
「貴公の水軍とやらは見えんな。ネオサイタマ湾あたりででも待ち合わせたか?」
アメデオは幾度目かのフェイントの後に繰り出された左触腕打撃を刺突剣の柄頭で弾き、拘束狙いの本命右触腕を半身で避ける。驚くべきことに最精鋭ニンジャの回避運動はアラシめいた触腕の連撃を前に、寸土とて譲っていないのだ!

「そして、私だけに構っておってよいのか?提督殿」
「何!?グワーッ!?」
ゴウランガ!回避を続けるアメデオに釘づけにされたアズールデスにオールドコロッサスが迫っている!なんたる手練れ同士の休む暇さえ与えぬ即興劇めいた連携か!

「な、ナメるなよ!おれは、父祖ワンソーの水軍の将……!」
瞳を超自然発光させ、不可逆変質したニューロンの混乱した記憶を引き出しつつアズールデスは触腕を引き戻す。そのまま左触腕ですれ違いざまの斬撃を出血しつつも受け、振り向きと同時の掬い上げる斬り払いは逆に右触腕で肩を打って威力を殺す。続く必殺の唐竹割りめいた返しは両触腕クロスガード!タツジン!

「おまえたち、おまえたちごとき!このサザナミ・ニンジャの軍の前には……!」
アズールデスの言葉はウソではない。サザナミ・ニンジャの水軍は今もあるじの命を待ち、深海でオールをこぎ続けている。しかし、アズールデスは未だそれらに命ずるだけの力をソウルから引き出せてはいないのだ。不死海賊めいたミニオンは、ソウルの記憶を頼りに強引にモータルの死体を変質させて作り出した、いわばまがい物に過ぎない。

 アズールデスはオールドコロッサスを睨みつける。その傷はシュウシュウと音を立てて塞がりゆき、目の前のニンジャがそのソウルの力を十全に引き出していることを告げる。アズールデスは妬み、怒り、狂気に身をゆだねる!

「カカレ!」
攻撃指令に残るハイタカとミニオンがオールドコロッサスに殺到する。オールドコロッサスは事も無げにカトラスと重金属弾の波状攻撃をあしらい、アズールデスを見つめ続ける。その冷たい灰色の瞳で。

7T
AM●カスミでI6に移動、回避ダイス10
MP4>3で●針の穴宣言。一発目はI5不死海賊、二発目はAD、翻弄+1
n(46611)(52361)>I5不死海賊破壊、u(635324)
AD連続側転G6
n(44516431454)回避ダイス9
●引き寄せコンビネーションOC(大型のため引き寄せはできないが、精密攻撃として狙う)
h(34144)(555551652)>一発目失敗、OC回避放棄HP10>8
OC★クリオスの狡知、轢殺ADしつつE7u(66)
強化精密攻撃AD
n(345)(3365653261)ヒサツ宣言MP3>2>一発目回避放棄しADHP3>1、u3(5453662)AD爆発四散!
バイタル喪失につきハイタカ機能停止!

「アズールデス=サン。君は狂気に呑まれ、支配を履き違え、己を顧みることもなかった。インガオホーと知りたまえ」
オールドコロッサスは諭すようにゆっくりと告げ、ビークド・ヤリナギナタの刃を突きつける。親友に死刑宣告を下す大審問官めいて。

 アズールデスは激して何事かを叫ぼうとし、ギリギリで踏みとどまった。その間合いにコショウ・ミニオンを切り捨てつつ迫るアメデオ。針めいた刺突剣の一撃を触手で払いのけ、アズールデスはオールドコロッサスを殺しにかかる!

「オールドコロッサス=サン!狙いは御身だ!警戒されよ!」
オールドコロッサスはアメデオの警告をどこか他人事めいて聞く。ニューロンを過剰分泌されたニンジャアドレナリンがどよもし、迫る触腕のアラシがスローモーションめく。揮発性の憤怒任せのカラテが萎靡するさまを、オールドコロッサスは確かに捉えていた。幼子の駄々めいた一打を甘んじて受ければ、凪めいた時空の空隙が現れた。

「イヤーッ!」
アズールデスはオールドコロッサスのカラテシャウトをどこか他人事めいて聞く。その視界は縹渺と朱くぼやけている。アズールデスは、何か巨きなものが、音も影もなく己を通り過ぎたのを感じた。触腕の感覚が無い。腹部が重い。一瞬後、熱が、痛みが、死が、その身に躊躇いなく押し寄せた。

「アバーッ!アバババーッ!」
瀕死のアズールデスにオールドコロッサスは無機質なザンシンを決める。

「これがヒサツ・ワザ。これがシャドウレス。手向けと思いたまえ」
アズールデスは、しばし堪えようと身動ぎし、「サヨ!ナラ!」壮絶に爆発四散!一部始終を見守っていたアメデオが無意識に口笛を吹く。

 カナト・ヴィレッジの禍、アズールデスは滅びた。今少しの時が彼に与えられていれば、本当にワンソーの水軍を縦横無尽に操り、日本全土を蹂躙する災厄めいたニンジャとなっていたであろう。しかし、そのような悪夢は訪れなかった。ネオサイタマを不死の船団が荒廃させつくすことも、キョートのザイバツが謎めいたジツでその船団をしもべとし、暗黒のニンジャ千年王国を築くこともなかった。憑依者、メイノカがその衝動に任せた暴虐の果て、こうしてオールドコロッサスとアメデオに討たれたからだ。

「オールドコロッサス=サン。御身のワザマエ、実際敬服に値しました」
神話めいた沈黙の後、アメデオはオールドコロッサスに呼びかける。その声色はにこやかながらもどこか別人めく。

「貴きお方と轡を並べられたはこのアメデオ・デルーカの誉れ。願わくばまたのお目通りまで御身に憂いなからんことを!オタッシャデー!」
一方的に続けるアメデオの上空にはいつしか欠け円盤めいたステルス輸送機があった。輸送機……オナタカミの最新プロダクトたるナイミツは縄梯子を降ろし、アメデオを回収して飛び去りゆく。

 彼はいかなるはかりごとがもたらした同行者であったのか。オールドコロッサスはしばし呆然とナイミツが飛び去ったあとの空を見上げていた。背後では主たるアズールデスを失った残りのハイタカが機能停止して力なく墜落し、同時にカナト・ヴィレッジからウシミツ・アワーを告げる鐘の音が遠く響いていた。

あとがき

 前記事で書いた通り、マップを使用して7ターンの激戦となりました。さほど広くない作りにしたのに、一気に戦闘が立体的になり、プレイ感のタノシイが段違いに跳ね上がる代わり、記録してリプレイに起こす労力も相応に増大しました。
 今後は、ほかにも試してみたいマップ/非マップの戦闘形式があるので、それらもテストしつつ要所の盛り上がる戦いではマップ重点しようと思います。

 今回は戦闘回ということで、データ的な面について書きたいのですが、このシナリオの制作時意図として、データ的には完全不利、序盤の敵が見せる隙のある挙動にどこまで食らいつけるかが勝敗の分かれ目となることを意図しました(ヴァイスアドミラルの火炎放射器>突撃は固定された挙動です)
 結果、見事にPC側がサツバツ祭りで押し切ることができたので、アズールデスに対し数的有利を保ちつつ討伐することができました。本来NPC専用である●針の穴が猛威を振るったのにも助けられました。
 なお、アズールデスは触腕系ジツスキルのテストヘッドでもあったのですが、●引き寄せコンビネーションは受けの選択肢をかなりリスキーにできるので、いい感じの脅威になれたと思っています。大型化するティターンとの相性が最悪に近かったのがアズールデスの不運でしたが、これは別に意図したわけではなく、プレイ中に気づいた点となります。ケジメして彼に詫びなければいけません。

 シナリオに関してもう一つ述べるなら、本来はどこかでアメデオが落ち、直後にスワッシュバックラーとして体力を減らした状態で復帰してカタをつける想定でしたが、最後まで彼がかわし切ったため、直後の離脱シーンがかなり唐突なものになってしまいました。恐るべきはハタモトのカラテです。
 さて、ティターン・ニンジャクランのテストという点では、今回の追加要素はエンハンスになります。スキル枠を食い、難易度依存で精神消費が上がるかわりにダイスボーナスが2個という形にしましたが、ラストの精神力が2だったことを考えれば、現状まあまあバランスはとれているのかなとぼんやり考えていました。注視対象の★★ゲゲネイスは、アズールデスの攻撃がアメデオに集中したのもあり、あまり効果を実感する被弾がありませんでした。次回に期待です。

 ストーリー的な面では、芝居がかった伊達男やなんやかんやで善良なウミノ=センセイが涼しく書けていればいいなあと思いつつ、小物に見えて油断ならぬヴァイスアドミラルや、ひたすらにソウルに振り回されたアズールデスを描写するのが楽しかったです。サザナミの水軍をどういう扱いにするかを最後まで迷っていたのですが、やっぱり本編同様憑依者も抱え落ちしたほうがタノシイなのではとの思いつきから決断的にミニオンをワンソーの水軍とは別物と定義しました
 次回はいよいよカナト・ヴィレッジの調査に学者二人で挑む、戦闘後調査パートです。ストレンジフィールドワークみを重点するので、ぜひお楽しみにお待ちください。

DIYニンジャ名鑑

◆忍◆DIY名鑑#25【ヴァイスアドミラル】◆殺◆

元アマクダリ・アクシスの精鋭。元は単独でハック&スラッシュをこなすパラディン上がりの企業傭兵であったが、任務中の事故で瀕死となった際にアカラ・ニンジャクランのソウルが憑依。サイバネとの親和性の高いソウルに目をつけられ、最新鋭のサイバネを支給されていた。その判断能力と万能性から、セクトにおいては主にオナタカミ及び日本政府のエージェントとして行動することが多かった。
なお、ニチョーム・ウォーに登場したアドミラルとは一切の関係が無い。

◆忍◆DIY名鑑#26【アズールデス】◆殺◆

電子戦争のトラウマから妄想癖を悪化させていた帰還兵メイノカにサザナミ・ニンジャのソウルが憑依。神話級ニンジャの憑依に伴いニューロンを不可逆変質させ、暴虐ニンジャキングめいた悪夢存在となった。災厄めいたソウルの記憶と現状との乖離に強い欲求不満を抱いており、カナト・ヴィレッジの霊泉伝説に目をつけ村に圧政を布きつつその力で記憶通りの強大なる水軍の主となることを夢見ていた。

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