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質問は使いよう


 学ぶ仲間が変わると、全く違う気づきを得ることができます。先日、企業人たちと一緒の「質問力を磨く(Class Q)」で、質問はこんな使い方もできるのか、と驚かされました。
 企業人と一緒にClass Qは、上智大学が昨年から始めた「プロフェッショナル・スタディーズ」の一コマです。その日は、「閉じた質問」と「開いた質問」の長所と短所をみんなで洗い出しました。
 閉じた質問は、「はい」か「いいえ」、ごく簡単に答えられる質問です。開いた質問はその逆、詳しい説明を求める質問です*。例えば「あなたは人間ですか」と尋ねられたら、答えは「はい」。閉じた質問です。「あなたはどんな人間ですか」だったら、「えっと、明るくて、そそっかしいところもあって…」と人柄を説明することになるでしょう。開いた質問です。
 洗い出し作業で、はじめのうちは学生と大差ない内容が出されました。

 開いた質問の長所:話が広がる、相手の考えを引き出せる
 閉じた質問の長所:答えやすい、集計しやすい…
 
 はっきり違いが出たのは、開いた質問の短所でした。「議論が広がらない」という意見が複数出されたのです。え、なぜ?
 ある企業の人事担当者がこんな説明をしてくれました。
 人事は主に2種類の面談をする。まずは採用面談。入社希望者の人となりを広く深くつかむために、開いた質問を繰り返す。もう一つは懲戒面談。問題を起こした社員相手に閉じた質問を繰り返して逃げ道を塞ぎ、最後に「なぜこんなことをしたのか」など開いた質問で「落とし込む」というのです。その先には懲戒処分が待っています。
 これは予想もしていなかった使い方でした。組み合わせ次第で、質問はいろいろな場面で使えるようです。
 Class Qには、質問力を磨きたい人がたくさん集まります。ここでトレーンングした力をどう使おうとしているのか、少しずつ見えてきます。(マツミナ)


 *参考文献:「たった一つを変えるだけ」(ダン・ロスステイン、ルース・サンタナ著、新評論)

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