書評④世界インフレと戦争~恒久戦時経済への道~

P97~108までの要約です。時間がなくて読むのも辛い

2020年代のスタグフレーションは、1970年代のスタグフレーションよりも複雑に要因が絡まっている。
1970年代は、イラン革命など第4次中東戦争。一方、2020年代は米中貿易戦争、コロナ禍、ウクライナ侵攻、気候変動、少子高齢化などと明らかに2020年代の方が複雑な要因が絡まって発生している。また、先進国においては、1990年代以降のグローバリゼーションにより、海外に生産拠点を置くことで国内の供給力を低下させ、株主資本主義や緊縮財政によって国内の投資を抑制してきたことも要因としてある。
個々の要因を比較してみると、
供給制約は1970年代の石油だけではなく小麦や希少金属、半導体など多岐にわたる。
人口は1970年代は拡大曲面にあったが、少子高齢化による減少局面となり労働力による制約が強まっている。
経済成長は、1970年代においては日本をはじめ高度経済成長を謳歌していたが、2010年代においては長期停滞という世界経済の鈍化が発生していた。
賃金は、1970年代は労働組合の力が強く、賃金の上方圧力が強かったが、2020年代においては、交渉力が弱体化し賃金の上昇が抑制されている。
グローバリゼーションは、1970年代においては進展の途上だったのに対し、2020年代においては2008年からの鈍化傾向から今回のインフレとなった。
地政学的環境においては、1970年代においては、ベトナム戦争などによる弱体化があったものの、アメリカの力が強く、またG7体制が確立された時期である。そして、1990年の冷戦以降アメリカの1極集中が強まり、グローバリゼーションが進展した。2020年代においては、アメリカの覇権が終焉し、Gゼロの状態、ウクライナ戦争の勃発、中国の台頭などが発生している。

このように1970年代と2020年代においては状況が大きく異なり、2020年代の方がはるかに複雑な状況であると言える。

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