書評②(世界インフレと戦争~恒久戦時経済への道~)LIVE PARADE前夜なのにこの題材


はじめに

LIVE PARADEを明日に控えているのに、なにやってるのと言われそうだが、P80まで要約した。理論的な部分について難しいので省略した。それでもかなり奥深いというか、鋭い分析をしていると思う。

インフレの原因

先進国の奇異状況

2020年代においては、アメリカや日本、欧州などの先進国においてインフレが起き、それを抑制するため、議論が分かれている。しかしこれは奇異な状況である。なぜなら、2008年のリーマンショック以降、低インフレ、低成長、低金利という「長期停滞」の方が議論され、とりわけ我が国日本では、30年以上デフレに悩まされているのである。
つまり、高インフレとは過去の遺物であったにもかかわらず、2021年以降復活したこの変化は何を意味するか。その答えは、インフレの種類にある。

2つのインフレ~ディマンドプルインフレとコストプッシュインフレ~

インフレは大別するとディマンドプルインフレとコストプッシュインフレに分けられる。ディマンドプルインフレは需要が大きくなりすぎ供給が追い付かず、財やサービスの値段が持続的に上がるインフレである。労働者の視点からだと需要過剰になると、労働者不足のため、賃金が引きあがる。又は、物価の上昇により実質賃金が低下することにより、労働者が賃金を引き上げを要求する。このようにして、需要過剰がさらなる需要を誘発してどんどん物価が上がっていく。
人々の期待の点からすると、物価が上がると人々が予測するため、今のうち財やサービスを買おうとして、需要過剰となり持続的に物価が上がっていく。そして、それが不動産などの資産に向かうと、資産インフレとなり「バブル」となる。
コストプッシュインフレとは、供給側に制約があり、需要を満たせないため持続的な物価が上昇があるインフレである。原因としては、少子化高齢化による労働力不足といった供給力不足が長い時間続く場合、労働組合の力が強く、賃金の引き上げの圧力が強い場合、コストプッシュのインフレでも人々がインフレの期待を持つ場合、財が独占寡占企業によって算出される場合、為替の影響、円安の場合、自国の政情不安の場合がある。

インフレの結果

ディマンドプルインフレとコストプッシュインフレが引き起こす結果は、ディマンドプルインフレは賃金の上昇や国民所得の増加による経済成長、コストプッシュインフレはその逆の効果を発生させる。
つまり、コストプッシュインフレは解消するべき現象である。一方、ディマンドプルインフレは、マイルドなものであるならば、資本主義として健全な状況である考えられる。なぜなら、ディマンドプルインフレは需要過剰のため、モノを作れば売れ、仕事を探せば見つかるのである。企業からみても、需要があるので設備投資を行い雇用を増やすのである。そして、需要が供給に追いつけば、インフレが収まるというメカニズムである。反対の減少であるデフレは絶対避けなけばならない経済上の病理である。我が国においては、30年以上もデフレだったが。
コストプッシュインフレの解消のためには、研究開発投資や教育投資などの財政支出を増やし、供給を拡大することが最も効果的である。これは、ノーベル経済学賞の受賞者17名が支持するなど経済学という世界でも認識されている。

スタグフレーションとはコストプッシュインフレ

1970年代に物価が高騰する一方で、不況となる「スタグフレーション」という現象が起きた。現状のインフレも「スタグフレーション」とする論者もいる。
コストプッシュインフレは供給不足による物価の高騰により、実質賃金が下がり人々の購買力が減少する結果、需要が減少する。需要面ではデフレに近く、デフレ圧力が発生しているのである。つまり、スタグフレーションとはコストプッシュインフレといえるのである。
つまり、現下のスタグフレーションとはコストプッシュインフレなのである。


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