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『一目惚れ』だけでは納得ができなかったので、伊黒さんが蜜璃ちゃんを好きになった理由を勝手に妄想してみた。

 前に、少年漫画の男性キャラクターが女性キャラクターを好きになる理由が、一目惚れ一択だというのがモヤモヤするという内容のBlogを書きました。

 ちょっと遅くなったけれど、アニメ鬼滅の刃の蜜璃ちゃんの回想シーンを見たら、やっぱり気になったので言葉にしておきたいと思いました。
(「おばみつ」が好きです。靴下のシーンが丁寧に書かれていたのは本当に嬉しかった。)

伊黒さんが蜜璃ちゃんを好きになった理由は、見た目が可愛いから、だけなわけが無い!
と、私は思うので、一目惚れの他にどんな理由があるか自分なりに妄想してみました。

※漫画を最後まで読んでいない方にとっては、下記ネタバレになります。

 伊黒さんの生い立ちは、鬼滅のキャラクターの中でも群を抜いて悲惨でした。
人々から金品を強奪して生計を立てる家系、さらに女性ばかり生まれる家系出身。
唯一の男の子で、珍しい目をしていたので、鬼への捧げものとして監禁されながら育てられ、身内の女性達から口元を引き裂かれるというひどい虐待も受けます。逃亡したことで鬼を怒らせ、一族は壊滅状態。伊黒さんは、煉獄さんのお父さんに助けられて命拾いし、のち鬼殺隊を目指します。

 蜜璃ちゃんとの出会いは、蜜璃ちゃんが柱になりたての頃で、お館様のお屋敷内で迷子になって困っていたところに声をかけたのが伊黒さんだったとの事。蜜璃ちゃんは、初対面の伊黒さんに明るく楽しく飼い猫の可愛さを熱弁し、伊黒さんはその優しさをまぶしく感じたそうです。

 伊黒さんは、身内の女性達からひどい扱いを受けたことから、女性への恐怖心や嫌悪感がなかなか克服できなかったとの事。
そんな女性恐怖症を抱えた人が、見た目が可愛いというだけの理由で特定の女性を好きになるでしょうか。

 きっと、伊黒さんにとって、蜜璃ちゃんはコスパの良い女性だったのではないかと思います。
(と言うと、酷い言いように聞こえるので、理由も読んで欲しいです。)

 伊黒さんの過去の回想シーンで、鬼殺隊に入った後、命懸けで鬼を倒し続け、助けた人達から感謝をされると『少しだけいいもの』になれた気がした…という、回想描写がありました。
自身の出自と過去に深い業を背負っているから、なかなか自分を許せない。好きになれない。命を掛けて鬼を切って人助けをして感謝をされて、やっと自分を『少しだけいいもの』に感じる…。生きていること自体が苦しいだろうと思うほど、恐ろしく効率の悪い自己肯定感の保ち方だと思います。

 そんな時に、ひょんなことで出会った女の子から、迷っているところを案内してあげただけで、話を聞いてあげただけで、感謝をされたらどうでしょうか。
笑顔がすごく素敵な蜜璃ちゃんのことです。
「あれ? 俺、すごく良いことした?」って、伊黒さんが思わず思ってしまうくらい、蜜璃ちゃんは全身全霊で喜びと感謝の意を伝えそう…。
(漫画にそういう描写は無いけど、蜜璃ちゃんは絶対に大げさなくらいに明るく「ありがとう」と言いそう…。)
 蜜璃ちゃんから明るい笑顔を向けられた瞬間、伊黒さんは『少しだけいいもの』になれた気がして、ほっとしたのではないかと思います。
 命を掛けなくても、許される気がする。
彼女の隣に居て一緒にご飯を食べたり、手紙のやり取りをするだけで、『いいもの』になれる感じがしてくる…、じわじわと自己肯定感を上げる事ができたのではないかと、私は思いました。
死の間際に、『君と話しているととても楽しい。まるで自分も普通の青年になれたようで幸せだった。』と、伊黒さんは蜜璃ちゃんに伝えています。

 一方、蜜璃ちゃんにとっても、伊黒さんはコスパの良い男性だったのではないかと思います。

 『添い遂げる殿方を見つけるため』に鬼殺隊に入った蜜璃ちゃん。
 ロマンチストで、「強い男性に守られたい!」という願望も持っているようですが、「男性に幸せにしてもらいたい!」というより、「好きな男性を幸せにしたい!」と考えるタイプなのではないかと思います。
 誰にでも人当りがいい蜜璃ちゃんは、きっとサービス精神が旺盛な人で「みんなに喜んでもらいたい」という気持ちが、行動のモチベーションになっているような気がします。
 過去に、髪を黒く染め、大食いを隠して我慢をしてまでお見合いをし続けたのは、自分が変だと思われたくないという以上に、男性に喜んでもらうために一般的な女性のイメージに自分を合わせるよう努力したというようにも考えられます。
(まあ、「それは無理!」と、なってしまったわけですが…。)

 たくさんご飯を食べても責めず、隣に座っておしゃべりをしているだけで、すっごく幸せそうな笑顔をしてくれる男性がいたら、「この人だったら、私でも幸せにすることができるかも」と思い、徐々に気持ちを素直に話すことができるようになったのではないでしょうか。

 蜜璃ちゃんが、最後に『私、伊黒さんが好き』と自分から気持ちを言えたのは、伊黒さんの前では、自分を偽る必要がなく、気持ちをオープンにさらけ出すことが当たり前となっていたからこそだと感じました。

 「コスパが良い」とは、自分を犠牲にする必要も、偽る必要も、無茶や無理をする必要も無く、自然体で振舞っているだけなのに、お互いにとって居心地の良い関係が築ける、Win-Winな関係という意味で書きました。

 蜜璃ちゃんは間違いなく、可愛くて、美人で、誰もが憧れそうな女の子キャラですが、女性恐怖症の伊黒さんが『一目惚れ』という理由だけで、蜜璃ちゃんの事を好きになった、というのは納得がいかなかったので、勝手に自分で理由を妄想してみました。


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