出囃子について①「愛」

私は出囃子に熱い。
ここで言う出囃子は、お笑いにおいてネタをする演者が舞台へ登場する際にかかるテーマソングであり、落語などの出囃子ではない。

学生お笑いとはいえ演者である私が、芸人の「側」の部分に熱くなるのは非常に恥ずかしいことかもしれない。
だから、「演者である前にお笑いファンである」という言い訳の下、サークルの誰彼構わず出囃子についての議論を交わしている。

前置きが長くなったが、初のnoteのテーマを出囃子にするほど、私が出囃子愛していることをわかっていただきたい。今回は出囃子論と言うより、私が思う出囃子の素晴らしさと、私と出囃子との歩みの始まりを書いていこうと思う。

私が出囃子にハマったきっかけは、サークルの定期ライブである。
1年生の5月、圧倒的な実力不足により出演できなかった定期ライブ。
同期たちを嫉妬の目で見ている中、一つ上の先輩の出囃子に惹かれた。
ギターやテクノが絡み合い、ポップでありながらどこか切ない雰囲気のイントロ。
中森明菜が低い声で歌い出したところで登場。

かっこよすぎる。

ネタの完成度がすごい先輩であるが、それ以上に出囃子がかっこよかった。

最近、
「お笑いの出囃子だから、カッコつけるのってどうなんだろうね〜」
と言われたことがある。
うっせえ。
出囃子というのは演者が観客に、自身の価値観を押し付けることができる、数少ない機会である。
「この曲かっこいいやろ?こんな曲みたいなネタするからちょっと見てね〜」
これが出囃子。なんて素晴らしい。
出囃子が流れている瞬間、演者は、完全に主人公になれる。
私が出囃子を愛している大きな要因である。
出囃子を演者自身が選んでいるライブにおいて、ネタは出囃子のおまけだと思っている。

少し言いすぎてしまったが、一度でもお笑いライブに出演したら出囃子の良さがわかるだろう。
私はApple Musicで、過去のサークル定期ライブの出囃子プレイリストを公開している。
非常にキモ行動かもしれないが、こればかりは許してほしいし聞いてほしい。
また、出囃子論を持っている人は是非私に話してほしい。演者スタッフ観客問わず。


話を戻して1年生の5月ライブ。
ライブが終演し楽屋で出演者、スタッフが歓談している中、出演も働きもできなかった私は隅で一人、もし次回出れたら出囃子は何にしようとワクワクドキドキ YouTubeを見ていた。
当時はコンビを組んでいたので、「相方にどうやってこの曲提案しよう」とかそんな悠長なことを一人。
7月のライブにも圧倒的実力不足で出演できず、相方がサークルを辞めるという未来も予想しない、まだ目が輝いていた時代の私。
当時作ったYouTubeの「出囃子候補プレイリスト」を久しぶりに聞いた。
心なしか明るい曲が多い。センスがない。

ライブ前のハードなネタ見せを終え、7月定期ライブの出演者が発表された。
自身のコンビ名が香盤にないことを確認したところで、相方から解散の電話。
出囃子どころじゃない。
その翌々日の7月ライブ当日。
死にたくなりながらもライブのビラを配り、
先輩スタッフに働いてるアピールをする。
開演時間直前にビラ配りを終え、ダッシュで大学のホールに向かう。
全ネタ立ち見したが、どれも集中はできなかった。

そんな中、同期の出囃子が私の目を覚ました。
5月にも出演し、同じ出囃子だったがよくよく聞くと素晴らしい。

「7番、(コンビ名)!!」

スタッフのがなりの後に流れた独特なイントロ。
力強くも繊細でもある音と裏の細かいピアノ、
頭から離れない特徴的な声。
そのコンビがこのライブで1位を取ったのを含めて完璧だった。

この出囃子が私の出囃子観だけでなく、同期内の出囃子観を大きく変化させた。

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