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現地参戦メンバーによるセミフファイナルレポートvol.1

こんにちはもちです。

柚子と蜜柑さん、Tomoko Moriyamaさん、もちの3人によるリレー形式で、セミファイナルの現地参戦レポートをお送りします!

私は午前の部に演奏された山田ありあさん、小野田有紗さん、三井柚乃さんの3人を担当させていただきます。

※曲目は演奏順に記載します

山田ありあさん

ベートーヴェン/ピアノソナタ第30番 ホ長調 Op.109
片山柊/内なる眼 -ピアノのための- Innervisions for Piano(邦人新曲課題)
デュティユー /ピアノソナタ 第3楽章 「コラールと変奏」
シマノフスキ/4つのエチュード Op.4

コンクールであることを忘れてしまうほどに穏やかでやさしい山田さんの音色でセミファイナルの審査が始まりました。特にここがすごい!と思ったポイントが3つあったので紹介します。
1つ目はベートーヴェンの第3楽章の表現です。優しく歌いかけるような主題の提示、6つの変奏を演奏していくうちにどんどん感動が高まっていき、最後の変奏では感情が爆発しているようでした。そして最後に主題がもう一度登場する部分では、今までの感情の変化を振り返りどこか充実感や慈愛に満ちたような表現で、最初に主題を演奏した時よりも深みのある心の底にじんわりと染みるような演奏をされていました。
2つ目は、「内なる眼 -ピアノのための- Innervisions for Piano」での鋭い音色です。直前のベートヴェンの柔らかな音色とはうってかわって鋭く攻撃的な音色で曲が始まりました。様々な要素のあるこの曲の中でも、特にダイナミックな部分の思い切りのよさが素敵だなと思いました。
3つ目はシマノフスキの第3番と第4番の対比です。重々しく憂鬱な雰囲気の漂う第3番とどこか夢みがちでロマンチックな第4番の対比がはっきり感じられ、山田さんの表現の幅に改めて驚かされました。最後はしっとりとした終わり方で会場を美しい静寂に包んでくれました。


小野田有紗さん

片山柊/内なる眼 -ピアノのための- Innervisions for Piano(邦人新曲課題)
ベートーヴェン/ピアノソナタ第21番 ハ長調 Op.53 「ワルトシュタイン」
ショパン/ピアノソナタ第3番 ロ短調 Op.58

午前の部の演奏者の中で唯一、「内なる眼 -ピアノのための- Innervisions for Piano」でプログラムをスタートさせた小野田さん。この曲の演奏は圧巻でした。音を奏でている時間はもちろんのこと、曲が始まる前の静寂、ペダルで残した残響を聴く時間、休符によって作り出されるわずかな無音の時間、そして曲が終わってから小野田さんが立ち上がるまでの時間、これら全てが演奏として完成されており、息をつく暇もない、という表現がぴったりの演奏でした。
その後のベートヴェンは第3楽章の主題を右手、音域の広い細かいパッセージを左手で演奏する部分で、オーケストラが演奏しているかのようなダイナミックな表現をピアノ一台でされており、ピアノの独奏であることを忘れてしまうほどでした。
そして最後に演奏されたのが小野田さん自身思い入れのある作曲家だと語っていたショパン。インタビューからもこだわりを感じた第3楽章は、小野田さんの深みのある表現が素敵でした。煌びやかな音色で表現された軽快な第2楽章からはガラッと会場の雰囲気が変わり、聴いている人が一体となってどこか悲しげで内省的な要素も感じる小野田さんの表現の中に引き込まれていくようでした。



三井柚乃さん

ハイドン/ピアノソナタ 変ロ長調 Hob.XVI:41
片山柊/内なる眼 -ピアノのための- Innervisions for Piano(邦人新曲課題)
ショスタコーヴィチ/24の前奏曲とフーガ Op.87 より 第24番 ニ短調
シューマン/幻想曲 ハ長調 Op.17

二次予選、三次予選と聴いてきて私が感じている三井さんの魅力はなんといってもしっかりとしたタッチの力強く重厚感のある音色。1曲目に演奏されたハイドンではその魅力が特に感じられました。また、それを生かしながらも細かいパッセージには軽快さも感じられ、とても面白い演奏だなと思いました。
そして「内なる眼 -ピアノのための-Innervisions for Piano」では、一つ一つの要素をとても丁寧に演奏されてました。特にそれを感じたのが中間部で登場する高音のパートで、ここでは聴いている人をはっとさせるような響きを聴かせてくれ、三井さんが演奏するこの曲での1番のアクセントになっているように感じました。
三井さんの演奏で私が1番お気に入りだったのが最後に演奏されたシューマンです。この演奏は本当に圧巻でした。第1楽章のシューマンのクララへの愛がだんだんと高まってく様子は、感情が爆発してしまいそうになるほど情熱的に演奏されていました。その情熱とはうって変わってベートーヴェンの歌曲が挿入されている部分では、優しく撫でるようなあたたかみのある表現をみせてくれました。この表現は、今日私が再発見した三井さんの魅力です。これは第3楽章でも遺憾無く発揮されていました。この曲の第3楽章に私はどこかシューマンの歌曲っぽさを感じるのですが、三井さんは一つ一つの言葉を大切に歌うように、そして愛する人をギュッと優しく抱きしめるようなあたたかさを持って演奏されていました。


会場でコンテスタントの皆さんの演奏を聴いてきて、セミファイナルでは今まで以上に会場の雰囲気の変化が感じられました。コンテスタントの皆さんが考えに考え抜いたリサイタルのプログラム、そこに込めた想い、それらが演奏を通して観客の皆さんに伝わったからだと私は思います。配信でお聴きの皆さんも心揺さぶられるものがあったのではないでしょうか。

いよいよ3日後に迫ったファイナル。ついにグランプリが決まります。
詳細はこちらから!

もちろん今回も配信でのご視聴も可能です!ライブ配信です!

現地参戦の皆さんも、オンライン配信の皆さんも一緒にファイナリストの皆さんを応援しましょう!


さてさて、今回のレポートはリレー形式によるものなので、第2弾、第3弾もあります。ぜひそちらも合わせてご覧ください!

(画像提供ピティナ 撮影:石田宗一郎)


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