【踏み倒したい人必見!】強制執行から逃げる方法を考えてみた



はじめに

最近私が興味を持っていることが強制執行というのはどのようにすれば回避することができるのか、ということです。私自身は特に借金を負ってるわけでもなんでもないのですが思考実験として考えてみようと思います。

強制執行の種類

まず強制執行について考えていく上で重要なのが強制執行の種類について把握することですね。強制執行は主に債権執行、動産執行、不動産執行があります。それぞれ分けて考えていきましょう。

債権執行

債権執行とは

『債権執行とは、債務者が有する第三者に対する債権を差し押さえ、必要があればこの債権を換価して債務者の債務の弁済に充てる執行手続きです。
債務者が個人の場合には、給与債権や預金債権が対象となることが多いです。他方、債務者が事業主や企業の場合には、売掛金債権や貸与金債権が差し押さえの対象となることが多いです。なお、金銭債権以外の特許権や株式なども対象となりますが、これらの権利の場合には、金銭債権ではない以上、換価手続きを経る必要があります。』

らしいです。要は現預金や給与などを差し押さえる強制執行ですね。

動産執行

動産執行とは

『動産執行とは、債務者の所有する動産を差し押さえて、これを換価して、その売却代金によって債権回収を図る執行手続きです。
債務者が所有する現金、貴金属、株券、小切手、美術品、未登録自動車などが対象となります。
なお、総トン数20トン以上の船舶、登録航空機、登録自動車、登録建設機械、登録小型船舶については、一般的に価値が高いことや、公的な登録制度が整備されているため、民事執行法においては不動産に準ずる扱いがなされています。』

らしいです。要は動く資産を差し押さえることですね。

不動産執行

不動産執行とは

『不動産執行とは、①債務者が所有する土地や建物などを売却してその代金によって債権回収を図る強制競売と、②債務者が所有する土地や建物などから生ずる賃料などから債権の回収を図る強制管理の2つの側面を併せ持つ執行手続きです。
債務者が所有する自宅や自社ビルが対象となることが多いです。債務者が所有する土地や建物の共有持分、登記された地上権や永小作権及びこれらの権利の共有持分も対象となります。』

らしいですね。不動産を差し押さえるものですね。

〜それではそれぞれの対策を考えていきましょう!〜

債権執行

預金は差し押さえられる可能性が高い

 まず債権の一つである預金について考えていきましょう。現預金に隠しても見つかってしまう可能性が高いです。なぜなら弁護士会照会をすればはっきりしてしまうからです。

『債務名義(判決、和解調書等)がある場合、弁護士会照会を利用して、三菱UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行、ゆうちょ銀行等のメガバンクのほか、地方銀行や信用金庫、JAに対しても照会を行うことができます。
具体的には、債務者名義の口座の有無、口座がある場合は支店、口座種別、口座番号、口座残高について回答を得ることができます。』

https://saiken-law.com/faq/1080/

らしいです。つまり、弁護士照会を使えば預金の場所を発見できてしまいます。ただ、

『債務者の預金口座の 有無等に係る弁護士会照会を申請しても,金融機関が回答に応じないことが多い。』

https://www.toben.or.jp/message/libra/pdf/2014_05/p02-28.pdf

という記述をしてるものもありますが、まともな金融機関は応じるでしょうし隠しにくいでしょう。ただ海外の金融機関などは難しい場合もあるようです。

『日本国内にある外国銀行の支店に預けられた預貯金債権は対象となりますが、他方、外国銀行の本店や、日本の金融機関でも海外支店に存在する預貯金債権に関する情報の取得は難しいと考えられています。』

海外の金融機関に隠すのも良い手のように感じますが、金融機関が情報を開示しないという保証もないですし海外の金融機関の口座開設の難易度も高いので完璧な手段とは言えません。また、財産開示請求という手段が行われることもあります。

『財産開示手続は,権利実現の実効性を確保する見地から,債権者が債務者の財産に関する情報を取得するための手続であり,債務者(開示義務者)が財産開示期日に裁判所に出頭し,債務者の財産状況を陳述する手続となります。』

ようするに財産開示請求が行われると債務者は財産を記載して提出しなければなりません。これを行わなかったり財産開示請求で嘘をついたりした場合刑事罰が降る可能性があります。

上場株式も差し押さえられる可能性が高い

 上場企業株式も預金と同様に弁護士会照会や財産開示請求などによって発見が可能です。

『既に債務名義を取得しているものの、差押え の対象とすべき口座が不明の場合、金融機関 (銀行、信用金庫、証券会社等)の本店宛に、 本店及び全支店における債務者名義の預貯金 の有無、預貯金を有している場合はその支店 名、口座科目及び回答日現在の残高を照会す ることにより、回答を得られる場合があります(全店照会)。』

https://niben.jp/niben/pdf/NF202111_16.pdf

上場企業株式は証券会社などを通して売買してますが証券会社に対しても弁護士会照会が可能です。よって上場株式も債権者に発見されやすい財産と言えるでしょう。

現預金、上場株式の差し押さえに対する対策①:現金にする

 現預金、上場株式は差し押さえの対象になりやすいようです。ではどのように差押を回避すればいいのか?一番単純なのは現金にしてしまうことです。極端なことを言えば現金にして金属の容器にいれて土の中にきちんと埋めれば執行官や債権者が発見することはまずありません。ただ金額が大きくなった場合なかなか管理が大変そうです。また財産開示請求などがなされた際に記載しなければなりません。金額が大きくなるとばれる可能性が高いです。

現預金、上場株式の差し押さえに対する対策②:bitcoinに変換しハードウェアウォレットに保管する

現金以外に財産を隠す方法はあるのでしょうか?考えつく方法としてはbitcoinにしてハードウェアウォレットにすることです。

『ハードウェアウォレットは、(外観はUSBサムドライブのような)物理テクノロジーです。仮想通貨ユーザーの秘密の暗号鍵をオフラインつまり「コールド」ストレージで安全に保護し、後日オンラインで仮想通貨取引を実行する際に使用できる状態を維持します。』

出典:https://shop.ledger.com/ja

 少し難しいですがハードウェアウォレットは上記のUSBのようなものにbitcoinの秘密鍵を保管するというものです。そしてこのハードウェアウォレットにはパスワードを知らないとハードウェアウォレット本体を差し押さえても利用ができないため意味がありません。その上ハードウェアウォレットのリカバリーフレーズを覚えておけばハードウェアウォレット本体を差し押さえられたり故障したとしても復元できます。このハードウェアウォレットは事実上の執行不能資産として機能します。その性能から多くの司法関係者、利害関係者が「差し押さえができない!」と嘆いております。

『民事執行手続法上の取扱いとして、「譲渡命令が発せられても、差押債権 者としては、債務者たる仮想通貨保有者が秘密鍵を差押債権者に開示する 等の協力がなければできないし、売却命令が発せられて執行官が仮想通貨 を売却しようとしても同様の問題はある。債務者の協力がないと換価でき ないものであり、すなわち代替執行ができないものであるから、そうする ときは、間接強制の方法によらざるを得ないこととなる。ただ、金銭債権 を有する債権者が、めぼしい財産が仮想通貨であるとして、これに対して 強制執行をするのに、結局、金銭の支払を強制する間接強制をしても、実効性は上がらないということにならざるを得ない」(169)といった見解がある。』

https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/kenkyu/ronsou/88/05/05.pdf


『譲渡命令が発せられても、執行債務者たる暗号資産保有者が秘密鍵を差押債権者又は執行機関に教える協力をしないと、実際に差押債権者に対し譲渡ができない。また、売却命令が発せられた場合に執行官が売却を試みても、同様の問題が生じてしまう。

そうすると結局のところ、間接強制(要は、罰金)によらざるを得ないとされる。本類型における強制執行の実効性は非常に乏しく暗号資産が「事実上の執行不能財産」となってしまう場合があることは、厳然たる事実であろう。』

https://www.sn-hoki.co.jp/shop/f/img/items/pdf/sample/5100153.pdf

『暗号資産の財産的価値は、その秘密鍵を管理する者が排他的に支配することが可能であることから、「その他の財産権」として強制執行の対象となると考えられます。 ただし、債務者が秘密鍵を管理している限り、債務者は差押命令に違反して差し押さえられる前に暗号資産を第三者に送付することが可能であること等から、実効性のある強制執行を行うことは困難であるものと思われます。

https://www.sn-hoki.co.jp/shop/f/img/items/pdf/sample/5100153.pdf

『債務者のウォレットで暗号資産を保有している場合には、第三債務者が存在しないため、執行債務者である暗号資産の保有者に対してのみ差押え命令が出されることになります。差押え命令が出されたとしても、暗号資産の保有者が秘密鍵を差押債権者に教える等の協力がない場合、実効性のある差押えはできないため、債権の回収は難しいでしょう。

上記のことからわかるようにbitcoinをハードウェアウォレットに入れられてしまっては対処のしようがありません。ハードウェアウォレットのパスワードまで教える義務はどこにもありません。

現預金、上場株式の差し押さえに対する対策 ③:iDeCoや小規模企業共済の利用

 意外と知られていないのがiDeCoや小規模企業共済といったものは差押禁止財産に分類されているということです。

『意外と知らないのが、これが差押禁止財産であることです。
毎月7万を20年間支払った場合には、1,680万の財産が差押禁止財産になります。』

『イデコは確定拠出年金法という法律の下で運営されています。この法律でイデコの財産は税金の滞納処分以外では差し押さえができない差押禁止財産と規定されています。』

上記をみればわかるようにiDeCoや小規模企業共済は差押禁止財産です。また節税になります。ただ月々一定額までしか積み上げられないことやiDeCoの場合は解約できなかったりするので注意が必要です。

給与債権は差し押さえられる可能性が高い

 預金や株式について語りましたが次に給与債権について考えます。給与債権というのはその名のとおりお給料です。給与債権はどうなのでしょうか?給与債権は財産開示手続、情報開示手続によって簡単に発見されてしまいます。幾つかのステップを踏めば容易に発見できます。

『債務者の勤務先がどこであるのかを把握するのは容易ではなく、実際に債務者の給与を差し押さえることは困難でした。
そこで、一定の要件のもとに、裁判所を通じて、市町村や日本年金機構などから、債務者の勤務先を特定するために必要な情報を取得することができるようになりました。』

いくつかの条件をクリアする必要はありますがサラリーマンの方が一度発見されてしまうと逃げ切るのは難しいでしょう。しかし回避手段もあります。

『給与、退職金等の仮差押え又は債権差押えの申立てをする場合,第三債務者(勤務先)を特定する必要がある (住所 , 氏名)。 こ れ は 事 前 に 調 査 し て おかないと , 弁護士 が依頼を受 けてから 調査を開始 しても, 把 握は困 難である。 給 与 所 得については, 債務者が退職するリスクがあり,役員報酬について も,債務者が役員を辞任するリスクがあるが,第三 債務者がオーナー企業の場合,さらに株主総会決議 等によって役員報酬の支払が打ち切られる可能性がある。』

https://www.toben.or.jp/message/libra/pdf/2014_05/p02-28.pdf

 差押えをされても仕事を辞める、転職するということを繰り返された場合は債権回収が困難になるでしょう。ただ勤務先を特定できてしまう手続きが存在し、安定した職を得られないのでは良い対策とは言えません。

給与債権の差押えに対する対策①:個人事業主になる

 給与債権が差し押さえられてしまう‥ならばどうすればいいのか?個人事業主になるのも一つの解決策です。個人事業主の場合収支の管理は自分でするわけですので第三者債務が発生するとは考えにくいです。売掛金債権などがある場合は第三者債務が発生することもありますが、債権を回収する側は取引先を特定して売掛金債権があるか確認しなければなりません。これは債権回収側にとってみれば非常に困難な作業です。ただ回収できないというわけではありません。万が一第三者から売掛金の存在を聞き出すことに成功した場合差し押さえられてしまします。考えにくいですがリスクはあります。

給与債権の差押えに対する対策②:役員になる

 個人事業主以上に差押え回避がしやすいのは会社役員です。役員は自由に自分の報酬を決定できるため差し押さえされそうになったら役員報酬を打ち切るなりすればいいだけです。また、事前確定届出給与などを通して一時的に給与を支払うと言ったことができ、こういった手段を取られたら財産調査は事実上不可能でしょう。というのも事前確定届出給与などは一時的に計上される債権ですのでそういった資産を財産開示手続や弁護士会照会といった手続きで得ることは困難だからです。

非上場企業の株式の差し押さえはほとんど不可能

 会社役員になることで差し押さえを回避するという手法について考えましたが法人を立ち上げたり会社役員になるには株式を一定数保有することになる場合が多いでしょう。そのため非上場企業株式の差し押さえについて検証していきましょう。一般的に非上場企業株式は差し押さえがしにくいとされています。

『上場株式の場合には市場性があるので評価は容易ですが、非上場株式(特に譲渡制限株式)は評価が困難であり、無価物として差押えされない場合も多いようです。』

『非上場株式については,株券が発行されている場 合,債務者が株券を占有しているときは,動産(有 価証券)の仮差押え又は差押えにより,第三者が占 有しているときは,株券引渡請求権の仮差押え又は 差押えによる(第三者から任意の株券提供を期待で きるときは,動産の仮差押え又は差押えによる。民 事執行法124条)。株券が発行されていない場合は, 株式(株主たる地位に基づく諸権利の総体)の仮差押え又は差押えによる。このように株券の発行・不発行の別,占有者が誰かによって手続を異にするから, 非上場株式の場合は,これらの事実を正確に把握しなければならない。  また,取引相場のない非上場株式の強制執行に際しては,差押え後に評価人による評価(民事執行規 則111条1項,139条1項)が必要となるが,実務上, そのために過去3期分の債務者の決算書等の提出が 求められることが多い。しかし,第三債務者が任意 に提出しないことがあり,このような場合には手続が停滞してしまう。弁護士としては,事前にこれらを入 手するか,その見通しがあると判断した場合に,申 立てに及ぶほうが賢明ではなかろうか。』

https://www.toben.or.jp/message/libra/pdf/2014_05/p02-28.pdf

譲渡制限が付された非上場株式の売却が非常に困難であり、非現実的である』

 上記からまず非上場企業株式を差し押さえるにはその企業にどれだけ財産があるのか調査する必要があり、競売にかけてどれだけの金額で売れるのかと言った問題をクリアしなければなりません。しかし、それらの資料を手に入れるのは非常に手間も時間もかかります。そもそも差押え回避のためのスキームとして作った法人に評価額がつくとは思えません。また一人法人などと言った場合も評価額がつかないでしょう。そして債権を回収する側にとって最も厄介なのは譲渡制限のある非上場株式です。

譲渡制限のある非上場株式を差し押さえられ売却をする意向を示された場合非上場企業が選択できる選択肢は三つです。

ー、そのまま売却させる
ー、指定買取人に株式を買い取らせる
ー、当会社が買い取る

 買い取るという選択肢がありますがいくらで買い取るのかというと基本的には純資産に対する株式の持分で考えます。これは何を意味するのか?意図的に債務超過にしたり純資産を0にした場合0円で買い取ることができるということです。こうした操作ができる以上全力で差し押さえから逃げられたら債権者はどうしよもないでしょう。それもあって非上場企業株式を差し押さえた例は少ないようです。

動産執行

 

動産執行はそもそも意味ない?

 次は動産執行について考えていきますが動産執行はほとんど意味がないのではないのかと言われてたりもします。

『本サイトの「裁判を始める前と裁判が終わった後にとる手続」のところにも記載しておりますが,自宅内にあるすべての財産を差し押さえることができるわけではなく,「差押禁止財産」という文字どおり差押が禁止されている財産があります(民事執行法131条)。むしろ,実際は原則と例外が逆転しており,大多数が差押ができない財産となっています。以下,差押が禁止されている財産について列挙していきます。』

『これらの要因の結果,動産執行事件は,90%程度 が執行不能で終了しており,税務上の損金処理の1つ の方法として利用されることが多く,本来の機能を 果たしていない(三上照彦著「情報発信の重要性─ 「新民事執行実務」10号の刊行に寄せて─」,前掲 「新民事執行実務」10号,6頁)。』

https://www.toben.or.jp/message/libra/pdf/2014_05/p02-28.pdf

 上記を読めばわかるように動産執行はほとんど意味がないようです。
具体的に差し押さえ禁止の動産とはなんなのかと言うと、

『【債務者等の生活に欠くことができない衣服,寝具,家具,台所用具,畳及び建具】

→これが一番差し押さえ禁止にひっかかるもので,ほぼすべての生活道具の差し押さえが禁止されています。したがって,タンスやテレビなど生活に必要なものは原則として差し押さえをすることができません。もっとも,「原則として」と記載した通り,例外もあります。例えば,価値のあるテレビが何台もあるようであれば,2台目以降は差し押さえることが可能ですし,高価なブランド食器などは差し押さえができる場合があります。

生活必需品には該当しない物としては,高級腕時計や貴金属,ゴルフクラブ,絵画などになります。  

  

【債務者等の一月間の生活に必要な食料及び燃料】

→文字どおりそのままで,食料や灯油などは差し押さえができません。そして,仮に差し押さえができたとしても,食料などは価値が低いため現実的にも差し押さえるメリットはないと思います。 


【標準的な世帯の二月間の必要生計費を勘案して政令で定める額の金銭】

→預貯金は債権執行となりますが,現金は動産執行の対象となります。しかし,66万円までの現金は差押が禁止されています(民事執行法施行令1条)。

ちなみに,現金については,一般家庭というより店舗や事務所などの動産執行の際に差し押さえができる場合があります。以前,過払金の返還事件が多かった時に,とある消費者金融のATM内の現金を差し押さえるということが多くみられました。 


【主として自己の労力により農業を営む者の農業に欠くことができない器具、肥料、労役の用に供する家畜及びその飼料並びに次の収穫まで農業を続行するために欠くことができない種子その他これに類する農産物】

【主として自己の労力により漁業を営む者の水産物の採捕又は養殖に欠くことができない漁網その他の漁具、えさ及び稚魚その他これに類する水産物】

【技術者、職人、労務者その他の主として自己の知的又は肉体的な労働により職業又は営業に従事する者(前二号に規定する者を除く。)のその業務に欠くことができない器具その他の物(商品を除く。)】

→端的に言うと,このようなものが差し押さえられてしまうと,債務者が収入を得る術がなくなってしまいますので,禁止されています。  


その他,下記のものも禁止されています。債務者にとってなくてはならないものである反面,債権者としては財産価値がなく差し押さえても現実的な回収ができませんので意味がありません。

【実印その他の印で職業又は生活に欠くことができないもの】
【仏像、位牌その他礼拝又は祭祀に直接供するため欠くことができない物】
【債務者に必要な系譜、日記、商業帳簿及びこれらに類する書類】
【債務者又はその親族が受けた勲章その他の名誉を表章する物】
【債務者等の学校その他の教育施設における学習に必要な書類及び器具】
【発明又は著作に係る物で、まだ公表していないもの】
【債務者等に必要な義手、義足その他の身体の補足に供する物】
【建物その他の工作物について、災害の防止又は保安のため法令の規定により設備しなければならない消防用の機械又は器具、避難器具その他の備品】』

確かに見た感じですと家にあるほとんどのものはカバーしてますね。

 
ちなみに動産執行をする際に債務者が不在の場合鍵屋がドアを強制解錠して入るらしいです。

電子錠の場合どうなるのだろう

『なお、債務者が差し押さえを拒否するケースや債務者が不在のケースもありますが、この場合は強制解錠(鍵屋により鍵が開けられるなど)が行なわれます。』

ここで私が考えたのはピッキングできない電子錠の場合どうなるのかということです。

https://curashi119.jp/kagi/prevent_unauthorized_unlocking/

ピッキングで開けれないとなると執行官はドアを破壊するといった行為をするのでしょうか?民事執行法には執行官は、「戸」を「開くため必要な処分をすることができる」(民事執行123条)とかいてあるのでやろうと思えばできるのでしょうが、

『⑵ 執行場所となる建物について,高度のセキュリティ・システムが備わっていたり,ピッキング防止 が施されて解錠が困難なため,立ち入ることができ ず,執行不能となる事例が増加しているとのこと であり(前掲「座談会」,新民事執行実務9号, 36頁),事前に解錠できるか否かを確認しておく ことが望ましい。また,技術力の高い解錠業者を 確保することも必要である。』

https://www.toben.or.jp/message/libra/pdf/2014_05/p02-28.pdf

と書いてあったり、電子錠だけで執行不能にできるのではないかと疑ってます。確信はありませんが。

不動産執行

不動産執行は発見されやすい

 『不動産は住所が分かれば所有者や担保権の設定状況を登記から調べることが可能です。まずは、相手方(債務者)の本店や営業所など、こちらが把握している相手方関係先の土地建物の登記情報をすべて確認することになります。法務局に行き登記事項証明書を取っても良いですが、インターネットの登記情報提供サービスを利用して閲覧することも可能です。』

相手が利用してる土地や建物を見つけ出して登記事項証明書を取ってくるらしいです。相手が使用しているということがわかればいいので意外と簡単そうですが、

『相手方(債務者)が、利用せずに隠し持っている不動産をすべて把握するのは、現実的には難しいものがあります。』

とも書いてあります。ただ土地や建物を利用しないで放置するのはコストの面からもあまりいいことですし、財産開示手続によってばれてしまう可能性もあります。

差し押さえ回避のために名義変更は禁止されてる

 差し押さえ回避のために名義を変更すればいいのではないかという考えもありますが
『その期間に物件の名義変更をしてしまったら差し押さえを回避できるでしょうか?
結論から言うと難しいです。
差し押さえ回避のために名義変更をする行為は「詐害行為」と呼ばれ、禁じられています。』

とあるように差し押さえ回避のための名義変更は禁止されてます。

差し押さえ回避のために名義変更できる場合



さきほど不動産の名義変更は禁止されてると話しましたが抜け道もあります。名義変更は債権発生前なら問題ありません。

『債権者からの差押や競売の申し立てを回避するために債務者名義の不動産等を他人に移転させる行為を詐害行為といいます。

さて、その詐害行為については最高裁判例で次のようなものがあります。

S33.02.21 第二小法廷・判決
債務者の行為を詐害行為として民法第四二四条を適用するには、その行為が取消権を行使する債務者の債権発生後になされたことが必要である

S55.01.24 第一小法廷・判決
不動産物権の譲渡行為が債権者の債権成立前にされた場合には、その登記が右債権成立後に経由されたときであつても、詐害行為取消権は成立しない


普通に考えれば、そのような財産があったからお金を貸したんだという理屈が成り立ちますから、質問者さんの債務発生前にその不動産を別れた奥さん名義にしておけばよかったということになります。』

なので債券が発生しそうな予兆がある場合すぐさま不動産の名義を移すといいかもしれません。ちなみに離婚の財産分与によって名義変更ができたりするらしいです。配偶者がいる場合はこれも良い手かもしれません。

賃貸物件に住めば差し押さえはできない

 不動産も賃貸物件に住めば差し押さえはできません。その物件は他人のものであるため差し押さえできないのは当然です。賃貸物件に住むのが不動産執行に対しては単純ですが強いのではないでしょうか。

自動車執行

 不動産執行と関係ないですが自動車も比較的差し押さえされやすい財産です。自動車執行を行うには債務者と自動車の名義が一致してないといけません。

『自動車執行が認められるためには、強制執行を受ける債務者(債務名義にかかれた債務者)と自動車の登録名義(所有者欄)が一致していなければなりません。』

https://saiken-law.com/columns/312/#:~:text=%E8%87%AA%E5%8B%95%E8%BB%8A%E3%81%AE%E5%BC%B7%E5%88%B6%E5%9F%B7%E8%A1%8C%E3%81%AF,%E6%B0%91%E4%BA%8B%E5%9F%B7%E8%A1%8C%E8%A6%8F%E5%89%87%EF%BC%98%EF%BC%96%E6%9D%A1%EF%BC%89%E3%80%82

ということは自動車の差し押さえを回避するには不動産と同じ手法で名義変更をすれば回避できると言えるかもしれません。また売却価値がなかったり、生活や仕事に必要不可欠な場合は差し押さえがされないそうです。

『車に関しては、普段の使用目的や地域の環境などにより差し押さえ対象になる場合とならない場合があります。

例えば自営業を行っており、仕事で車を使用しているような場合には、差し押さえの対象になりません。公共交通機関があまり充実していない地域で、車がないと生活が困難な場合にも、差し押さえの対象外になることがあります。

また、差し押さえはあくまで現金に替えることを目的として行われるため、経済的価値の低い財産は対象になりません。車の場合には、売却の際の査定額が20万円以上なら、差し押さえ対象になります。そのため、古い車の場合には差し押さえられないケースが多いです。』

まあ回避できるかどうかは人それぞれですね。

まとめ

 個人的に思ったのは差し押さえ回避がしやすい人としにくい人がいると言うことですね。サラリーマンとかは難しいんじゃないでしょうか。


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