【毎週ショートショートnote】 ルールを知らないオーナメント

「メリークリスマス! 狩田くん」
「テンション高いっすね?」
「ああ、うれしいことがあってね。いなは部屋の奥にいるから、クリスマスパーティーの準備を頼むよ」
「わかったっす」

ついに、俺といなちゃんが、二人きりになれる場をイヨさんがつくってくれた。

今日こそ告白する。

リビングに行くと、いなちゃんがポストカードを壁に貼っていた。


「いなちゃん…なんすか、それ?」
「オーナメント。クリスマスの。かわいいでしょ」
「ああ…うしろがテープでツリーになってんすね」
「ん」

俺は壁に貼られているポストカードをひとつずつ見る。


狩田! いいかげん、ちゃんと言えよ! ーー小番


大丈夫だよ。自信もって、言えば大丈夫だよーー猫屋敷


ネコクインテットのなかで、女性人気が高いのは、あなたです。ちなみに小番さんが男性人気一番です。ーー山上


他にも何人もの知りあいが、俺へのエールをおくっている。

「狩田、言うことない?」

いなちゃんが、見たこともない笑みを浮かべてた。