【毎週ショートショートnote】アナログ巌流島

「犬先輩! 勝負です!」
「え、なに?」
「どっちが、林檎さんをよろこばせられるかの勝負です!」
「なんで、そんなこと、しなきゃならないのさ」
「勝負です!」
「どんな勝負なの?」
「林檎ちゃんは、口をはさまないで、ややこしくなるから」
「ルールは、林檎さんを口説いて、恥ずかしがらせたら勝ちです!」
「え…それ、僕になんのメリットがあるの?」
「私が先行です!」

理香ちゃんは、大声で叫ぶ。

「林檎さん大好きです! つきあってください!」
「ごめん。好きなやついるから」
「その人を忘れるくらい、愛します!」
「ごめんね。それもいいかな」
「なら、お友達からでも、いいので!」
「もう、友達だよね」

理香ちゃんは、満足そうに僕を見た。
これ、勝敗、どうやって決めるの?
林檎ちゃんが顔を赤くしたらとか、ものすごいアナログじゃん。

「次は、犬先輩ですよ!」
「ええ…。えっと…。いつも仲良くしてくれてありがとう。これからも、仲良くしてね」

林檎ちゃんは大爆笑した。