【毎週ショートショートnote】 あるべき成仏宴

「アニキ、ネコクインテットのなかでは、だれがタイプ?」

妹のいなが、俺のマンションに遊びに来るなり、問いかけてきた。

「いな…。人のセクシュアリティに土足で上がったな?」
「ごめん。気になって」
「まったく…。バンドメンバーにも、そんな話をしてるのかい?」
「してない」
「なら、なんで、そんな話をするのかな?」
「こづかいが、アニキのこと好きだから、オススメしとこっかなって」
「んー…。いな。たぶんその好きは、違う好きだよ」
「憧れが恋愛感情に変わるのは、早いと思う」

妹よ。どこでそんなことを学んだ。

「だから、がんばれ」
「なんで応援?」

俺が独り身なのを心配してるのは、わかるけど、独特な心配の仕方なんだよなあ。




後日、楽屋に遊びに来た妹と、こづかいくん。こづかいくんの猫耳を褒めてたら、いきなり倒れた。

「俺、死んでもいいです…」
「いや、生きよう!?」
「推しに会えたから死にます…。今日を記念日にして盛大に祝おう」
「死んでないよね、それ」