【毎週ショートショートnote】ヘルプ商店街
「商店街でライブ?」
「そ、シャッター商店街になりつつあるから、ライブして盛り上げてってね、お願いされたの」
「そうなんすね」
小番はリーダーである猫屋敷から渡されたチラシをみる。
チラシには、大きな文字で『ネコクインテット』と書かれていた。
小番の心がじいんと震えた。
「こづかい、嬉しそうだな」
「小番。俺、地元でライブやるの夢だったんですよ」
「安い夢」
「なんだと!」
小番を挑発したのは、いなちゃんこと川井いなだった。
いなちゃんは小番の楽器を弾く腕前に嫉妬しており、時々、小番に喧嘩を売っている。
小番もいなちゃんの女性人気に嫉妬しており、時々、いなちゃん以外のメンバーに、愚痴を言っている。
「似たもの同士だから、仲良くすればいいのに」
「なら、二人にデュエットでもさせますか」
「二人とも音痴だから、無理っすよー」
「狩田って、意外と毒舌だよな」
「なら、こうしたら?」
ライブ当日、小番といなちゃんの即興ソング対決は大盛り上がりとなった。