【毎週ショートショートnote】草食系男子に教えられたこと


「鎌犬(かまいぬ)ー!」
「しーっ! 静かにして!」
「えー、なんでだよ」

そう言いつつ、私は鎌犬にもたれかかる。
鎌犬は顔を真っ赤にしている。

どうやら鎌犬は私を女の子認定しているようだ。
最近、気づいたのだけれど。
気づいたからには、遊ぶに決まっている。

「周囲の目が気になりすぎるから、せめて僕を呼ぶときは、静かに呼んでください」
「えー、なんでだよ。つまんないじゃん」

そう、つまらない。
鎌犬は絵に描いたような草食系男子だ。
私は鎌犬がつくる弁当をかっさらって食べるくらいには、好きなのである。

「せめて、私の名前をちゃんづけで、呼んでくれたら考えるかなー」
「わかった」

鎌犬は上目づかいで私をにらんだ。

「林檎(りんご)ちゃん、やめてください」



うん・・・。
なんだろう、この気持ちは。



「お前、めちゃくちゃ可愛かったんだな」
「ええ!? なにそれ、どういう意味なの!」
「そのままの意味だけど」


草食系男子に可愛いさを教えられるとはな。
最高じゃん。