【毎週ショートショートnote】 なるべく動物園

「なーにーがー、なるべくだっ! 俺ら全員猫枠だっただろ!」
「まーまー、落ち着くっすよ。そういうコーナーだったから、しょうがないっす」
「落ち着けるかあ!」

こづかいのバカが暴れてる。
私は巻き込まれたくないから、楽屋から出る。

「おい、川井。どこ行くんだ?」

なぜ気づいた。

「あ、いなちゃん、お兄ちゃんのとこ行くの?」

アニキいんの? 知らない。

「お兄さんって…。オノマトペピアノさんとこか!? 川井、連れてってくれ」
「え、やだ」
「やだとか言うなよ!」

こづかいが駄々をこねるから、仕方なくリーダーが教えてくれたアニキの楽屋へ二人で行った。

「ああ、いな。めずらしいね。同じ仕事場にいるなんて。そっちの子は…こづかいくんか」
「小番! です…」

すごい。こづかいが、しなしなしてる。

「猫耳かわいいね」
「あっ! っす…」

アニキが、こづかいの猫耳をふにふにさわる。

『なるべく動物園』のコーナーでつけた猫耳、私も外すの忘れてた。

こづかいが倒れた。