テレビ番組を思い出す「2001年 虎の門」

いよいよ2001年。私も何も会社が潰れて、また職なしの生活が始まる年、暇は山ほどあった時代。

その年に始まったのが「虎の門」です。

「虎の門」はテレビ朝日の金曜日に放送されていた夜中の生放送の番組です。3時間の生放送でした。

毎週違った司会者が登場して、それを勝俣州和さんと坂下千里子さんがフォローする番組です。

3時間の中には様々なコーナーがあり、人気のコーナーは井筒監督の「こちトラ自腹じゃ」のコーナー

井筒監督が自腹で金を出して、映画を見て評価をするコーナー。試写会でタダで見れば、当然褒めなければならないが、自腹で見ているのだから言いたいことが言える。忖度なしのコーナー。

これがひどい。映像の撮り方がなってないから始まり、ストーリーが訳分からんと言い出すは、最終的には全部見ずに寝てしまった。なんて映画もあったり、

このコーナーが有名になってしまったのか、映画のワンシーンを出すために映画会社は映像を貸してくれるのですが、この番組には一切貸さないと主張する映画会社も無くはありませんでした。

この役者の映画だから、ハリウッドだから面白いに決まっていると言う概念を悉く覆したコーナーでした。どの映画評論家より奇抜でした。

そして、次はいとうせいこうさんのコーナー「朝まで生どっち」くっだらないテーマを永遠と話し合う。話芸の達人たちしかできないコーナー。例えば「高田純次と関根勤、芸能界一くだらないのはどっち」や「ワールドカップとFカップ興奮するのはどっち」等真剣に話し合う様子は深夜ならではの面白さでした。

その後、1時間になるのですが、いとうせいこうさんの様々な企画で虎の門は有名になります。例えば、
「うんちく王」もその一つ。

伊集院光さん、上田晋也さん、松尾貴史さん、なぎら健壱さんなど様々な蘊蓄家が登場。最初はだらだらと蘊蓄を語っていましたが、段々、競技性が出てきて、このテーマで20秒で蘊蓄を言ってください。って感じになりました。

クイズでもない、ゲームでもない。言葉を使った戦い。大人が見て楽しむものを「せいこうナイト」は提供していきます。

そして、「うんちく王」に続き世に出したのは
「しりとり竜王戦」お題に沿った言葉でしりとりを行う。大喜利としりとりを混ぜたもの。

例えば「宮崎駿がボツにしたタイトル」とか「こんな家は嫌だ」とか、順番にしりとりをしていくのですが、審査員が技あり、1本で判定をして得点を争うという、こちらも大人が酒を飲みながら、ニヤニヤしながら楽しめるコーナーとなっていました。

言うの間にやら番組は終わっていましたが、今のテレビは、大人が酒を飲んだり、コーヒーを飲んだりしながら、笑いながら楽しめる番組がなくなりました。夜中のテレビには下らない事でも、皆んなが真剣にやるという面白さがありました。

しかし、今はどうでしょう。下らないの一言で片付けられてしまいます。情報がなければいけなくなりました。

昔、めちゃイケで加藤浩次さんが、「めちゃイケでも情報性を出さないとダメだよ」と語っていた時、当時のプロデューサーの中嶋さんは

「めちゃイケは情報性が無いから面白いんだよ」と言いのけました。

今、思えば加藤さんの言っていることは間違っていないのですが、とんねるずにしてもめちゃイケにしても情報性の無い番組の面白さ、0から1を作ってみる手作り感の番組。

虎の門にはそんな0から1を作る過程を見せてくれたような気がします。

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