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不妊治療と陽性判定

陽性判定が出た。

2016年に不妊治療を始めて約2年半。大学受験の合格判定よりも、就職活動の内定よりも、恋人からのプロポーズよりも手に入れるのが難しかった。

努力の方法はなく、医療に頼るしかない、自分の無力さを感じるという道のりは、やっぱり病気と似ているのかもしれない。

陽性判定というのは受精した卵子が子宮に着床したことを示す数値であって、この先妊娠が継続する確証とセットではない。

これから先も一喜一憂し、たとえ出産ができたとしてもそれはゴールではなくて長い長い子育てという旅路のスタートライン。

そう考えたらなんだか頭がクラクラしてくるけれど、不妊治療をしてきて無駄ではなかったと思うことは「人は毎日毎時間毎分毎秒、刻々と年を取っている」ことを肌身に感じたこと。

年齢を的確に冷静に捉えることは、難しい。

社会人を経て大検を取得したり大学に入り直す人がいる。さまざまな人生を経て50代60代で結婚をする人がいる。転職はいつでもできる。

時代がめぐり、障壁が少なくなり、いつでもいくつになっても人生を取り戻せるようになった。

けれど、妊娠出産のメカニズムは変わらない。医療技術は進歩しているけれど、年齢の壁はまだまだ厚い。頭でわかっていても、心からそれを理解する頃には人間はすでにソコソコ年老いているものだ。

陽性判定、という不妊治療者にとっては光きらめくような天からの合格通知に心がすこし踊りながらも、この先いくつもある関門を考えて気が遠くなる。

2010年のバンクーバー冬季五輪で4位となり、ギリギリのところでメダルを逃したモーグルの上村愛子選手が口にした「なんでこんなに一段一段なんだろう」という言葉をふっと思い出した。

秋の夜風が気持ちのよい季節になりましたね。

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