クロノマギア表紙

クロノマギア『鳳牙の聖戦』 解体新書

 こんにちは、りっくんです。今回は、1ヶ月ほど前にリリースされましたクロノマギアの新弾『鳳牙の聖戦』により、クロノマギアの環境がどう変わったかを紹介して行きたいと思います。
 『どのデッキが』『なぜ強くて』『使い方はこんな感じで』ってことを、余すところなく、丁寧に、デッキレシピとともに説明して行きます。

  最近、Jリーグのヴィッセル神戸がイニエスタを獲得して大騒ぎになりましたが、正直、今回の新弾環境は、例えるならば、Jリーグでそれぞれのチームがいい試合をしていた所に、イニエスタだけどころか、メッシ、ネイマール、クリロナ、カバーニ、モドリッチ、マネなど、超一流のスタープレイヤーが一気に入ってきちゃった感じなので、このはちゃめちゃ具合をうまく説明できるかどうか、若干不安です。

 では、混沌の新環境、見ていきましょう。

新弾黎明期、プレイヤーの度肝を抜いたカードたち

 僕はそもそも、クロノマギアというゲームを、『攻撃力1、防御力1の差を争い、少しの有利を地道に積み立てていくゲーム』だと初心者記事で書いたのですが、新弾環境には、明らかに『そいつの働き次第でそもそも勝っちゃう』レベルのカードがいくつか封入されていました。
   後でそれぞれのカードは詳しく紹介しますが、これらのカードは、『サモンされる』または『破壊される』ことが超強力な効果のトリガーになるので、まず最初にプレイヤーが考えなければいけなくなったのは、『どうすればこいつらの効果を無力化できるか』ということでした。
   そこで、新弾前から、与えられるカードによっては強くなるんじゃないか、と言われていた一人のリーダーが、最初に流行り始めました。

盤面制圧の鬼、暗殺レオ

   レオ・ブルームフィールドです。このキャラは、今の所、全キャラの中で唯一、『セット状態のカードを即死させる』マギアスキルを持っています。セット状態で即死したカードは、即死時の効果を含め、いかなる効果も発動することができません。なので、これを生かして、『サモンされたら止まんないカードは先に殺しちゃおうぜ笑』となったのが、新弾の最初のトップデッキ、『暗殺レオ』です。

 デッキレシピは、こんな感じです。これは、ランキングマッチ獣王杯全国2位、第二回アップバンク杯準優勝など、クロノマギアのトップを走るShoheiさん(twitter:@sh0he1n0)の暗殺レオのレシピです。これの詳しい使い方を説明してると日が暮れてしまいますので、ささっと『このデッキのどんなところが強いのか?』ということを説明して行きたいと思います。

 最初に説明しなけれないけないカードは、この『水帝チュウボウ』というカードです。このカード、とにかく強い。こいつも、クロノマギアの中に紛れ込んだやばいカードの筆頭です。サモン時に一枚4コスト以下(ほぼ4コストを伏せられるようにデッキを組みます)をコスト消費なしで伏せられることにより、実質2コストでこのカードを出すことができます。
 さらに、アタック時に相手の手札のコストを全部1上げられるため、その次のターン相手がチュウボウを処理するために例えば2枚伏せたとしたら、そこでさらに相手と2MP差をつけることができます。
   暗殺というマギアスキルは、使うのにMPが4必要なため、いかにMPを残しながら戦えるかが肝になります。その戦い方に、このカードはあまりにも噛み合いすぎていました。

    さて、そんなこんなで相手とリソースの差をつけたら、そろそろ暗殺の準備に取り掛かります。そこで大事になるのは、『死霊』と『水棲』の両属性をもつ、この2枚のカードです。
 暗殺を発動するには『死霊タイプ2枚』と『水棲タイプ1枚』が必要になるため、このカードが1枚盤面にあれば、後1枚だけ『死霊タイプ』を持つカードを出せば発動可能になるので、非常にマギアスキルが使いやすくなります。

 死霊水棲を持つクリーチャーが盤面に出たら、『死霊』かつ『速攻』を持つケルベロスの出番です。こいつを速攻で飛ばして、暗殺の発動条件を揃え、そのまま相手のクリーチャーを問答無用で暗殺します。これが、暗殺レオの基本ムーブです。

しかし、暗殺レオは、速度のあるデッキではなかった。

    このムーブは、確かに強力でした。MP消費は多くなってしまいますが、チュウボウと合わせてMPの消費を抑えることができたり、そもそも『暗殺がある』ということを匂わせるだけで相手の動きを牽制することができるため、盤面の駆け引きには非常に強いデッキとなりました。
 しかし、このデッキは、盤面においては強くても、別段『相手のライフを削る力』が強いわけではありません。いくら盤面を制圧しても、ライフを削ることができなければ、試合はお互いがデッキを引き切るまで続いてしまいます。

その弱点を抑えて、史上最悪の害悪デッキの一つが、流行り始めました。

理論上最強 LOコントロールエレナ

 史上最悪のコントロールデッキとは、LOエレナのことです。このデッキは、2つの点から、暗殺レオを圧倒することができました。
    ポイント1 豊富な除去札で試合を長引かせることができる。
   
コントロールエレナの特徴は、『自分から動き出すことは極力せず、相手の動きに合わせて最適な除去札を選択していく』ということにあります。多少相手にクリーチャーを展開されても、エレナの防御力は2あるため、そう簡単に相手にライフを削られることはありません。それを利用して、常に後出しで相手に対応して行きます。
  ポイント2 マギアスキル『ウェイクアップ』により、『伏せる』という行為をスキップできる。
  ここがとても大事なのですが、エレナは、ギア1に『ウェイクアップ』という、盤面にどんな属性がいてもいなくても発動できる『カード強制サモン』のマギアスキルを持っています。
 先ほど説明したように、暗殺レオの特徴は、『伏せたカードをなんでも殺しちゃうぜ笑』という暗殺と、それによる『盤面では絶対に負けないぜ』という制圧力にあるので、そもそも盤面で戦わず、伏せる行為すらスキップするコントロールエレナにはほぼ勝ちようがありませんでした。

そもそも、LOって何?

 このデッキの紹介を始める前に、『そもそもLOってなんだっけ?』と疑問に思う方もいるかもしれません。なので、それを簡単に補足しちゃいたいと思います。

   クロノマギアというゲームは、デッキがたった20枚しかないため、うかうかしていると、すぐにデッキが尽きる仕様になっています。さらに、デッキが尽きた状態でさらにカードを引こうとするたびに、『1→2→3→4→5・・』と増加していくスリップダメージを受けてしまう仕様になっています。それを利用して、『相手のデッキが無くなるまで粘ろうぜ!』というコンセプトを勝ち筋の主眼に据えたデッキを、『LOコントロールデッキ』と言います。
   その駆け引きにおいて最も大切なカードになるのが、『トロイアの木馬』というカードです。自分は最初このカードを見たとき、『たった4ダメージで相手に1枚カード引かせるのかよwwwよっわwwww』と思いましたが、実際、このカードとんでもねえです。
   例えば、相手がカード引き切ってから2ターン後にトロイアの木馬を相手に向かって打ったとしましょう。すると、相手は『もう引けないカードを、トロイアの木馬の効果によって引こうとしなければいけない』ようになるため、そこにもスリップダメージが発生してしまいます。2ターン後ならば、スリップダメージは2になるので、トロイアの木馬によるダメージは、4(トロイア自体のダメージ)+2(引こうとしたことによるダメージ+1(次のターンのドローは、トロイアで引こうとした分も加算されたスリップダメージを受ける)で、7ダメージになります。
   文章で説明するとクッソわかりにくいですね。要するに、LOまで粘ってトロイアの木馬を打つという行為は、サッカーで例えると『最後のPK戦まで粘った上で、相手にPKを蹴らせない特殊ルールを発動する』ようなものです。

LOコントロールエレナの立役者たち

 LOコントロールエレナは、粘るために、『パワーカードを伏せ、それをウェイクアップで自分で強制サモンし、効果を発動させる』という行為を主に繰り返します。そこで大切になってくるのが、この『邪竜ヤマタノオロチ』と『破砕の魔人エンケラドス』というカードです。
   書いてある通り、ヤマタノオロチは、相手の既にサモンされたカードを殲滅するカードで、エンケラドスは、相手の伏せたカードを種類関係なく即死させる、ちょうどレオの『暗殺』が内蔵されたカードなので、このカードが二枚手札にあり、MPが潤沢にあれば、ほぼどんな局面にも対応できることになります。  
  エンケラドスというカードにも言いたいことはたくさんあるのですが、特に説明しなければいけないのは、このチーt・・・じゃなくて、ヤマタノオロチというカードについてです。

クロノマギア界のスーパースター

 具体的な説明はあまりしません。比喩でしか説明したくないです。ただ、こいつ抜きで今のクロノマギアの新環境を語ることはできないので、次の記事でしっかりと説明したいと思います。
 とにかく、生成して使ってみてください。乾いた笑いが出るくらい強いです。

エレナのデッキレシピに関してなのですが、一番最後に乗せたいと思います。本当は流行ってほしくないのですが、、

沈黙する他の能力者たち

 コントロールLOエレナの理不尽な暴力に、他の能力者たちは一旦沈黙します。しかし、カードゲームには何かしらのメタが存在することは確かです。それを、プレイヤー達は見つけました。

 強すぎるコントロールにはアグロ。これは、カードゲームの常です。このクロノマギアというゲームは、色々あって、システム的にアグロはそもそも強くないのですが、それでも、エレナに勝つ手段として、苦しみ抜いた末のアグロが大量に流行りました。

シンプルイズベスト、ドラゴンゼータ

 アグロの中で最も強力だったのが、『ドラゴンゼータ』というデッキタイプです。

 ドラゴンという種族は、平均的に『効果がわりかし地味な割に、スタッツ(攻撃力と体力の値)が優秀』という特徴があります。ヤマタノオロチ?あれは種族ヤマタノオロチなので知りません。気にしないでください。で、それを生かして、『優秀なドラゴンをマギアスキルで強化して相手をぶん殴ろう!』というシンプルな戦略を元に作られたのが、『ドラゴンゼータ』というデッキです。

 これは、ランキングマッチで毎回全国3位以内に乗っており、appbank杯優勝経験もある、今のクロノマギア界で一番うまいプレイヤーの一人であるkonyaさん(twitter:@pzdrma)のドラゴンゼータのデッキレシピです。攻撃力4以上の優秀なドラゴンと、5コストで味方のドラゴンの攻撃力を2アップする『ピューティアー』を利用、さらにマギアスキルの『ドラゴンビート』などを重ねがけしてクリーチャーの攻撃力を上げ、最後に『タラリアの靴』で2回攻撃を付与するなどして、相手を跡形もなくぶっ飛ばします。シンプルで僕は好きです。やられたくないですけど。

それ以外のアグロ

 ドラゴンゼータ以外にも、『死ぬと8コスト以上の竜タイプをセットする』という意味不明なほど強い効果を持つ『三竜将 ウンチョウ』を使って、攻めを継続する『ウンチョウライザー』、防御力をものともしない固定ダメージの鬼であるリヴァイアサンを使った『リヴァイアサンバーンリーリア』などが流行りました。リヴァイアサンは、エレナが流行るたびにカウンターとして流行る、もはや怨念みたいなカードです。
 確か、ウンチョウライザーに関しては、appbankの記事の中でちょもすさんが紹介していらっしゃったと思います。気になる方は調べてみてください。リヴァイアサンに関しては、リーリアだけでなく、マギアスキル『一喝』を採用したゼータや、基礎体力の多いサリーに採用されるなど、あまり決まった型がないので、エレナへの怨念で自主作成してください。

 さあ、いよいよアグロが止まらないという感じになってきました。アグロは、先行さえ取ってしまえば、先に3枚伏せてマギアスキルを使うことによりほぼ勝負を決めてしまえます。これに対応するカードが必要でした。

でも、もちろん、ちゃんと最強の対処札があります。

ド安定、必須マジックカード2選

 ここまでの一連のメタが回っていくにしたがって、この2枚のマジックカードをどんなデッキにも入れることが定番になってきました。
 『ボレアースの突風』は、全ての相手クリーチャーを一気にめくり、処理可能な状態にしてしまうため、3枚伏せを多用するアグロデッキにはぶっ刺さります。さらに、1ダメージも追加で与えてくれるため、体力1のクリーチャーを多用するドラゴンゼータには、さらに刺さります。これ一枚上手く使うだけで、アグロへの勝率は大きく変わっていくでしょう。
 『魔女の魔法』は、相手のどんなカードも豚にしてしまえます。一見すると、即死させる効果に比べて、スタッツ2・3の豚が残ってしまうのはかなりのデメリットに見えてしまいますが、新環境には、死んだら10コスとか、4コス2枚とかをセットしてくるやべえ奴らが氾濫しているので、それらの効果を無力化するのに非常に有用になります。
 横に並べてくるデッキに対してはボレアース。単体で強力なクリーチャーを出してくるデッキに対しては魔女の魔法。最初のマリガンで、相手のデッキタイプを予測して、これらを手札にキープして置くことで、全てのデッキに対する対処力は格段に上がっていきます。

やっと安定してきた新環境。そこで頭角を表したのは・・・

 さて、こうして、一応、盤面最強の暗殺レオ、それを圧倒するコントロールエレナ、それに対処するべく開発された様々なアグロ、アグロに対するマジックカード・・・といった風に、メタが安定して回ってきました。その中で、ある一つのデッキが、そのプレイスタイルを確立させて、メキメキと力をつけ始めます。

非の打ちどころのないパワーカード軍団。人型カリン

 カリンは、新環境で最も優遇されたリーダーだと言っていいと思います。それだけ、新たに追加された、ダイヤタイプとスペードタイプの人型クリーチャーは強力でした。

 人型カリンは、暗殺レオのような盤面で戦う中速デッキですが、レオとは違い、マギアスキルに頼りすぎることはなく、人型タイプのクリーチャーのパワーで押し切ることを目的としたデッキです。

 これは、konyaさんが使用している人型カリンです。ドラゴンゼータに続き、2連続で同じ人のレシピです。konyaさん、ありがとうございます。。てか、デッキ名。

 さて、このデッキのカードがどんなものなのかを、簡単に説明していきたいと思います。デッキの構造をまるまる説明すると、これも日がくれてしまうので、『クリーチャー命の人型カリン』と言われるだけあって(俺が言ってるだけですが)、いかに人型クリーチャーが強いかを解説して、デッキ紹介の代わりとしたいと思います。

 まずはこのカード。ヤマトタケルです。人型カリンのトップアタッカーであり、欠かせないカードです。このカードは、『死亡すると、コスト消費なしで4コスト以下のカードを2枚伏せる』という、バグった効果を持っています。暗殺レオに使用される水帝チュウボウよりは、死亡時効果のため確かに魔女の秘法などで対策はされやすいのですが、発動した場合の恩恵は非常に大きいものとなります。さらに、4コストの人型が単純に強いカードが多いので、ヤマトタケルもその恩恵を受けて非常に強いものになっています。こいつを見たらとりあえず魔女の秘法を撃っておきましょう。豚最高。

 次に紹介するのはこのカード。大泥棒なだけあって、相手のMPを3も奪います。3って、シキガミとかライザーが1ターンかけてやっと回復する量ですよ?なんつー量を盗むんですかね。早く御用されて欲しいです。こいつも豚にしたいところですが、それではヤマタケを豚にするぶんが無くなってしまいますので、MPを使い切ってからこいつを倒すといいでしょう。

 お次はこのカード。4コスを使って出すのに、相手のMPを2奪ってこちらは2回復するので、計4MP得します。おかしくない?クロノマギアで一番悩ましいのは、初手どのカードを出すかってとこなんですが、こいつは無難に相手のMPを奪ってくれるので、最初のジャブとしてもど優秀です。

 次にこのカード。ハンゾウです。4コスト4・4という、素晴らしいスタッツを持ちながら、なんと正面のクリーチャーに固定3ダメージを与えます。このカード自身のアタックも含めて、計7ダメージを与えられます。便利すぎて、かのコントロールエレナにもたまに採用されていたりします。盤面が不利になったら、このカードをとりあえず出していきます。

 最後に紹介するのはこのカード。僕が、新弾環境の中で一番気に入っているカードです。タムラマロは、序盤はただの雑魚なんですが、人型カリンは大量の人型クリーチャーを採用するため、それが墓地に送られるたび、その効果の威力を増していくことに特徴があります。最終盤になると、このカードだけで12点くらい出す、『超強力波動砲』になります。

 人型カリンが頭角を表してきたのは、このタムラマロの有効な使い方が浸透してきたからというのが大きな要因として存在します。

 タムラマロは、サモン時に相手の顔面に大ダメージを飛ばす効果なので、レオの暗殺やエレナのウェイクアップエンケラドスに非常に弱いという特徴があります。特に、人型カリンは7コスをこのカード1枚しか採用しないので、上手い相手は、7コストのセットを見たら全力で処理してくるのが普通です。
 そこで開発されたのが、『タムラマロリンゴ』という(そのままかよ)、マジックカード『黄金の林檎』とタムラマロの組み合わせです。最後までこの2枚の切り札をとっておき、10コストを使って、セットしたタムラマロを自分でめくって、タムラマロによる直接攻撃と合わせて相手を一気に仕留めます。これが、人型カリンの主なフィニッシュルートの一つになります。

デッキは非の打ちどころがない。しかし・・・

 人型カリンは、非常に強力なデッキです。パワーだけで言えば、随一です。しかし、このデッキは、使いこなすのが非常に難しいものとなっています。
 例えば、タムラマロは、墓地にたくさんの人型クリーチャーが送られていることが攻撃力の源泉になりますが、例えば、暗殺レオに採用されている『アビスシャーク』などを打たれてしまえば、せっかく墓地に貯めた人型が消失してしまい、その攻撃力は大幅に下がってしまうことになります。
 そのため、そういったリスクも考慮して、タムラマロ以外のフィニッシュも考えて動かなければいけません。それが、カリンのギア3の『剣の精神』による一斉攻撃になります。
 しかし、このデッキはアグロではないため、開幕いきなり3枚伏せて剣の精神を使ったとしても、そのあとの残りのライフを削る手段がなく、逆転負けをしてしまいます。そうすると、戦いの中で、繊細に盤面の取引をしながら、隙をみてギア3を叩き込まなければいけません。それが異常に難しいんです。
 konyaさんのデッキには、『軍神の鼓舞』というカードが入っています。これは、味方のクリーチャーを全てサモンさせる効果を持っています。例えば、1枚だけ人型クリーチャーをセットしてターンを相手に回し、次のターン、8コストを使って2枚の人型クリーチャーを伏せ、軍神の鼓舞を使って3枚表に揃え、最後に剣の精神を使ってバフをかける、という行為のために使います。
  ただ、この動きをするためには、盤面に一枚のクリーチャーがいる状態で、最低13MPを保持していることが必要になります。相手の攻撃を凌ぎながら、それだけのリソースを確保するのは、非常に高いプレイスキルを必要とします。
 こういった理由があって、人型カリンは、強力だが、非常に扱いの難しいデッキになっています。我こそはという方は、是非使ってみてください。

 人型カリンに関わらず、クロノマギアというゲームは、勝ちを求めれば求めるほど、デッキ構成が繊細になり、脆くなります。
 僕がこの記事の中で紹介しているのは、現役トップランカーのデッキばかりですが、彼らのデッキはもれなく繊細で脆いので、もし使いこなせなかったら、自分が好きなパワーカードを突っ込んでみてください。
 例えば、『デウカリオーンの洪水』というカードは、訳あって上位陣のデッキにはあまり見られませんが、非常に使いやすいカードです。人型カリンに関して言えば、もし難しかったら、例えば、軍神の鼓舞をデウカリオーンの洪水に変えてしまうというのも、良い選択だと思います。

またまた力を付けてきたコントロールエレナ

 さて、ちょっと真面目な話をしすぎて疲れました。そんなこんなで人型カリンが頭角を表し、コントロールエレナも鳴りを潜めるかな・・・と思っていたのですが、全然、そんなことはありませんでした。
 
なぜなら、コントロールエレナには、もう一枚、決定的な切り札があったからです。

全部乗せ 欲張りセット 自重しろ 

 コントロールエレナをコントロールたらしめているカードと言えば、このカード。『白竜』正直、ヤマタノオロチに次いでこのカードは強いと思っています。
 まあ、効果がモリモリなんですが、白竜をハンバーガーで例えると、

こんな感じになります。盛りすぎです。

 エレナの弱点は、『マジックによる直接ダメージに弱い』というのが最も大きなものなのですが、こいつ一枚で、その弱点を丸々カバーしてしまいます。極端な話、エレナの体力が1しか残っていなくても、このカードを立てられるだけで、マジックによる最後の詰め筋はほぼ無くなってしまいます。
 さらに、コントロールエレナは、白竜のマジック挑発と、他のカードによる普通の挑発を併用して、どんな攻撃も通さない鉄壁の壁を用意してしまいます。

 最近は、この白竜と併用して、スタッツが非常に優秀な獣たちを使った『コントロールアニマルLOエレナ』が主になっています。

  これは、ランキングマッチ最上位常連で、公式大会アップバンク杯の解説者も務めているNonさん(twitter:non_0807_)のデッキレシピです。正直強すぎるので、紹介するのも憚られるのですが、最新のランキングマッチでNonさんがこれを主に使って1位に輝き、このデッキレシピ自体がクロノマギアのアプリ内で公開されているので、紹介してしまいます。

 ヤマタノオロチエンケラドスの最強コンビはそのままに、魔女の秘法とボレアースという安定の処理マジック、そして全部盛りの白竜を加え、盤面を強化するための獣を入れ、MPを大量に確保するためのドラゴンナイトを入れています。
 このデッキは、まさに現環境を象徴するようなデッキと言っていいと思います。

ありがとうございました。

 長い長い新環境記事をここまで読んでくださったみなさん、本当にありがとうございました。お疲れ様でした。
 クロノマギアの特徴は、このように、リアルタイムでメタが回っていくことの面白さにあります。その臨場感のゾクゾクする感じを、少しでも味わっていただけたらと思い、この記事を執筆しました。

 気になるデッキがあれば、それを使ってみることをお勧めします。どれも、クロノマギアを全力で研究している人が作った最先端のデッキばかりですので、強さは保証します。
 ただし、たとえ同じデッキを使っていても、マリガンの時点から、熟練していない人としている人では、動きは180度変わっていきます。それぞれのカードには使うべき『ベストタイミング』があり、最低限確保しておかなければならないMP量もデッキごとに違います。デッキは言うなればただの素材であり、たとえ良い素材を使っていても、調理の手順を間違えてしまえば不味くなってしまうのは当たり前のことです。
 そこらへんは、やりながらぜひ学んで行ってください。
 あと、さらに言えば、ランカーの作ったレシピが必ずしも最強とは限りません。もっと強い使い方、採用すべきカードがあるかもしれません。絶対にあると思います。それを、是非探してみてください。

よいクロノマギアライフを。

最後に 運営に言いたいこと

 僕は、少なくとも、ヤマタノオロチと白竜はナーフすべきだと考えています。現環境のこの2カードは、様々なデッキタイプが群雄割拠すべき環境を、著しく狭めてしまっていると思います。
 もちろんそれは運営が決めることなのですが・・
 あと、今のランキングマッチは、『マリガン無し』という特別ルールが採用されているのですが、そのルールに僕は大きな違和感を覚えます。
 クロノマギアの良いところは、たった20枚のデッキで4枚マリガン可能という、運ゲーを徹底的に排除することを目的としているゲームスタイルにあります。
 使うタイミングがシビアなカードも、このシステムがあるおかげで、引かずに試合が終わることもほとんどなく、最初に引いて腐ってしまうこともほとんどなく、最大限の効果を引き出すことができます。それが、僕は素晴らしいことだと思っています。
 現状非常に過疎ってしまっているこのゲームを、運営がこれからどう調理していくのかは、僕には知りようがありませんが、クロノマギアという素材の良さを是非生かしてほしいものです。