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私学訪問日記【大宮開成中学・高等学校】

JR大宮駅東口から国際興行バスで約7分、学校の最寄りのバス停天沼町(大宮開成中学・高等学校前)を下車すると、もう目の前は大宮開成中学・高等学校です。

大宮開成中学・高等学校では、創立から80年、校訓である「愛・知・和」をかかげ、国際感覚豊かな高い志を持つ21世紀のリーダーの育成を目指しています。大宮開成と言えば、プレゼンテーション教育を核とした探究学習、国際理解教育に定評がありますが、それらの学びを下支えしている同校の図書館教育について紹介します。

中高一貫部では、心身の成長に応じた最適なカリキュラムを6年間で計画的に展開しています。第1ステージ(中1・2)、第2ステージ(中3・高1)、第3ステージ(高2・3)として、2年ごと3ステージ制に沿って、各教科の先生方も、それぞれのステージでの目標を掲げて取り組まれています。

図書館教育では、国語科の先生方と司書の先生がチームになり、図書館を利用した学びを取り入れています。国語科の第1ステージでは、「国語は全ての教科の基礎」という強い使命感を持って、基礎学力の定着をはかっているそうです。中1では司書の先生に協力してもらい、図書館を利用し、1年をかけて十進分類法ごと全てに触れる読書活動を行っているそうです。中学生の毎朝の20分の朝読書の時間では、毎日本を読む習慣をつけることで、興味のある分野もそうでない分野にも触れ、生徒の視野を広げています。¨友達に本を紹介しよう¨というプリントに、「友達にはどのように紹介したら興味を持ってもらえるだろうか?」と生徒は考えながら読書をすることで、楽しみながら読解力をつけていきます。そこで育んだ力は、第2ステージで取り組む「100字要約」の足場かけにもなっています。また、同校で力を入れているプレゼンテーション教育の中での調べ学習では、本などの活字に限定し情報を正しく判断する力を育みます。第3ステージで取り組む大学入試に向けた小論文の執筆にも、コツコツと積み上げられた国語力と教養が生かされていきます。

同校の図書館の蔵書は約5万冊。同校のホームページのメニューには、ほかの学校ではあまり見られない「図書館」に関する内容が充実しています。その中身は、「蔵書検索」や「オンラインリクエスト」、2022年から始まった「電子図書館」のほか、「司書のつぶやき」というコーナーがあり、司書の先生から中学生・高校生別に読んでほしい書籍の発信があります。先生方の発信に負けず劣らず、図書館教育を通じて読書好きの生徒が増え、図書委員の立候補者が絶えないそうです。生徒は、図書委員になると選書の機会や、おすすめ本を飾る書棚のディスプレイも手掛ける事ができ、自身の推薦図書が他の生徒が借りてくれることにやりがいを感じているそうです。私が訪問した日も、図書委員の生徒手作りの華やかなディスプレイが書棚を飾っていました。生徒が薦めた本は先生がおすすめする本よりも特に人気でよく借りられているとのことも納得です。

中学入試の総志願者数は2年連続で4,000名を超える人気校であり、6年連続で東大の合格者を出しており、高い合格実績からも生徒が図書館教育を通じて楽しみながらコツコツと身に着けた国語力や知的好奇心は、総合的な学力を下支えしている要因の一つと感じました。7月から月1程度行われる学校説明会では、実際に生徒の力のこもったプレゼン発表が見られる回もあるようです。10月には開成祭(文化祭)もあるので、ぜひ学校へ足を運んでみてはいかがでしょうか。

大宮開成中学・高等学校

コアネット教育総合研究所 新教育推進室 アカウントマネージャー 湯浅佳子

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