見出し画像

介護休業給付金について

【介護休業とは】

介護休業は、要介護状態の家族を介護するため、目安としては2週間以上仕事を休まなければならない状態のときに取得できます。
介護休業は、介護休暇と同様に賃金の支払いが法的に定められていません。
しかし一定の条件を満たせば、介護休業期間中に雇用保険の『介護休業給付金』を受け取れます。

金銭的に安心して仕事を休めるように、介護休業給付金についてまとめました。

------------------------------------------------------------------------------------

【介護休業給付金制度とは】

介護休業期間は原則無給ですが、一定の条件を満たすことで雇用保険から介護休業給付金が支給されます。

【介護休業給付金の受給条件】

《正社員など、契約期間の定めがない労働者》
介護休業を取得した雇用保険の受給資格者
介護休業の開始日の前の2年間に雇用保険に12か月以上加入していること

この12ヶ月については、『介護休業開始日の前日から1か月ごとに区切った期間に賃金支払いの基礎となった日数が11日ある月を1か月とする。(出典:厚生労働省)』と定められています。
介護休業を開始した日前2年間に被保険者期間が12か月ない場合でも、当該期間中に怪我や病気などで休職期間がある場合はなどは受給要件が緩くなることもあります。該当する場合は確認しましょう。

《パートや派遣社員、契約社員など契約期間の定めがある労働者》
介護休業を取得した雇用保険の受給資格者
介護休業の開始日の前の2年間に雇用保険に12か月以上加入していること
〇介護休業の開始時点において同一の事業主の下で1年以上雇用されている
〇介護休業開始予定日から93日を経過する日から6か月を経過する日までに、労働契約が終わると決まっていないこと(つまり、安定的に雇用されており、復帰後も継続して就労すること)

【複数の家族で給付を受けられる】

同じ被介護者(例:祖母)に対して介護する人が変われば、それぞれの介護する人(例:父・母・孫)が介護休業をそれぞれ93日ずつ取得できます。
また、同じ被介護者(例:祖母)に対して、複数の介護者(例:父・母・孫)が同時に介護休業を取得することもできます。
支給要件を満たしていれば3人とも介護休業給付金が支給されます。

【給付金額】

受け取ることができる給付金の目安は、要介護状態の同一対象家族について、93日を限度に3回までに限り、賃金月額の67%となります。

《介護休業給付金の計算式》
休業開始時賃金日額×支給日数×67%

介護休業中は、月給の80%の金額を目安に支給されることとなっています。そのため、給料の67%に加え、総額で80%の金額になるよう計算されます。
給付額には80%という上限がありますので、介護休業期間中に賃金が支払われると介護休業給付金が減額されることもあります。

※介護給付金は非課税
※無休であれば所得税や雇用保険料も控除されない
※給付額には上限が設けられている
※介護休業期間中に賃金が支払われると減額されることもある

【介護休業給付金取得の注意点】

介護休業給付は『介護のために休業している人を経済的に支援する』制度のため、介護休業期間中に就労した日数が10日を超えると当該期間に関しては支給されなくなるので注意が必要です。1支給単位期間とは、介護休業開始日から1カ月のことです。

また、介護休業開始日から介護休業終了日が1カ月未満の支給期間に関しても、以下の条件が設けられています。
〇就労した日数が10日以下である
〇日曜日・祝日なども含め、全日休業した日が1日以上ある

基本的に、就労しなければ問題ありません。

【他の給付金とは一緒に利用できない】

介護休業給付金制度は、他の給付金制度との併用ができません。

《他の給付金制度とは》
他の家族の介護休業
産前・産後休業
育児休業

別の休業制度を利用すると、それ以前に取得していた休業制度が上書きされてしまうため、育児と介護が重なった場合などはどちらを選択するか検討しましょう。

【申請の方法】

介護給付金を申請するためには、下記の書類を在籍中に事業所を管轄するハローワークへ申請することが必要です。
基本的には、介護休業給付金支給申請書などの必要書類は事業所側がハローワークに提出することになっていますが、休業する本人が提出することも可能です。

《受給資格確認に必要な書類》
1.雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書
2.賃金台帳、出勤簿又はタイムカード
(1.に記載した賃金の額及び賃金の支払い状況を証明することができる書類)

《支給申請に必要な書類》
1.介護休業給付金支給申請書
  ※個人番号欄にマイナンバー(個人番号)を記載ください。
2.被保険者が事業主に提出した介護休業申出書
3.住民票記載事項証明書等(介護対象家族の方の氏名、申請者本人との続柄、性別、生年月日等が確認できる書類)
4.出勤簿、タイムカード等(介護休業の開始日・終了日、介護休業期間中の休業日数の実績が確認できる書類)
5.賃金台帳等(1.の申請書に記載した支給対象期間中に支払われた賃金の額及び賃金の支払い状況、休業日数及び就労日数を確認できる書類)

※上記の他、対象介護休業期間中に対象家族が死亡した場合には、必要に応じて戸籍抄本、死亡診断書、医師の診断書などを添付してください。

【給付金を申請するタイミング】

介護休業給付金は介護が始まる前に申請するのではなく、実際に休業が終了してから申請することになります。そのため介護休業期間前や期間中には、給付金を受け取ることができません。
申請期限は介護休業が終了した翌日から2か月後の月末です。
(例:3月20日に介護休業が終了した場合、5月31日が申請期限)

【介護休業給付金制度の利用は原則一度まで】

介護休業給付金を受け取れるのは、同じ被介護者につき一度までが原則です。ただし、同じ家族が介護にあたるとしても被介護者が変われば、もう一度介護休業が取得できます。

【介護休業給付金を介護費用に回す】

介護休業給付は『介護休業中の生活費の補填』という意味合いで支給されるものですが、『給付金がなくても生活に困らない状況』を作っておくことができれば、介護休業給付金を介護費用に充てることができ、金銭的負担を大きく軽減できるでしょう。

-------------------------------------------------------------------------------------

経済的な不安を取り除いて、安心して介護休業を取れるように、こういった制度を知っておくのはとても大切なことだと思います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?