大学研究者と「AI」との共存

「AI (Artificial Intelligence)」=「人工知能」

言うまでもなく、最近はAIの進化が著しい。X年後、Y%の職業がAIに置き換えられるという記事をよく目にするが、研究者もその例外ではない。AIは創造性や独創性を持つことはできないから、その対極の存在である研究者は取って代わられることはないなどとうかうかしていると、AIに置き換えられても気づかれない研究者になってしまうだろう。加えて、データサイエンスの急速な発展は、近い将来、研究者の定性的な「経験」と「勘」を定量化することを可能にするだろう。

研究分野や研究内容によってAI化の難易度に違いはあれど、目的指向型の研究は、特にAIが強い分野である。膨大な先行研究を一瞬で調べ上げ、解析し、最適解を見つけるスキルは、どう足掻いても人間が叶うはずもない。今はまだ、その解像度や精度は低いとしても、人間を上回る日はそう遠くない。

そもそも、研究者が大事にすべき「創造性」「独創性」とは一体どのようなものだろうか。先行研究を徹底的に調べ上げ、これまで誰もやったことのない研究領域を見つけ出し、新しい研究に着手することを創造性や独創性と呼ぶのならば、そのスキームはAIの方がはるかに得意である。21世紀の成熟した科学において、真に「創造的」で「独創的」な研究をすることは実は極めて難しい。「AI」「データサイエンス」「自動化」が、研究者から「研究を奪っていく」未来を予想することは想像に難くないのである。

そのような時代の大きな転機に差し掛かり、現代の研究者は、どのように「AI」「共存」していくかを考えなければならず、今まさにその過渡期であり、分岐点でもある。AIの驚異的な成長によって、研究者の存在意義すら問われる時代に突入しつつあるが、このような新しいテクノロジーの黎明期に立ち会えるのは、失われた20年を生きてきた自身にとっては大変楽しいものである。心のどこかでこのような大きな変革を待っていた気がする。「AI」は「頭脳のアウトソーシング」である。つまりは、AIとの共存によって、これまでよりもはるかに研究が進むはずなのである。掛け値なしに面白い時代に突入しつつある。

この記事が参加している募集

仕事について話そう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?