シノビガミ知見・妖魔忍法③

そろそろ前書きのネタが切れてきた気がする今日この頃。まだ三回目だぞ。

さて、これを書いている間に、このシノビガミ知見noteを書くきっかけとなった人が前回までの記事を宣伝してくれた。これによって、少なくとも妖魔忍法全部を紹介するまではこの記事を続ける必要が出てきてしまった。退路を断たれたわけだ。逃げれねえ。
仕方がないのでこちらも彼の退路を断っておくことにする。必ず妖魔忍法のところまで来て、私よりも詳しい知識を披露してくれるに違いない。頼んだぞおにいさん。なんなら汎用忍法もやってくれ。

今回は新異形表の異霊態のうち、流派ブック隠忍の血統に記載されている六個の妖魔忍法を紹介していくことになる。つまり、【虚舟】【夢喰】【金毛】【朽縄】【香魂】【三尸】のことだ。




異霊態②

前回、「異霊態は精神や魂に作用する特殊能力」と書いたはずだ。今回もそのセオリーは概ね正しい。自らの血によって相手を酔わせ、三尸を操り精神的なバフを得て、傷ついた魂を癒すことをトリガーに強化され、相手の肉体を変質させ精神と魂を蝕む。夢や希望を喰らい、魂だけで航海する。
【虚舟】と【朽縄】が割とこじつけと言われると否定できない。【虚舟】は凶身態か神化態でも良かった気はする。【朽縄】は相手に干渉しているため異霊態にしか分類できないが……いや、「戦場に干渉している」から【虚舟】も異霊態なのか。

・【虚舟】

虚にて移ろい揺蕩う舟。
戦場表を二回振り、好きな方を選べる。個人的にはとても強い。雑に強い枠だ。
御斎秘伝【奇兵】や大槌群【掛矢】など、戦場変更をトリガーに何かしらの効果が起動する忍法は多い。それを、コストなし判定なしで、自分の手番に、とても高い確率で起動できる。戦場をどんどん切り替えて戦う構築にはうってつけの忍法だと思わないだろうか。
しかし、その真価は他の妖魔忍法と違わず、他者の妨害にあるのだろう。それ即ち、『戦場型の妨害』だ。
戦場型、特に土蜘蛛【土隠】や旧校舎【怪段】などを使った時に、後出しの【誘導】や『惟神・太陽神』で潰される経験は稀によくある。なんでちょうど持ってきてるんだってぐらいよくある。
【虚舟】は『太陽神』の相互互換だ。特定忍法でしか妨害されない代わりに、変更先がほぼランダムになり、後から変更もされる。「奥義破り」という手段が存在する『太陽神』より、ほんの少しだけ厄介だろう。
元ネタは民間伝承『虚舟』。他の世界から来た神……いわゆる来訪神、漂流神がこの世界での形を得るまでの揺籠である。なるほど、魂に関係する話だ。渡来人技術というフレーバーは、虚舟UFO説があるからだろうか。
少し気になるのは、マギカロギアにおける機関「戸口」との関係性。関係がない可能性の方が高いため、深読みしすぎなのかもしれない。

・【夢喰】

他者のスペシャルという希望を塗り潰す。
他にも対スペシャル用の忍法は存在するが、【夢喰】はスペシャルを無効化しない代わりに、自分の生命力を増強する。ちょっと【逢魔時】と一緒に持ちたい。
また、集団戦ダメージを与えるため、スペシャルの回復をそちらに使わなければならないという点で、「相手の希望を喰らう」ことに特化している。この喰った回復分が生命力増加として消化されたか。
スペシャルによって起動する他の忍法と合わせ、対スペシャル型として扱うという構築ができなくはないが、相手がスペシャル型でない限りは相手の運頼りになる。従って、【夢喰】はお守りとして入れておくに留めておいた方がいい。対スペシャル型は少しニッチすぎる。
名前の元ネタは幻獣『獏』。他者の悪夢を喰う中国由来の幻獣である。こちらでは少し歪んで、希望やいい夢を喰うようになってしまったらしい。

・【金毛】

積んでおけば起動するお守り枠。
攻撃によって起動する忍法、隠忍【吸精】などと組み合わせても強いが、その真価は「回復手段を問わない」こと。兵糧丸を二つ持ち込めばそれだけで最大回数まで累積する。
また、鞍馬【二重虹】や魔王流【霊圧】などと違い、追加効果が達成値8以上で起動する。つまり、【機械兵団】【二重虹】【霊圧】【金毛】という鬼のようなコンボが可能なはずだ。
ネックとなるのは、楽な起動方法自体。一度生命力を減らし、戦闘中に回復する必要がある。相手から攻撃を受けるまでバフが乗らず、不死身なしで6点打点をくらえば発動すらできずに負ける。自傷手段や未使用スロットさえあるのなら1ラウンド目から発動できるのだが。
名前の元ネタは、後の【白面】と合わせ『白面金毛九尾の狐』だろうか。ただ、フレーバーテキストからサイヤ人やらラージャンやらを感じるため、もしかしたらそちらなのかもしれない。

・【朽縄】

入れておけば活躍する強い忍法。もっとも、攻撃忍法を命中させる必要があるが。
判定を強要し、失敗すれば「猛毒」とプロット値固定。強い、とても強い。「猛毒」はおまけだ、この忍法の最大の強みは相手のプロット値を固定できることだろう。これまで、相手のプロット値を完全に固定化できる忍法は御釘【秘巡】しかなかった。他の忍法は多種多様な制約が存在していたわけだ。汎用【プロット制限】であれば1プロか2プロで動けるし、旧校舎【怪段】であれば現在地含め3つの中から選べる。マクファーデン【掌握】なら1プロや0プロに固定できるが、そこまでできるならもう殺し切れる。相手の判定を失敗させるだけでその場に縛り付けることができるのは、非常に強力なのだ。
さて、プロット値を固定化させるメリットとしては、『プロット読み』という駆け引きが発生しなくなることが第一に挙げられる。相手がどこにいるかわかるのだから、それに対応してプロットを決定すればいい。ハグレ秘伝【置矢】など、相手のプロット値を参照する忍法を利用するのもありだ。【怒具螺】【置矢】【朽縄】とかやってみたかったがエネミーじゃないと使えない構築だな。
名前の元ネタは『蛇』と書いて『くちなわ』。化物語履修者ならば簡単だろう。

・【香魂】

自分の生命力が減少する=自分が血を流した時に、相手を酔わせる忍法。こちらも様々な使い道が考えられる忍法だろう。むしろ使い道しかない。
シノビガミはそのシステム上、戦闘脱落にはほぼ必ず生命力の減少が関わることになる。例外は特殊な回避判定や変調「催眠」あたりだろう。そして、それらはあくまでも使ったり脱落したりは任意であるため、どんな場合でも生命力は減るものと考えていい。
改めて【香魂】を見てみよう。「自分の生命力が減少したとき」「自分以外のキャラを好きなだけ選んで」「判定を強要する」。強い要素しか書いてない。
特筆すべきは一つ目、生命力の減少をトリガーとする効果。裏を返せば『ダメージによる生命力の減少』以外でも発生すると書かれている。どんな手段でも構わない、生命力が減れば起動するわけだ。しかしながら、鞍馬【血断】などの自傷をトリガーとする忍法は軒並み「生命力を消費して」と書かれている。私に思い浮かぶのは、これを配下に持たせてから範囲攻撃で巻き込むぐらいだ。
名前の元ネタは『香魂』。花の精、美人の霊魂のことらしい。おや、これも魂関連のワードだったか。血で酔わせる点では、鬼滅における稀血も近いのだろうか。

・【三尸】

三尸というワードはシノビガミにおいて、有名ではないが何度も出てきている。まずは大判ルルブで、エニグマの一つとして『三尸』が。次に忍秘伝・改にて妖魔として『三尸蟲』が。これで三匹目の【三尸】であり、これでようやく完成したと言えるだろう。
【三尸】は汎用【毒飼】のような「あったら保険にはなる」程度のお守りとして考えるべき忍法だ。変調がなければ起動しない、変調を一つずつしか解除できない、しかしそのラウンド中三種類のバフから一つを選び得ることができる。打点上昇か、回避デバフか、目標追加選択か。
さて、どうにか利用できないものか。個人的には【神隠】と【虹海月】を推したい。まさかここで【神隠】が活きてくるとは思わなかった。いや、【神隠】でなくともいい。変調を当てることのできる忍法、それが重要なのだ。
【神隠】で「行方不明」を付与し、【虹海月】で吸い、回復と共に【三尸】の起動条件を満たす。マッチポンプ【三尸】が可能なわけだ。【内縛陣】も採用圏内だろう、変調を選択できるのがとても偉い。
しかしながらこれもまた一発芸。変調を消したいのなら素直に【毒飼】か斜歯【保守】を修得した方が手っ取り早い。やはりお守り程度なのだろうか。
名前の元ネタは道教における『三尸』。エニグマや妖魔の『三尸』もまた同様。人の体内に潜み、病気を引き起こしたり欲を増幅させる蟲であり、頭に宿る上尸、腹に宿る中尸、足に宿る下尸の三匹で構成される。ちょうど三匹になったな。

あとがき

さて、これで異霊態の忍法の紹介が終わった。思い返せば、魂に関連する名前の忍法が思ったよりも多かった。まさか【虚舟】もだったとは。

次は凶身態のうち、基本ルルブに記載される六個の忍法……【荒吐】【鬼火】【怨霊】【呑口】【百眼】【蛭子】を紹介していくことになる。全て装備忍法のため積み得忍法なのだが、それゆえに一部悪用しやすい忍法だったりする。乞うご期待?

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