見出し画像

好敵手と書いて「とも」と読む


ヨーロッパを震撼させた二人の怪物

1796年、フランクフルト郊外の森で、ユダヤ商人の三男
ネイサン・マイヤー・ロスチャイルドは、恋人エルザと将来を誓い合った。
しかし、攻め込んできたフランスの歩兵によって凌辱されたエルザは自ら命を絶つ。
絶望するネイサンの前に現れた敵将ナポレオンは、
「男は拳の力か金の力を持たなければ愛する者を守れない」と言い放つ。
復讐を誓うネイサンは脱走し、新天地の英国で貿易事業を始める。
幾多の困難を乗り越え、金融事業者としての地位を確立していく。
ついには対仏同盟各国に戦争資金を拠出するまでになり、
金融面から、ナポレオンとの「戦争」に突入する。
19世紀、ヨーロッパ全土を震撼させた二人の怪物、
ナポレオン・ポナパルトとネイサン・マイヤー・ロスチャイルド。
二つの正義、二つの理想、男たちが目指したものは何だったのか?

 この前書きを読んで、私はジェフリー・アーチャーが1979年に発表した『ケインとアベル』を連想しました。また父親が息子たちに「家族の絆」について語るエピソードは、毛利元就の三本の矢の教えそのままです。
そういった点でこの小説は感動的ではあるけれど、小説家にとって非常にわかりやすく、書きやすい構成(展開)になっていると感じました。

 ナポレオン・ボナパルトはフランス革命を通じて1804年 皇帝にまで上りつめた革命家として余りにも有名です。またロスチャイルド家は、ロンドン、パリ、フランクフルト、ウィーン、ナポリに事業を設立。ロスチャイルド家が所有する企業「ロスチャイルド&カンパニー」は、19世紀 近代世界史において世界最大の資産を保有していました。20世紀 その財産は減少し多くの子孫に分散されたとはいえ、今も彼らの権益は、金融、不動産、鉱業、エネルギー、農業、ワイン醸造、非営利団体など、多岐にわたっていることで知られています。この小説では主人公が「ユダヤ人への迫害の象徴」 英雄「ナポレオン・ボナパルト」への復讐心をバネに、ロスチャイルド家の基礎を築き上げる過程が描かれています。
面白いし、たいへん読みやすい作品にしあがってました。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?