ジオパークに ハマってしまった!     §8 第5回ジオパーク講座 より          sono1 マガンのねぐら入り

いよいよ ジオパーク講座も 今回を入れて あと2回! 
今回は「マガンのねぐら入り」…伊豆沼とマガンの話だ


▢ 水害頻発地帯

栗駒山麓ジオパークのピークは、標高1,626mの栗駒山。それが、伊豆沼湖面は7mほど。この間51キロほどの距離になる。

 山に雨が降ると、水は1,620m弱の標高差を、51キロほどの距離で、一気に駆け下る。栗駒山から流れるのは、「一迫川」「二迫川」「三迫川」外、幾本かが狭い沢を駆け下る。当然のこと、伊豆沼周辺は昔から水害多発地帯だった。一迫川・二迫川・三迫川はやがて「迫川」として一本にまとまり、それも「北上川」に合流する。

▢ 水害対策

 この一帯の水害対策としてダムの建設や、遊水地の設置、堤防の整備・強化、河道掘削排水機場設置等々が試みられてきた。今回の岩手宮城内陸地震で全国的にも知られるようになった「荒砥沢地すべり」で出てくる「荒砥沢ダム」もそのひとつとしての役割を期待される「多目的ダム」だった。「「幸いにも」ダムの北側の少しが埋まっただけで済んだ」と説明したが、実際には 結構な影響を受けていて、農業用貯水池としての機能に不足が心配された。そこで下流の築館地区北部に「沖富調整池」(とても広いプールのような池。総貯水量590,000㎥)が建設された。

▢ 伊豆沼

 さて、伊豆沼は、うかつに手が出せない。何故なら「ラムサール条約条約」に登録された湿地だからだ!
 僕は勉強不足で、恥ずかしながらその経緯は詳しくないが、伊豆沼には「遊水地」が設けられた。いずれもほとんどのエリアが、隣の登米市の地内で管轄は「宮城県」。沼の北側と南側の2か所に堤防の低い部分を創り、沼が氾濫する恐れがあると判断された場合に遊水地と想定された範囲の水田に水を入れ、沼の氾濫を回避する目的で設置されたものだ。
 開発の時点で、公に発表され、仕組みを事前に承諾した上で、安価で水田として分譲された。

▢ 伊豆沼の四季

 それでも最近の「異常気象」は、沼を度々あふれさせて「夏の伊豆沼の風物詩」ともなっている「蓮まつり」が中止になることが頻回になっている。春の伊豆沼は「アヤメ」がキレイ、夏の伊豆沼は「蓮の花」、秋は「萩の花」が定番となっていた。そして冬の伊豆沼はなんといっても「ハクチョウ」「マガン」など野鳥の飛来である。その数12万ばともいわれる。朝日とともに一斉に飛び立つ様は、度々ニュースにも取り上げられる。今回の講座では、日暮れとともに帰巣する様子を観察しようというもの。

▢ マガンのねぐら入り

 夕方に、現地のサンクチュアリーセンター鳥館に集合。伊豆沼の四季の話から始まった。鳥館の館内には渡り鳥たちの種類や生態沼の環境生態系などについて説明を受け、見学しながら館内をめぐり、あたりが夕日に染まるころ庭に出て、鳥たちの帰宅を待ち受けた。

 第一陣は、西から姿を見せた。第二陣も西から。第三陣は、僕らの頭上、北側から入ってくる。極まれに東側から飛んでくるものもあった。…南側からやってくる鳥たちはほとんどいない!

 講師の説明では、南側には別の「家」がある。蕪栗沼や気女沼などで、そちらを家とする鳥たちは各々の家に帰るので、南側からくるものはほとんどいない。東側には餌場が少ない餌場の多くは西側に広がる田園地帯なのだという。そして、北側にも田園地帯が広がる。一方沼の北側には山があり、他の三方には山が少ない。周辺から飛んできてスムースに着水するためには、山はじゃまになるので、北側からの帰宅は少なくなる。以上の結果、鳥たちの帰宅は断然東側からが多くなるという説明だった。

▢ マガンの曲芸飛行

 後ろの方から、突然「なるほど・・・!」という声が聞こえてきた。耳を傾けると、マガンたちの曲芸飛行について、講師が説明している。

 言われて湖面上空をよく見ると、北側からやってくるマガンは、山を越えてくるため、高い高度で沼の上空に到達することになる。一部は旋回しながら徐々に高度を落として、目指す自分のねぐらに着水するのだが、時々(それが結構多いのだ)上空から「錐もみ」状態で落下し、低空になって、水平に戻り着水するものがいる。上空での旋回を省略(ショートカット)して、自分が目指す位置をいち早く確保しようとする作戦らしい。「なあ~るほど!!!」僕も繰り返してしまった。

 すごい数のマガンが餌場から帰宅する「数が見もの」なのだろうとばかり思っていたが、帰宅する方角やその理由、着水の技術など、はじめて知ることがたくさんあって、この地に暮らしていても「知らないことだらけ」だったと、今更ながら「またも」、「またも」おどろかされて、講座が終了した。

 伊豆沼は、周辺に「内沼」と「長沼」(これは登米市内になる)があり、それぞれ特徴がある。観察館も複数あり、今回出かけた「サンクチュアリーセンター鳥館」の他に、「サンクチュアリーセンター昆虫館」、「サンクチュアリーセンター淡水魚館」などがあり、特産のハム工場などもあり、周辺で買い求めることができる。
 長沼は、隣の登米市になり「栗駒山麓ジオパーク」のエリアからは外れてしまうが、キャンプ場(オートキャンプ場も有)や温泉、風車などがありレクレーション施設が集まっている。オリンピックのボートコースの候補地にもなった。

※ さて、次回は、ジオパーク講座の「最終回」になります。ジオパークの
 パーパス・・・?。
 


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