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寄進一件の途中報告 12/3

〔97〕途中報告 寄進の件
 〔93〕急告で勧進した加太春日神社の寄附一件は一応の期日を過ぎましたが、三十五人の同志からの御寄進はすでに七十万円を超え、白頭狸が同志を代表して引き受けた目標額三十万円を大幅に上回り、その後もやむことがありません。
 つまり白頭狸の補填する余地がないわけで、これは大塔宮護良親王に対する同志諸兄姉の尊崇の念を過少に観たかと反省しております。
 つきましては、目標を高めて総額を一百万円とし、使途も広げて加太春日神社に伝わる「麻呂王の璽」の奉斎殿の造設費用に充てたく存じますので、ご了承賜りたくお願い申し上げます。
 永らく本殿の一隅に秘かに匿われていたこの璽は、御影石を卵型に磨き上げて上記の字を刻んだ石碑ですが、貞明皇太后のお志を受けて大正年間にはじめて社家を置いた三宅氏がこれに関する社伝を遺さなかったため、いつ誰がいかなる主旨でお造りしたものか、が明らかでありません。
 僭越ながら狸が察するに、「麻呂」とは中世に皇子の代名詞として用いられた語で、ここでは大塔宮護良親王を意味し、また「璽」は通常は印鑑を意味しますが、原意は「しるし」のことですから、この石碑は、まさに護良親王その方を表わす「しるし」と鑑るべきものと考えるほかありません。
 つまり、佛教ならばご本尊ともいうべき存在のこの璽を安置すべき祠を新造すべきことが社家年来の念願であったと聞いた狸は、屋根修復費寄進が順調に進むこの機会を好都合として、その余力を祠の造設に向けたいと存じますので、同志の御賛同を得たく、宜しくお願い申し上げます。

追伸 仁藤和夫様 確かに受領いたしております。
 

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