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「理屈の通用しない、不可解だらけのマーケット、まさに「ああ言えば、こう言う」という状況が現状の株式市場だが、日経平均では分からない個別企業の動きに変化が!」

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相変わらず理解し難い『市場』と「日米中央銀行」との見解の違い。
日銀が政策転換ではないと明確に否定しているにもかかわらず、それを信用しない『市場』。
一方、理由も、何より時期的にも意図が不明な日銀発表も不可解??(イールドカーブコントロール(YCC)が根拠では納得し難いはずだが)現状では急激な円高と株急落というマイナスの影響をもたらしただけのこと。

円安が進む時点では、「悪い円安論」で大幅に為替益の出た企業の9月中間決算にもかかわらず、こうした企業の株価の頭を抑えた。
「悪い円安論」は、日本企業の海外からの調達コストの上昇が企業収益を圧迫し、製品値上げによる物価インフレが高進するとネガティブに解説していたが、だとすれば、逆に急激な円高による物価、インフレの沈静化で、日銀の利上げ論が後退するはずなのに『市場』は日銀の国債買い入れ増額にもかかわらず10年国債を中心に大量売却、金利上昇を演じ、0.5%の上限へ持ち込んでいる。

この動き、海外勢が現物の日本株を買うための「国債からの資金移動」と「円の手当」と見れば話の辻褄が合う。
国内で日本株を買うためには、円を手にする必要があるのだから。
海外勢は日本と米国の金利差と将来の為替を取るスワップ取引に絡めて金利メリットのない日本の国債を大量購入していた。

いずれにしろ、海外勢が大量の日本の国債を売り、急激な円高になるほどの円が買われていることは事実だ。裏読みすれば、その国債の売却の受け皿が日銀な訳で、今回の日銀発表の本当の意図は海外勢の国債売却の受け皿造りと円高の背景付け、との推測も成り立つ。実際、今回、日銀は1~3月の国債買付の大幅増額を発表していた。

一方、米国では12月のFOMCで、利上げ幅が0.75から0.5%に縮小したのを受けて、インフレ沈静化とする「市場」の見方に対して、タカ派発言で牽制する連銀メンバー発言。
特にFRBは時によりタカ派発言、ハト派発言を使い分け市場に混乱をもたらしている。

米国市場は景気指標が弱ければ、「リセッション懸念」と言い、景気指標が強ければ「更なる利上げ」と、ああ言えばこう言うという下げ基調を前提にした市場の流れの中で、時折FRBメンバーのハト派発言で反転上昇局面を作ると言うシナリオで動いているというのが昨年までの市場の流れだ。

さて、ここで話を変えてマーケット判断をしている『市場』とは一体何なのだろうか?

マーケットは海外勢を中心とする「先物取引」と、それに呼応した国内外15社を中心とした証券会社の「裁定取引」であり、株式市場のメインマーケットは東京証券取引所ではない。
主役は先物取引を扱う大阪証券取引所であり、シカゴ、シンガポールの先物取引所であろうし、現物取引は非公開のなかで市場外取引「ダークプール」(藪の中と称されている)で大口の注文が執行されている。

株価の事実上の誘導役である海外勢、証券勢の中心に、民間銀行であるFRB、その傘下に日銀が存在していると思えば物事がスッキリする。
市場売買のメインプレーヤーなのだから証券某社のごとく株価操作が可能なのである。

さらにマーケットを使い分ける道具が「連銀発言」に加え、「市場の事前予想」という飛び道具だ。

景気やインフレ指標がよかろうと悪かろうと、この「市場の事前予想」と言う言葉で、マーケットは誘導される。CPI(米国消費者指数)の発表を見て「事前予想を上回った」と株式市場の急落を演出したり、半導体関連など日本のハイテク企業が、史上最高益を更新しようと増配、株式分割を発表しようと「事前予想を下回った」との一言で株価が下落するという類だ。

10/28に東京証券取引所は上場株の投資単位を50万円未満に引き下げるようファーストリテイリングなど194社に要請している。
上場株は100株単位で取引するため、株価が8万円を超えていたファーストリテイリングを買うには800万円を超える金額がないと買えないし、SMCとキーエンスは500万円以上、東京ディズニーランドのオリエンタルランドなども200万円近い金が必要だった。 
政府が「貯蓄から投資」を呼びかける中で、個人投資家の手がでない高収益、高株価企業の買付機会を広げるのが狙い。

要請を受けてファーストリテイリングは12/15に3月期末で、1株を3分割に発表する発表したが、驚くべきことに発表後三日間で5000円強の急落で8万円の割り込む株価となった。その15日は第3金曜日、米国のSQ(先物決済日)当日で、日経平均は2万8000円台から2万6500円まで1500円余りの下げをしているがファーストリテイリングの下げがかなり、寄与している。

従来から株式分割は増配含みでもあり、高収益、高株価企業の効果的な株価対策であるはずで、従来から発表後に株価が急騰するケースがほとんどだし、ましてや、日本一の高株価企業だ。
同様にオリエンタルランドは5分割を発表しているがここも株価は年間安値に近くで低迷したままという有り様。個人投資家が株主優待を取りやすい環境にという趣旨にも関わらずだ。理解し難い反応だ。

1/21~27まで中国は春節祭にあたり、大量の中国旅行者が日本を訪れるだろうが、まさにその恩恵を受ける代表的なインバウンド企業と言えばファーストリテイリングであり、ディズニーランドであるはずなのだが。

ちなみにファーストリテイリングに次ぐ高株価は5万円前後で500万円余りが必要になる「キーエンス」、センサーで日本を代表する世界的ハイテク企業だが、お暇があればご自分で業績の推移と株価の関係をお調べしてみたら。

「キーエンス」は売上高に対する利益率は55%、従業員の平均年収は2000万円に乗せようかと言う驚異的高収益企業だが!
一般的には売上高利益率は10%を超えると優良企業と言える水準だし、日本の従業員の平均年収の約5倍だ。

そのキーエンスの1年間の株価がこれ?って思うだろう。
キーエンスに限らずこれが日本の高収益企業の実態だ。
1年前が高すぎた?そうでない事は十分に説明がつく。

今年は年初から、証券会社のトップや、マーケット解説者、日経新聞等から、今年の株式市場の予想は年初安、年後半高との「『市場』予想」が投資家には刷り込まれて年初から不安いっぱいのスタートとなっている。

その予想の発信元である海外勢と証券会社は市場のメインプレイヤーであり、「安く買い、高く売る」を実践している投資主体だ。
安く買うためには安くうる売り手が必要だし、高く売るためにはそれを買う買い手を必要とする。その売り手、買い手の役目はいつも個人投資家だ。

当レポートでは従来から好業績が反映されない日本の株価はばかばかしいほど安い、理解し難い株価だと言ってきたが、業績以前の絶対水準が安い。狼少年の如くで実際上がって来なければ何をか言わんやというところだろうが!

12月の当レポート「10月以降の株式市場が大きく変質している」
で言っている通り、先物中心の仮需相場から実需相場、つまり下値での現物を買いの動きは個別銘柄の動きを見るとうかがうことができる。
特に中小型株は日経平均の下げ基調とは別の動きをしている。
日経平均の下げはファストリ、ソフトバンク、東京エレクトロンなどの高株価企業の下げの影響が大きい。

近々、日本株の絶対水準が安いという証明をレポートしようと思っているが、従来以上に手間ひまかかるもんですから、時間が掛かるかな!
(あと、1ヶ月半ほどで、なんと6回目の年男!!!。70歳を超えるとちょっと変わりますよ。)

いずれにしろ、様々な手立てによって誘導された目先の市場心理に振り回されず、日本企業の現状の価値と将来をしっかりと見つめるべきだろう。

安値を売り、高値を買わないために必要なのは、「確信と信念」だ。
「確信と信念」は知識の裏付けから生まれる。


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