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「円安が日本株を押し上げるシナリオに、いずれ市場は変わるだろう。同時にそれが日本再生のスタートとなる」

10/19

最初にお断りしておくが、今からのレポートは2週間前のものですが、「こうなれば良いね」というレベルの話ではなく、中長期の株式市場と日本経済のメインシナリオだ。

円安、株安は海外投資家にとってダブルで安く買える都合の良いシナリオだと言ってきた!
 
株式市場では現状の円安に関して「悪い円安論」などと、ネガティブなコメントがされていることに違和感を感じる人は多いかもしれない。
平成の時代は、バブルの崩壊で日本経済が弱体化していくにもかかわらず、更に経済原則からは考えづらい円高が進み、(本来、為替の原則は強い経済の国の通貨が買われると言う事のはず)日本の輸出企業は価格競争力を失い、海外へ製造拠点を移転させることで「国内製造業の空洞化」が加速し、日本企業と日本経済の弱体化が加速した。
(仮に1ドル150円が80円にでもなれば、日本の輸出企業は利益が出ない。
したがって日本の輸出企業は製造の拠点を円高でコストの安くなった海外に移しざるを得ないし、反対に輸入企業や海外製品を買う消費者の立場とすれば海外の物は、ほぼ半値で買えると言う事だから国内製品より安い海外製品に購入や消費が向かう事になる)

「失われた20年」と言われた平成の時代に日本経済が弱体化した原因の1つはまさに円高にあると言っても過言ではない。

通貨の購買力の国際比較にマクドナルドのビッグマックの価格が使われるが、添付した表のごとく日本のビックマックの価格からは1995年の世界最高の物価国から今や世界最低の物価国に変わった。

つまりデフレ経済に加え、円高から円安へ大きくスイングしたため引き起こされた訳だが、このことにより日本経済が大きな構造変化を巻き起こそうとしている。

①輸出競争力が強まり輸出数量が増加するのみならず輸出企業にかなりの為替差益の恩恵が生じている。

②半導体製造部門や脱炭素分野などでも高い競争力を持つ日本製品に価格競争力が加わる

③輸入品が割高になるため割安感がでてきた国内製品に代替する兆しから、海外の製造拠点を国内に回帰する動きが見られ、22年度の設備投資計画は26.8 %増(政策投資銀行調査)とバブル崩壊以降なかった数字となっている。

④総額1兆円に達するTSMC(台湾)の半導体熊本工場建設も動き始めたが今後円安定着がはっきりするにつれ海外の企業による日本国内の製造工場進出も動き出すだろう。何より半導体製造や脱炭素等の日本の技術は他国を凌駕するものが多い。

⑤割安になった日本で商品を調達し、海外で転売する越境取引が活況を呈している。
最近の新聞でも「中古iPhone「13」が新品価格を1時4万円を上回る逆転現象が起きている」との報道が出ているが「円安で世界で最安値になった日本のiPhoneに目をつけた海外の「転売ヤー」と呼ばれる業者が中古品を大量に買い取り海外で転売をする動きから新品を中古の価格が上回ることによる」と解説されている。

⑥コロナ終息の動きと共に低価格の日本への旅行需要が急拡大し始めている。9月7日から、新型コロナワクチンの3回接種を条件に日本への入国・帰国時のPCR検査が免除され、入国人数の上限も1日2万人から5万人に増える。今後は団体客に加えて個人客の入国も認める方向でインバウンド関連のみならず国内消費全体の拡大要因になるだろう。
海外のデータでは旅行したい国ナンバーワンは今や日本がダントツ。
(日本に来ればビックマックのみならず、多くのものが自国ではあり得ない価格で買えるのだから。残念ながら日本人の海外旅行は悲惨な価格になりつつあるが)

今はNY市場やダークプールと呼ばれる国内の市場外取引で日本株を安値でしっかり購入している海外勢や国内年金等もその本性を現す時も近いだろうと思われるが、株やiPhoneのみならず、あらゆる物が世界最低価格水準の日本買いの需要はまだ始まったばかりでいずれ、とてつもない大きな奔流となって現れるだろう。
特に海外勢による不動産買いがすでに始まっている。
円高で苦しんだ平成時代とは全く正反対の日本企業や経済の拡大基調が確認できるだろう

4~6月の企業決算では経常利益17%増、売り上げ高経常利益率も8.4%はいずれも過去最高となった。
半導体関連などハイテク中小型企業の中には好決算にもかかわらず株価の値下がりでPERが10倍以下などと言う信じられない割安株群も存在している。

株式の益利回り(1株当たり利益÷株価)8%は極端な日本株の割安感を示しているし、バリュー株でも日本の主要企業の配当利回りは4%以上のものがゴロゴロしている。

現在、欧米の金融引き締めの影響を受け日本株式も調整場面にあるが、利上げが必要な欧米とは経済のステージが違う。目先より遠目に視点を変えれば今が買いのチャンスだろう。

問題は抑え込まれた日本株がどこで地殻変動起こすかと言う事だが!


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