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砂沼から言葉歩いて-2019-4

砂沼から言葉歩いてー2019
2019 第五巻  1月から12月  2010年3月 脳梗塞から八年目 失語症・言語発達障害・ 聴覚障害高次脳機能障害・発声発語・感覚障害

砂沼から言葉歩いて-2019-4

【4月11日 一日一句鑑賞】 瀬戸 優理子
リリリンと雨が雫に春眠し 俊克
 
不思議な味わいの句である。
 
上五に置かれた「リリリン」のオノマトペで
まず、ハッとさせられる。
鈴が鳴るような音だが、続くのは「雨が雫に」。
では、雨が降る様子を形容したのか?と思えば、
下五は「春眠し」と来る。
 
ならば、リリリンは、
目覚まし時計の音なのか?
激しい雨のようにリリリンと鳴る目覚まし時計だが、
まだ寝ていたい作者は、寝ぼけ眼でうつらうつら、
また夢の世界へと引き戻されていき、
雨から雫のように時計のアラーム音が
遠のいていった。つまり「雨が雫に」が比喩になっている
という仕掛けなのかもしれない。
 
…と、そのように読んでもいいのだが、
純粋に「雨の降る音」のオノマトペとして
読んでも面白いだろう。
 
窓の外の雨降りの様子をずっと見て、
打ち付ける音を聴いていると、
作者の耳には、リリリン、リリリンと
やさしく繰り返す
鈴のような音に聞こえてきて、
ふいに睡魔が襲ってきた。
 
ぼんやりとした視界の中で雨の景色も遠くなり、
雫ひとすじだけ残り、眠りに落ちていく。
そんな読み方もできそうだ。
 
表現における曖昧さは弱さにもなるが、
この句の曖昧さは、不思議な余白を生み、
想像力を掻き立てられる。
全体的にメルヘン調の世界を醸し出していて
夢うつつの春の雰囲気が伝わり、
ほんわかした、心地よい読後感である。

Anikó Papp 特選に選ばせていただきます。

風に乗りはらりはらりと花曇 俊克

【風に乗りはらりはらりと】という基底部は、擬態語が良く働きます。
この基底部の後、【花曇】という干渉部がいいですね。「花曇」は、桜の咲いている時の曇りです。雲がはらりはらりと風に乗る。いいお感じですね。
季語も写生も良く働く素晴らしいお句です。

俳句

⦿桜並木照らされ明かり足羽川 俊克
●旋律の濡れる窓越し椿咲く 俊克
●梅は咲き雲が動いて令和かな 俊克
⦿大空を「令和」の文字の吹き流し 俊克
●万葉の梅を見ながら「令和」詠む 俊克
●改めて春の名前の令和かな 俊克
⦿取組に声援送り春巡業 俊克 
⦿色が濃く花を華やかな雅かな 俊克
⦿夜桜列車田んぼに張られ水鏡 俊克
⦿花見客権現堂は埋め尽くす 俊克
●光差す結香の花埋め尽くす 俊克
⦿桜風胡弓の音色ミニライブ 俊克
●源平の敦盛桜古戦場 俊克
●リリリンと雨が雫に春眠し 俊克
⦿大橋を越えて砂沼の花巡り 俊克
●白子干映るテレビに天気の子 俊克
●曲水を老若男女令和唄 俊克
●星朧アインシュタインの黒い穴 俊克
●秀吉が幾重に育て八重桜 俊克
⦿芝能の心情重ね情趣かな 俊克
⦿一目千本桜の韮神堰 俊克
⦿ネモフィラの可憐の三分青い花 俊克
⦿花篝ノートルダムの願い鐘 俊克
●七色を植えて育てて芝桜 俊克
●反転し高島おばけ蜃気楼 俊克
●風に乗りはらりはらりと花曇 俊克
⦿艶やかにまるまげ祭り千手寺 俊克
⦿蜃気楼くっきり伸びて伸びて海の駅 俊克
●肉厚の大きさうま味鳥貝漁 俊克
●華やいで時間が流れ弥生祭 俊克
●桜咲く一眼レフに手を止めて 俊克
●街道を車が染めし芝桜 俊克
⦿水張田を御田植祭晴れまぶし 俊克
⦿悩ましい人間将棋さくら舞う 俊克
●続々と令和の菓子や春暑し 俊克
●名物は斜面にふわり芝桜 俊克
●図鑑見て白花たんぽぽ可憐なり 俊克
●駅近くさくら喜多方濃いピンク 俊克
⦿引つ越しか枝をガサガサ春の栗鼠 俊克
⦿藤棚の日射しのびのびここ二日 俊克
●「恋心」優しく感じチューリップ 俊克
⦿夏近し大安近し令和来る 俊克
●飛鳥越え嫁持つ春の秘仏かな 俊克
●はやぶさに地形の変る暮遅し 俊克
⦿春風は退位即位の皇居前 俊克
●ネモフィラが丘に可憐な花の海 俊克
⦿「春の羽根」見つめる少女切り絵かな 俊克
●聴きる音乗込鮒の水うねる 俊克
●ハンカチの花が五本に垂れ下がり 俊克
⦿春風は退位即位の皇居前 俊克
●ネモフィラが丘に可憐な花の海 俊克
⦿「春の羽根」見つめる少女切り絵かな 俊克
●青空に桜の下で野点かな 俊克

短歌

●喜びの瞬間の声「令和」立つ
明るいイメージ令和饅頭 俊克
⦿文字を見た名前が同じ名付け親
今もどきどき「令和」とのりかず 俊克
⦿鮮やかな衣装を纏い和歌を詠む
タイムスリップ梅花の宴 俊克
⦿久慈川の菜の花咲いて常磐線
太鼓とクイズと花の写生画 俊克
⦿崩れ落ち携帯電話のカメラ撮る
美観が消えてノートルダム寺院 俊克
⦿魅了して桜を癒やし磐城国
折り重なって紅枝垂桜 俊克
⦿削られていじめ防止の座長案
遺族の反発馳浩元文部科学相 俊克
⦿戌の日も婚姻届大安も
令和も祝い五月一日 俊克
●「令和」への思いを語る凧職人
恵まれ空に長崎ハタ揚げ 俊克
⦿太宰府は十連休の腰の珮
時を感じて香を薫らす 俊克
●「令和」への思いを語る凧職人
恵まれ空に長崎ハタ揚げ 俊克
⦿太宰府は十連休の腰の珮
時を感じて香を薫らす 俊克

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