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東工大の卒業式で祝辞、述べてみた
母校の東京工業大学の卒業式(正式には学位授与式、学部および大学院の2回)で来賓として祝辞を読む機会を頂いた。2024年3月26日。
東工大は24年10月には東京医科歯科大学と合併して東京科学大学となるので、「東京工業大学」としては最後の春の卒業式だった。
そんな大事な機会に、もっと王道的に凄い卒業生がアボガドロ定数ほどいる中で、私を推薦してくれた益学長には感謝です。
聞いてる卒業生・親御さんたち
【読書メモ】ドナルド・スーパーの入門書としても読める!?:『自己形成の心理学』(溝上慎一著)
一冊の書籍を読むだけで多くの心理学研究者のポイントをここまで理解できる書籍はなかなかありません。溝上先生の『自己形成の心理学』は心理学領域を学ぶ大学院生にとってありがたい書籍です。今回は、ドナルド・スーパーについて言及されている箇所をまとめてみました。
役割葛藤とアイデンティティ現代において私たちの社会は多様なものになっています。そのため、私たちが担う役割も多岐にわたります。こうした役割葛藤とア
東京工業大学・上田紀行教授の最終講義をダイジェストでお届けしてみる。
3月8日、東京工業大学大岡山キャンパス70周年記念講堂で行われた上田紀行教授の最終講義&セッションに行ってきました。「東スポの記者が何しに東工大へ!?」と思われるかもしれませんが、その理由は最後にお話ししようと思います。まずは同じ教室にいるつもりになって、上田先生の愛があふれる講義をお楽しみください。(東スポnote編集長・森中航)
【前半】私たちの人生を豊かにするもの、逆に薄っぺらくするもの
私はなぜ化石賞に関する報道に、毎年飽きずにコメントするのか
仕事柄、学生の方々とお話する機会も多くあります。
最も悲しいのが、「日本は環境後進国なんですよね?」と聞かれること。
この問題に関心を持ち、ニュースなどにも積極的に目を通している学生さんほどそう思う傾向にあるようです。エネルギー政策の議論が報道されれば「再エネで出遅れた」とあり、首相がCOPに参加すれば「岸田首相に対して環境NGOが化石賞を贈って批判」と報じられるとあっては、そう思うのも仕方ないで
【論文レビュー】幸福感とライフキャリアの関連について:労働政策研究・研修機構(2021)
人が幸せを感じることと、ライフキャリアとはどのような関係があるのでしょうか?本論文では、さまざまな変数を用いて両者の関係性を具に分析してくれていて、ライフキャリアについて考察する上で一読の価値がある内容です。
男性より女性の方が幸福度が高いが。。。まず、日本人の男性と女性とを比較した場合、幸福度も人生満足度も女性が有意に高いという結果が出ています。まあ、そんなもんかなぁという気もします。(下表の
元テレビマンが『ニッポンおもひで探訪』に震えた理由
ネット上で話題になっていたNHKの番組『ドキュメント20min. ニッポンおもひで探訪 ~北信濃 神々が集う里で~』を見ました。面白かったです。
番組の前半は、よくあるNHKのドキュメンタリーという雰囲気。宍戸開さんが小さな集落を訪れて、地元の祭りに参加します。でも、後半には意外な展開が待ち受けています。
この番組の前半部分を見たとき、私は期待と興奮でゾクゾクしました。たぶん、一般的なテレビ視
【論文レビュー】組織への複雑な感情を明らかにする尺度について:Kreiner & Ashforth(2004)
組織アイデンティフィケーションにまつわる様々な概念はいかに測定することができるのでしょうか?いわば、組織への複雑な感情を測定する尺度について書かれた論文を読んでみました。
組織アイデンティフィケーションとは何か私が組織アイデンティフィケーションについて興味を持っているのは高尾先生の2012年の論文を改めて読んだからです。同論文の所感を書いた際に、組織アイデンティフィケーションとは何か、組織コミッ
「今更」という呪いを捨てて、35歳で上京した話。
2022年8月18日。わたしは35年過ごした故郷の石川県を離れて上京した。
リモートワークになったことにより、東京を脱出して地方移住したというのはよくある話だが、その逆の話についてはあまり体験談やブログがない。
あれから一年が経ったので、30代で上京するまでの経緯から、一年を東京で過ごしてみて現在思うことまで、さまざまなことを思い出しながら綴っていこうと思う。
上京が叶わなかった20代地方出
【論文レビュー】準備型のキャリア vs. 適応型のキャリア:松本(2015)
キャリアを捉える概念はあまりに多く、それぞれの関連性や相違点が今一つわかりません、少なくとも私には。そのため、それぞれの概念の布置連関を整理しようと試みてくれる本論文のような存在は大変ありがたいものです。ただ、「これが唯一無二の正しい分類だ!」というものは本論文も含めてありませんので、「こういう切り口もあるのだな」というように観点の面白さを味読いただくとよろしいかと思います。本論文では、準備型のキ
もっとみる【読書メモ】『ふつうの相談』(東畑開人著)
著者の書籍のファンになり乱読状態なのですが、本書は、ウィットの効いた軽妙な語り口を想像して読み始めたらしっかりした内容かつ少々硬い文体で驚きました。『心はどこへ消えた?』から『野の医者は笑う 心の治療とは何か?』へと読み進めた身としては少々面くらいましたが、エッセンスのなるほど感は著者の他の書籍と同様に高いです。
ふつうの相談とは何か私が読み飛ばしただけなのかもしれませんが、本書のタイトルにもな