しずくだうみの闇ポップ講座(2)

焼肉について

●テキスト/しずくだうみ

 一緒に食べる人と仲良くないと焼肉屋には行きたくない。でも仲がよすぎると家で鍋をした方がコストパフォーマンスがいいって話になる。

 個人的にはどんな肉をどんな順番で頼むかを見られることは、私的な感情を吐露したり部屋に招くこととよく似た、ものすごくプライベートな部分を見せることだと思っている。付き合って長い恋人とは焼肉をしたいけど、付き合いが浅くて何をしてもドキドキする…みたいな恋人とはなんとなく行きづらい…。そんなイメージと言ったらわかるだろうか。

 オムライスを頼んで一般的なオムライスと少しの野菜が出てくる店になら行けるけど、卵・ソース・ライス・野菜の種類を選ぶような店があったら、ものすごく親しい人としか行きたくない。でも逆に、この人とはもう二度と会わないし私の素性を知る気がないとわかったら焼肉もいいかもしれない。

 こうやって色々と考えてしまう「焼肉」。私が誰かと食べているのをSNSにあげていたらその人によく懐いていると判断してあながち間違いではないだろう。



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