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LARPトラブル予防術その4 〜プレイヤー間でのすれ違い・不幸な進行による齟齬の発生

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アナログゲームマガジン|秋山真琴|note

さて、不定期に更新し続けているLARPトラブル予防術も第4弾となります。過去の記事へのリンクは以下の通りとなっておりますので、もし読まれていない場合には是非ご覧になってください。

プレイヤー間でのすれ違い・不幸な進行による齟齬の発生

LARPはコミュニケーションを中心にして進行するため、自然と参加者同士の間柄も親しいものになりがちです。皆笑顔でやっていけることはとても幸せなことなのだなあ、と思います。

そんな中でトラブル対策TIPSが発生するのかって? いやいや、仲が良くても、起こるトラブルはあるのです。今回はそんなことについてお話しようと思います。

例えば…とあるキャラクターAが大切にしているペンダントがありました。そのペンダントは盗まれてしまいます。Aは急いで探して見つけるわけですが、一方、Aの仲間たちはAとペンダントの関係性や、ペンダントの重要性(体から一定距離・一定の期間、離してしまうとAの命が変化してしまう)を様々なシチュエーションの偶然でうまく知ることができないまま、Aと共に、盗まれた秘密結社に乗り込むというクライマックスに辿り着きました。

ところが、仲間たちはペンダントについて情報をうまく得ることができていませんでしたし、Aはその件について、自らの任務に関連してしまうため、うまく話すことが出来ませんでした。そしてペンダントこそが秘密結社の目的であると知った仲間たちは、戦闘の中でそのペンダントを海に投げ捨てようとしたのです。

危うく、咄嗟にAが拾い上げて事なきを得たものの、偶然の重なった事故とはいえ、Aの喪失というバッドエンドに直行する一歩手前でした。

Aは様々な理由で事情を話すことが難しく、仲間たちはそれを察するために動いたけれど、不幸が重なればキャラクターとして知り得ることができない。そういった時にどうするか…あなたなら、どうしますか?

LARPは、基本的にリアルタイムに時間が進行する中での選択の連続が起こり得ます。自らが動いた軌跡が、物語を紡いで運命を作り出す。であれば、どのような結果だったとしても、それを受け入れることは必要なことです。

ただし、それはゲーム内でのこと。ちょっとしたコミュニケーションの齟齬や行動のかけ違いから、ゲーム外にもモヤモヤが続いてしまう、それはあまり好ましいことではないでしょう。

そこでこの時は、

「どうしたらもっとうまくいけたかな」
「これは完全に運が悪かったので仕方なかったね」
「みんな、限られた情報の中でよく頑張ったよ」

といったことをがアフタートークの会話の中で行われ、互いにそれぞれの苦労を労い、今後、同様のケースが起こった際にどうすれば良いのか対策を話し合いました。これは参加者たちも気持ちを切り替えることに繋がり、結果的に大きな『学び』へと昇華できたケースであるといえます。
LARPは、身体の安全性と共に、精神の安全性にも気を遣って然るべきだと思います。LARP普及を考えるCLOSSが掲げる『LARP安全憲章』にも記載されている概念です。また、LARPの本場とも言える北欧の方でも、「精神の安全に対するケア」は繰り返し見直されている大きなポイントの一つです。

LARP安全憲章


こういったこともケアしながら、どんなことになったとしても、みんな笑顔でいられる環境作りは大切なことだと、私は思うのです。

進行による齟齬の解消に向けて〜フェイトプレイ

上記の例に挙げた事は、やっていた結果、齟齬が発生したことでトラブルになりかけた。という場合の、事後的対応策の提示でした。もちろん、事後に対応することで、良くなる事もありますから、そうした対応は大切な事です。
ですが、あらかじめトラブルが発生することが予見できたとき、シナリオやLARP環境を用意する立場の運営者はどういった工夫ができるでしょうか?

その解決策の一つとしてご提案したいことがタイトルにもある「フェイトプレイ」すなわち、運命劇であるとして、キーポイントとなる事柄(例でいうならば、Aとペンダントと秘密結社の存在の関係)を予めプレイヤーたちには周知しておき、しかしながらキャラクターとしては知らないし、キャラクター間では共有しにくいという立ち位置や状況によって発生するジレンマを乗り越えていく。そうした過程がプレイされることで感情の揺れ動き、いわゆる「エモい」状況の確立に寄与し得る場合がある、ということです。

回避法の一つとして、頭の片隅に置いていただけましたら幸いです。

SNS投稿による余波の問題

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