旧友

全く違う道を、全く知らない間に、君たちは一人一人歩んでいて、集うと今それまでの人生を語り合うことができる。

あの時には考えもしていなかったような話題、こんな話をお前たちとするなんてな、というのは何て贅沢なひと時だろう。食べきったスルメが、もう一度口の中に戻ってきたみたい。

でも、同時に感じる世界の隔たり。その場限りの邂逅で、きっと終わればみんな日常に、それぞれの世界にまた戻っていく。自分の毎日をかき乱されることはそうそうないし、誰も求めていない。

もう戻れないのだろうか。一度世界をぐしゃぐしゃにかき混ぜて、この見えない無数の壁を払って、かかわりを、つながりを、再構築するなんて日は来ないのだろうか。

でも、今を失いたくもない。うん、難しい。

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