トルストイ著=木村浩訳(2012)『アンナ・カレーニナ(下)』新潮文庫

人は感情で生きているのだということが、いやでも心の底からわかってしまう。人生はいったい何のためにあり、晴れぬ苦しみに救いを差し伸べるは果たして正しい結末だろうか。

人間性をここまで緻密に、特に感情の機微に至るまでを描き切った作品は確かに傑作であろう。しかしその主題ゆえに、描かれたものは我々の日常に絶えず付きまとい、かつこれからも離れることのない平凡な悩みである。いつか累世の苦悩から人間が解き放たれることを楽しみにしたい。

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clryk

書評

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