淡いという状態

淡い、あわいといえば、「淡い恋心」だろう。むしろそれ以外の用例をあまり知らない。この淡いという言葉は、何を指すというのだろうか。

一般的な文脈でよくあるのが、「むかし青春時代、私は彼に淡い恋心を抱いていた。それはまだ不確かな感情で、はっきりと口にすることもないまま私たちは卒業の日を迎えた。」というような使われ方だろう。
強い、確固とした、絶対の、揺るがない状態ではなくて、
淡いとは、ほのかな、不確かな、混色の、たぶん純粋な生の状態を指す。

そして、一度通り過ぎた恋にも淡いという言葉は当てはまるのかもしれない。もうあの頃みたいに熱く恋焦がれることはなくとも、それでもどこか心の中に住み続けているような、そんな人がいるとしたら、それは淡い恋心と言えるのではないか。

淡い、こい、また淡い。私たちは意外と淡いという状態と長く付き合っているのかもしれない。

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