渋谷秀樹(2014)『憲法への招待 新版』岩波新書

設問が身近な話題で憲法に親しめるのはいい点だが、それ以外は憲法学という学問に対して失望を抱かせる著述であったと言わざるを得ない。政治的な立場の正当性を主張するために憲法学という使い勝手のいい化けの皮を被っている者の多いことを感じさせる。

最も単純化して問題を指摘するならば、論理的に正しい思考が全て正しい結論を導くわけではないという事実への配慮が、全く欠けているという点である。恣意的に「正しい論理」を選択し並びたてる、そうした学界の傲慢さが覗く一冊であった。

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