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高級ソープ嬢とバトって金を取り返した話

数年前、ジモティーで高級ソープで働く子と知り合った。
出会った当初OLを自称していた彼女は、私と仲良くなるにつれ自分の身分を明かし始めた。

ソープ子『おととし風俗誌でグラビア特集されて、それから少し有名になって。昼の職場にもバレて転職した。東京からわざわざ通ってくれるお客さんが増えて、年収は3000万超えたけど…。梅田歩くと「○○さんですよね?」って声掛けられるようになって、家まで付けられたこともあるから、1人で行動するときはずっとマスクしてるの』

小柄な彼女は私との身長差が15cm以上あり、アイドル風の丸顔だったため、2人で歩くと街で目立った。

当時キャバ嬢だった私は、同じ水商売の彼女となら何でも話せることが嬉しくて、迷惑な客の愚痴で盛り上がりながら何度も飲んだ。

しかしある日を境に、私と彼女は友達ではなく、取り立て屋と負債者になった。

1. 悪夢スタート

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その日もいつものように焼肉を食べ、ワインの飲み放題(こちらの記事参照)へ行った後、HUBやクラブでタダ酒を飲んで遊んでいた。

「奢るよ」と言って声を掛けてくれた男に付いてカウンターへ並ぶと、左右の男たちが「俺たちと飲もう」と誘ってくる。
大阪のクラブのカウンター周りには、ハイエナ族がいるのだ。

しかしそこで「お兄さんの方がイケメン!ごめん、やっぱこのハイエナくんと飲むわ!」とは言えない性格なので、先に声を掛けてくれた男性への義理を優先し、飲む。

ハイエナくんには「あとでね」と伝えており、近くでスタンバられているので、解散するとすぐまた次の酒を飲むことになる。

そして並んでいると、別のハイエナの目にとまる。
その繰り返し。

クラブに入場してから2時間、私たちは既に14杯ものお酒を飲んでいた。
それぞれテキーラ7杯、カミカゼ4杯、レッドブルウォッカ2杯、シャンパン1杯。
直前にワインの飲み放題のお店(ローマ軒)で、グラスワインも10杯ほど飲んでいる。

普段お酒を飲むのが仕事の私はそこまで酔ってはなかったが、彼女はもうフラフラだった。
というか、急激にフラフラになった。

▼ たぶんこの時点で泥酔期

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1度クラブを出て休ませようと、エントランス横の障害者用トイレへ入る。
すると、そこから動かなくなってしまった。
すかさずセキュリティが飛んでくる。

セキュリティ「すみません!ここに籠らないでください!外行ってください!」

クラブのセキュリティには情のかけらもない。

なんとか立ち上がった彼女を抱え、私は深夜3時の梅田へ飛び出した。


2. 妖怪掘りごたつ嬢

始発まで2時間。
彼女はフラフラでほとんど話せないので、タクシーには乗せられない。確実に乗車拒否されるだろう。家の場所も分からない。
しかし、この時間に2人で外にいると、変な男に付け回されてしまう。

カラオケに行くも満室。
その日は華金だった。

途方に暮れていると、居酒屋のキャッチに合う。
普段は話を聞くこともないが、その日ばかりは頼った。

私『座敷の個室がある安い店に連れてってください』

すぐそばの居酒屋へ入店。
掘りごたつの個室だった。

助かった、ここで2時間凌いで始発で帰ろう…
その頃には彼女の酔いも覚めてるだろう…

と思っていたのに、彼女の様子はどんどん悪くなる一方だった。
何度声をかけても起きず、ついには掘りごたつの中に潜り込み、脚を広げて仰向けになったまま寝てしまった。

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▲ お分かりいただけるだろうか…

まるで妖怪のようなこの姿に、料理を持ってきた店員さんが驚く。

店員「えっえっ、掘りごたつの中から人の足出てますけど…!?」
私『すみません、パンツ見えてるので見ないであげて下さい…閉店の5時には連れて帰りますので…』

何とかして彼女を起こそうと声を掛けると、うるせぇ!とばかりに腹に蹴りが飛んでくる。
力は入っていないものの、蹴られた拍子に私のスマホが吹っ飛び、画面がバキバキに割れてしまった。

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▲ 私の腹を蹴り上げてくる足

この妖怪掘りごたつ嬢に私はどうすることもできず、蹴りを避けながら定期的に声を掛け続けることしかできなかった。


3. 妖怪退治

彼女は何度声を掛けても起き上がらず、ついに朝5時になってしまった。

店員「あの、そろそろ…」
私『すみません、でもこの子どう頑張っても起きなくて…掘りごたつの中から出てこないんです。かなり動くし、意識はあるんですが…』
店員「急性アル中ですかね…救急車呼びましょうか」
私『すみません、お願いします…』

まさかこんなことになるとは思っていなかった。
今思えばもっと早くに救急車を呼ぶべきだったのかもしれないが、掘りごたつの下から私を蹴り上げるくらいの意識はずっとあったので、その決断ができなかった。

そもそも大学生じゃあるまいし、自分のアルコールの許容量くらい把握してるもんだと思ってたから、自分や周囲の男女のように、数時間もすれば「あーきもちわる…」とか言ってのっそり起きてくると思っていた。

しかし彼女は動かなかった。
男性店員が3人がかりで彼女の体を引きずり出す。
女性店員が、丸見えのパンツにブランケットを掛けてくれた。

店員「救急車呼びました!」
私『すみません、ありがとうございます』
店員「運べませんよね?僕おぶります」
私『ほんと申し訳ないです、お願いします…』

大金を生み出す高級ソープ嬢の体が、ここではさっさと消えて欲しい迷惑な肉塊になってしまっていた。

▼ おぶってくれる男性店員と、パンツを隠す女性店員

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エレベーターで階下へ降り、外へ出ると、目の前に数台のタクシーが停まっていた。
しかし、店員におぶられている彼女の姿を見るなり、全てのタクシーが猛スピードで発車してその場を離れる。
泥酔者なんて死んでも乗せたくないらしい。

ほどなくして救急車が到着。
店員さんたちにお礼を伝え、私も一緒に乗り込み病院へ向かった。


4. 「こんなの初めて!すご〜〜い!!」

救急病院に着くなり、彼女は意識がないまま点滴を打たれた。
ひとりぼっちの待合室で、彼女のカバンを握って2時間待った。
時刻は既に朝8時。
自らも深酒しながら一睡もせず介抱し、スマホを割られ、病院にまで付き添った私はもう満身創痍だった。

しかし、点滴で意識が回復した彼女は、ひどく楽しそうだった。

彼女『えーっ私、なんにも覚えてない!すごい!ほんとほんと、どうなってるの?クラブのVIP席行ったあたりから記憶ない!こんなの初めて!すご〜〜い!!』

そう言ってずっと笑っていた。
まるで「今すぐこのビッグニュースを皆に話したい」と言わんばかりのテンションで、自分の身に起こったことにはしゃいでいる。

蹴られて割れたスマホを見せると、『えーっ!ごめん!全然覚えてない!今度焼肉奢る奢る!』という雑な口約束だけを告げられた。

私が払った居酒屋代を告げても支払うことなく、ごめんね、また今度!と明るく言って彼女は帰って行った。


5. 闇金こじカスちゃん 始動

しかし、こんな無礼な対応を許す私ではなかった。

数時間後、帰宅した彼女から送られてきたLINEを皮切りに、闇金こじカスちゃんの取り立て作業が始まる。

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「スマホの修理代分、しっかり焼肉奢れよ」とダメ押し。
しかし、そこで素直に頷く彼女ではなかった。

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なんとまさかのジャンプ(借金返済を翌月に持ち越すこと)を要求。
年収3000万の女が金銭的に厳しいってどんな世界だ?
逃げようとする彼女に、見逃してあげてたもう1つの借金を通達。

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掘りごたつの居酒屋代は、すべて私が立て替えていた。
彼女が泥酔しなければ、行く必要のなかった居酒屋。
飲酒量を気に掛けてあげなかった私も悪いのかもしれないが、介抱するために利用したのだから、せめて半額くらい払って欲しかった。


6. 泣き落とし大作戦

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そして被害損額は嵩む。
彼女に割られたスマホ画面の修理費が、1万円を超えた。
年収3000万のソープ子は金を返す様子はなく、1週間ほど連絡が途絶えていた。

▼ そこですかさず報告

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するとすぐに返信が。
しかし、「うわ、私のせいでごめん…今度弁償するよ!」などではない。

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え?
泣き落とし大作戦?

この女、「母が危篤状態」という嘘までついて、借金返済を免れようとしている。

「さすがにこんな悲惨な状況の女からは金を取らないだろう」という魂胆が見え見えである。

母が倒れ、危篤状態のため自分は急遽実家に帰り、パニック障害。
たった2000円の返済を免れるにしては、大きな嘘をつき過ぎだ。
どうせ大阪にいるんだろ…

わざわざ郵送を提案し、「そこまでして返してくれなくていいよ!お母さん大変なんだからお金は大丈夫、頑張って」待ちをしている。

辛いことは続くねって、完全にこっちのセリフだ。


7. ブレない姿勢

しかし闇金こじカスちゃん、当然ながらそんなお涙頂戴大作戦に騙されたりはしない。

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「確実に返金して」と取り立て屋としてブレない姿勢を貫く。

するとソープ子、諦めたのか『やっぱ大丈夫、今夜梅田行ける』と返信。
どないやねん。
いっぺん嘘ついたんなら死ぬまでつき通さんかい。

しかし私はその日予定があり、時間が合わないためコインロッカーを提案。

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なんか奢ると言ってた焼肉代も入れてくれるらしい。
嘘をついた手前、もう私と会いにくいのだと思う。
焼肉で危篤でもない母の話を2時間するのは辛いよね、わかるよ…

ほどなくして、ロッカー番号の連絡が。

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なんで私が謝っとんねん。


8. 集金

数時間後、予定が終わり指定されたロッカーへ。
送られていたQRコードで鍵を開けて扉を開くと、茶封筒がぽつんと1枚入っていた。

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ドキドキで開封すると…

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7千円!

居酒屋代2000円と、スマホを壊したお詫びの焼肉代5000円ってことらしい。

修理代は11,300円だったので余裕で赤字だが、誠意が見たかっただけなのでこの金額で良しとし、闇金こじカスちゃんの取り立ては終わった。
その日以来、彼女との縁は切れ、一切連絡を取っていない。

正直、奢り奢られ論争をしている人たちや、女に奢らされて悔しい思いをしている男性は、私の言動を見習って欲しい。
相手の情報がLINEしかなくても、本気で無慈悲に取り立てれば、人は金を返す。
もちろん、逃げられる前に対面で行うことが得策だ。

ちなみに「母親が死ぬから地元に帰る」と言っていた彼女のLINEは、今も毎月のようにアイコンが変わっている。
背景は、すべて梅田。

以上、闇金こじカスちゃんから逃げることなんてできねーぞ!って話でした。


▼ noteフォロミー( ¨̮ )



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