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ドビュッシー歌曲「ビリティスの歌」Trois Chansons de Bilitis

 私は夏はフランス歌曲を聴くのが好きなのですが、その中でもドビュッシーの「ビリティスの歌」という歌曲を愛聴しています。「ビリティスの歌」はドビュッシーの友人であるピエール・ルイスが、紀元前6世紀のギリシャに生きた女性が詠んだ詩をルイスが翻訳した、という体裁をとって発表されました。ドビュッシーは詩の中から、「パンの笛」、「髪」、「ナイアードの墓」を選択して、歌曲をつくりました。とてもロマンチックな歌曲なので良かったら聴いてみてくださいね♪
「パンの笛」の歌詞だけ掲載しておきます。私は3曲目の「ナイアードの墓」がアジアの響きを感じて一番好きです。
https://www.youtube.com/watch?v=VuxvwYNInZk

1曲目  La flûte de pan <パンの笛>
Pour le jour des Hyacinthies,il m'a donné une syrinx faite
de roseaux bien taillés,unis avec la blanche cire qui est douce à mes lèvres comme le miel.

Il m'apprend à jouer,assise sur ses genoux ;mais je suis un peu tremblante.Il en joue après moi,si doucement que je l'entends à peine.

Nous n'avons rien à nous dire,tant nous sommes près l'un de l'autre ;mais nos chansons veulent se répondre,et tour à tour nos bouches s'unissent sur la flûte.

Il est tard ;Voici le chant des grenouilles vertes qui commence avec la nuit.Ma mère ne croira jamais que je suis restée si longtemps a chercher ma ceinture perdue.

 ヒュヤシントスのために、彼がくれた一本の笛。形の良い葦でできた牧神の笛。私の唇には蜜のように甘い、白い蝋で張り合わされている。

 彼は膝の上に座らせて、吹き方を教えたが、私は少し震えていた。私のあとで彼も吹いた。あまりにもそっと吹くので、ほとんど聞こえない。

 二人はとても近くにいて、言葉はいらない。ただ私たちの歌は呼応したがり、かわるがわる私たちの口は、笛の上でひとつになる。

 もう遅い。緑の蛙の歌が、夜と共に始まっている。母さんはこんなにも長く私がなくした帯を探してここにいるなんて、思いもしないだろう。
注)2018年6月9日過去投稿記事です。


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