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ヴェーデキント「ルル二部作ー地霊・パンドラの箱」


 
 ベルクの歌劇「ルル」の原作であるヴェーデキント作「地霊・パンドラの箱」を読みました。若干20歳のルルは三人の男性と結婚しますが、三人の夫はみな破滅し、最後はルルも切り裂きジャックに殺害されるオペラの台本とだいたい同じでした。

 戯曲では、ルルの言葉遣いが思ったより上品で綺麗。十二歳の花売り娘だったルルにピグマリオンのように礼儀作法を教えたシェーン博士(三番目の夫)、ルルの素性をよく知らないで(ルルが嘘をついていた)女神のように崇めた二番目の画家の夫、義理の息子(シェーンの息子)とも恋仲になる、伯爵令嬢との同性愛あり、ルルの夫殺しによる監獄経験、コレラ菌を愛人の令嬢からわざと移してもらって監獄病室から脱走、最後は貧しさのため春をひさぐ。

 なんだか救えない話ですが、ルルは無邪気で悪気がない。天真爛漫でその容貌と肢体の美しさからあらゆる人を魅了します。

 本と併せて、1929年のサイレント映画「パンドラの箱」を観ました。ルル役の女優ルイーズ・ブルックス は私の大好きなジョルジュ・バルビエのアールデコ美術から抜け出たように、えもいわず艶やかで愛くるしい。モノクロフィルムだからこそ一層想像力を掻き立てられます。こんな人なら騙されてもいいかなと思いました。
 映画「パンドラの箱」はこちらです。
https://www.youtube.com/watch?v=AkMZkYngLcU

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