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ミュージカルにQueernessを見出した夜《ミニClub with Sの日 第1回レポ》



「喋りながら突然歌い出す」
「派手に踊る」
「陽気な人たちのためのエンターテインメント」

これが、ミュージカルのイメージだった。
映画『RENT』を観るまでは。

そこで描かれていたのは
セクシュアリティ、ドラッグ、エイズ、そして、家賃の支払いに悩む若者たち。
これは……

革命だ。
Queerのキャラクターが次々に登場し、ロック調のアップテンポな音楽に乗って展開される物語。
グループセラピー「Life Support」のシーンなんか、Club with Sと重なる部分を感じ、大感激。
もし観る機会があれば、ぜひAngelに注目してほしい。
Club with Sのメンバーなら絶対ファンになるはず。
ミュージカル作曲家のJonathan Larsonは、全く新しいミュージカルの概念を生み出した。

と思ったのは自分だけではない。
12歳の時に観たミュージカル『RENT』に衝撃を受けたSteven Levensonは、同じように若い世代へ向けた物語を書き上げた。
そのタイトルは

『Dear Evan Hansen』

テーマは
メンタルヘルス、鬱、自殺問題、そして、SNS。
これは……

自分だ。
2021年のベスト映画どころか、オールタイム・ベスト映画に入るほどの傑作。
ここに、Club with Sでやってきたこと、Club with Sでやりたかったことの全てが詰まっている。
詳しいことは『Where's Evan Hansen?』に書いてあるよ。
セクシュアリティやジェンダーに関する直接的な描写はほとんどないものの、高校生役のメインキャストのほとんどがQueer当事者だと知る。

となると、研究したくなるのが映画オタク。
『RENT』つながりで『tick, tick... BOOM!』を観る。
作曲家Jonathan Larsonの伝記映画。
彼がなぜ社会問題に切り込んだ作品を描こうとしたのか、個人的な物語とともに明かされる。
そして、本作にもQueerの俳優さんたちがたくさん登場する。
なんと、ノンバイナリーのBen Levi Rossまで出演しているんだ!!
自分はやっと、やっと、心の底から憧れるノンバイナリーの方と出逢えた!!
これは……

希望だ。
華やかなステージ、成功者だけに許された舞台、遠くから眺めるだけで満足していた“ミュージカル”という場所が、今、すぐそばまで来ている。
LGBTQ+コミュニティと密接な関わりを持って、活躍の機会を与えてくれている。
調べれば調べるほど自分を喜ばせてくれる情報ばかり出てくる。

伝えなきゃ。
ミュージカルという表現でしか届けられなかった物語があるように、歌という形でしか吐露できなかった心情があるように、Club with Sというコミュニティでしか共有できないメッセージがある。

12月11日
ミニClub with Sの日 初開催
テーマ『ノンバイナリーが語るミュージカル映画』

当日は、ここには書ききれないくらいたくさんの具体的な話やQueerのアーティストの紹介をさせてもらった。
ネタバレを避けたかったのもあって、ストーリーの話はほとんどしなかった。
でも、あっという間に時間が経ってしまって、“ミュージカル×ノンバイナリー”をテーマに一時間も語れるとはびっくり(笑)
ノンバイナリーの人たちとQueerのアーティストの魅力について語ることほど楽しいことはないよ。

今回慌てて開催したのは、ミュージカルファンを増やしたかったからではない。
これまで意識してこなかったジャンルに触れるきっかけになれば、と意図していたけど、それだけではない。
“可能性”について伝えたかった。

『RENT』(2005)
『Dear Evan Hansen』(2021)
『tick, tick... BOOM!』(2021)
『Everybody's Talking About Jamie』(2021)
『The Prom』(2020)
『West Side Story』(2021)

影響を受けたミュージカル映画に共通していたのは、“若者へのメッセージ”だ。
だからこそ、どの作品にも“自分”を感じることができた。
自分が作品や登場するキャラクターに励まされてきたように、誰かに希望の連鎖を紡ぐことができたなら、この上ない幸せ。

まるで何年も前からずっとミュージカルファンをやっている人みたいな語り方だけど(笑)、本当はここ1、2週間で起きた激動の話。
タイムリーな話ができるのはミニClub with Sの日のいいところだ。
また、カルチャー研究が進んだ頃、ミニClub with Sの日 第2回を開催しよう。




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