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ここで学んだのは、他者との関係性を作るシンプルな方法。

Change Makers' College(通称CMC)の卒業生にCMCでの学びについて伺う卒業生インタビュー。今回のゲストはCMC4期生の田中傑さんです。

青年海外協力隊の準備期間としてCMCに参加したすぐるさん。CMCでは地元の人と多くの時間を過ごし、場所に左右されない他者との関わり方を学んだとのこと。
CMC卒業後も大切にしているCMCでの学びを伺いました。

<田中傑さんプロフィール>
法政大学法学部出身。4年次にミャンマーに1年間留学し、僧院で出家生活をしつつ日本語を教えていた経験を持つ。大学卒業後は青年海外協力隊に派遣予定で、CMCにはその準備期間として参加していた。
趣味は瞑想、ボディビル。


青年海外協力隊の準備期間としてCMCへ


―すぐるさん今日はよろしくお願いします!まず、CMCとは全く関係ない質問をさせてください。ミャンマーで出家してたんですか…?
 そうです。留学先だったミャンマーは10人に1人が出家している国で、出家は結構ポピュラーなんですよね。僕はミャンマーに魅了され、それから仏教にも興味を持っていたので、出家してもう少し仏教やミャンマーのことを知ってみようと思ったんです。

ミャンマー留学中の写真。一番右がすぐるさん。

―な、なるほど…。帰国後はどうされていたんですか?
 将来はミャンマーの専門家としてJICAで働きたいと思っていましので、卒業後に青年海外協力隊として働く予定でした。といっても、派遣先はタンザニアだったのですが(笑)。

―ツッコミどころが多すぎる(笑)。経歴を聞いていると、CMCとつながる気配がないのですが、すぐるさんは何がきっかけでCMCを知ったんですか?
 偶然にも僕のゼミの先輩がSET(CMCの母団体)代表の三井さんで、ゼミの授業に来てくれたんですね。その時にCMCの紹介もしてくれて、楽しそうだなと思い参加を即決しました。

―え、その場で決めたんですか!?
 そうです。といっても、卒業してから青年海外協力隊として派遣されるまで半年ほど時間があり、どう過ごすのか迷っていたんです。タンザニアではまちづくりみたいな仕事をする予定だったので、SETの取り組みも参考になると思ったし、地域の人と0から関係性を作るスキルはタンザニアでも役に立つと思ったので、丁度いい機会かなと思いました。

―確かにCMCは広田町自体がキャンパスになっているので、そういう学び方もありますね。


CMCで人との関わり方を学びつつ、自分との付き合い方も知った。


―「地域の人と0から関係性を作るスキルを身に着けること」をテーマにCMCに参加されたとのことですが、実際学びはありましたか?
 たくさんありました!考え方から小さなテクニックまでいろんなことを学びました。1番の学びは「人とのつながりを作るには、その人とできるだけ多くの時間を共にすることが大切」ということです。

―「できるだけ多くの時間を共にする」ですか。
 そうです。僕はCMCの授業外の時間をいつもご近所さんのお家で過ごしていましたが、当初は名前も覚えてもらえなくて、よそ者感があったんです。なぜか「タンザニア」ってあだ名で呼ばれてたし(笑)。

―タンザニア…(笑)
 だけど、なんとか名前を覚えてもらいたくて、とにかく毎日その家で一緒にご飯食べて、お茶っこと呼ばれるお茶タイムも一緒に過ごしていました。すると、自然と「すぐる」と呼んでくれるようになり、すごくうれしかったんです。
 ある日、その人がスマホの使い方がわからないと僕に聞いてきたので、操作方法を教えたんですね。すると、すごく喜んでくれて、それからスマホ以外のお仕事を少しずつお願いされるようになったんです。

 ぶっちゃけ、スマホなんて今の若者ならだれでも使えるじゃないですか。でも、その人が僕に頼んでくれたのは僕がその場にいたからだと思うんです。それは僕じゃなくてもよかったけど、僕と一緒に過ごした時間があったから、その関係性が生まれたと思います。

―面白いですね。私も個人的に「一緒にいること」に勝る方法はないと思っています。
 長い時間を一緒に過ごしていると、一見違和感のある行動でも「今この人はこう思っているからこういう行動をとっているんだな」と行動の背景を理解できるようになります。だから、お互いに行動を受け入れることができる。もちろん、怒られることも多々ありますが、それも後には笑い話になる。この学びは他者とどう関わり、受け入れるのかという土台を作る経験になりましたね。

CMC期間中よく通っていた地元の方と。

―すごく素敵ですね。一方で、CMCを通して得た意外な学びはありますか?    
 意外な学びだったのは、感情にふたをせずちゃんと受け入れることです。僕は基本ポジティブなので、ダメなことがあったときでも、すぐ方向転換して行動していました。でも、それを繰り返していくうちに、感情が行動についてきていないことに気づいて。このままだと、いつか自分の感情がわからなくなって、自分を見失ってしまうのではないかと思ったんです。

 だから、授業の最初にある「チェックイン」という自分の感情を共有する時間で、僕は感情が細かく書いてあるマップを使いながら、具体的に感情を共有していました。すると、自分には感情の波がないのではなく、それは自分が感情に蓋をしていたからで、無意識に自分の感情を無視し、負荷をかけていたことに気づきました。だから、ショックなことがあったときは一旦自分の感情を受け止めたうえで、次の行動を考えるようになりました。

―感情を把握することで自分の中に変化はありましたか?
 ストレスを感じることがほとんどなくなりましたね。以前は楽しいときはすごく楽しいけど、落ち込むときはすごく落ち込むので、感情の起伏が激しかったし、コントロールできなかった。でも、今はその起伏が穏やかになって、ひどく落ち込むことが少なくなりました。以前のような刺激にあふれた満足感はあまり感じなくなりましたが、落ち込むことも少なくなり、総じて楽しい気持ちになっている時間が増えました。


―満足感よりも充足感が増えるような感じですか?
 まさにそうですね。だから、人に対して怒ることも少なくなり、人間関係もぎくしゃくしなくなりました。それも大きな変化だと思います。

授業外の時間にこうやってお昼寝できるスペースがある。


CMCで得たのは、外部環境に左右されても無理のない選択ができる「竹」のようなしなやかさ。


―CMC卒業後はどうされていたんですか? 
 コロナの影響で、青年海外協力隊の派遣が延期になっていたので、大学院で勉強しようと入学試験に向けた勉強をしていました。入学試験を数日後に控えたある日、ミャンマーでクーデターが起きてしまって。

―なんと…。そのタイミングで…。
 軍政になってしまったことでJICAの支援や日系企業の規模が大幅に縮小されてしまい、ミャンマーで働くことが難しくなりました。個人的にも軍政下の国で働くことには抵抗感を持ってしまい、ミャンマー現地に行くことは諦め、大学院試験も辞退してしまったんです。
 その後、どうしようかと迷っていた時、日本で技能実習生として働いていた友人から「職場環境が劣悪で、働くのが辛い」と連絡がありました。調べてみたら労働環境がすごく劣悪だったので、すぐ然るところに連絡をして改善してもらいました。
 この経験がきっかけで、これから自分ができることは日本に住むミャンマー人のサポートかもしれないと思いました。今日本に住むミャンマー人は2万5000人くらいいて、技能実習生として働いている子も多くいます。その人たちの労働環境をサポートすることがミャンマーのためにもなることではないかと思い、今は資格を取るために勉強しつつ、ミャンマーの子たちに日本語を教える日々を送っています。

―CMCに参加する前は想像もできない変化ですね。非常にしなやかな印象を受けます。
 ありがとうございます。これも前の自分なら何も考えず闇雲に行動をして、知らぬ間に自分を追い詰めていたかもしれません。でも、今は自分の感情をしっかり受け止めて選択できたので、そこまでストレスなく進むことができました。ミャンマーの人々を現地で支えることはできないけど、日本国内にいるミャンマーの人たちへの労働支援はできるので、一生懸命勉強したいなと思っています。

―素敵な目標ですね。最後に、CMCはすぐるさんにとってどういう時間だったと思いますか?
 一言では言い表せませんが…。自分の固定観念をほぐす時間だったと思います。CMCの前にミャンマーに行ったことで、僕は人間のあるべき姿を学ばせてもらったと思っています。でも、その姿は「ミャンマー人だから」という枠をどうしても外せなかったんです。
 でも、CMCで地元の人と関わっていく中で、人は本質的に変わらず、国や人種は条件でしかないことを学びました。だから、自分がどこにいても、何をするのか、どう関わるのかは結局変わらないんです。
 自分の感情を受け止めながら、自分の目的に向かって進む。国や条件に縛られない生き方をCMCでは教えてもらいました。だから、生き方の選択肢も広がり「竹」のようなしなやかさを得られたと思います。

―シンプルに自分の感情と目的に素直になることが、すぐるさんをしなやかな生き方に導いているのかもしれませんね。今日は素敵なお話をありがとうございました!
 こちらこそ!ありがとうございました。

CMC4期生とファシリテーターのこうへいさん。下段一番左がすぐるさん。


(インタビュー執筆・編集/外村祐理子)








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