仕切りの見えない水槽

 すっと前にみた寝覚めのいい夢の話をしよう。

 数年前,水族館に行く夢を見た。水族館と言えばたいていの場合,暗い通路に照明のついた水槽越しにうみの生き物たちを眺めることが多い。この水族館も順路の最初はそんな感じだった。

 水族館にはアザラシも色鮮やかな熱帯魚も,ユニークな顔した深海魚もいた。ただ,その水族館の目玉は屋上だった。

 屋上に上ると柵の向こうには見渡す限り水,水,水。そう,海とつながっているのだ。海の大パノラマ。
そして夕焼けに染まった空をバックに見えるのは飛び跳ねるいるかである。かなり遠くのいるかまで障害物なしで見える。

 空はオレンジ,ピンク,紺碧のグラデーションになっていて,ほどよい暗さと海に反射した光がとても心地いい。海と空の境界線が分からなくなるほどに溶け合って一つの景色となっている。

 ここになら何時間でもいたくなった。

 広い海と空で深呼吸をすると体にたまったもやもやはどこかへ吹き飛んでいった。

 …ここでその時の自分は目が覚めた。珍しく,寝起きがとてもよかったのはご想像頂けただろう。

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