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ワグナーになりきれなかった作曲家オタクが、WUGのFINAL LIVEに行った話

 私は現在大学3年生で、就職活動をしている。
本来私が書かなければいけないのは、noteなんかではなくESだ。
でもやっぱりこの気持ちを、Twitterという流動的なツールではなく、きちんとしたかたちで残すべきなのではないかと思った。

 2019年3月8日。女性声優ユニット・Wake Up, Girls!のFINAL LIVEに足を運んだ。
私にとっては、生でWUGのパフォーマンスを見る最初で最後の機会になった。

WUGとの出会い

 WUGとの出会いは、恋愛暴君(結局完走はしてない、よっぴーごめん…)OPの『恋?で愛?で暴君です!』だった。
「畑亜貴×田中秀和のタッグはやっぱり最高だなぁ」と思いつつ、「MONACAが作る楽曲が好きなのに、WUGの楽曲はほとんど聴いたことなかったな(まだこのころはMOタク度が軽度だった)、せっかくアニュータの有料会員になったし聴いてみよう!」と思い立ち、そこから過去曲を漁り始めた。
そしてその数週間後には、当時2まで出ていたベスト盤を一気に購入したほど、WUG楽曲の虜になった。

 そこから約2年間WUGの楽曲リリースを追ってきたことになるが、FINAL LIVEまでライブに足を運ぶことはなかった。
お察しかもしれないが、私が好きだったのはWake Up, Girls!という声優ユニットそのものではなく、「MONACAが作ったWake Up, Girls!の楽曲」だったのである。
アニメは見ていないし、なんならメンバーの名前や顔すら分からなかった。
RHYMESTERの宇多丸さんの言葉を借りるなら、私は「アイドルじゃなくてアイドルソングが好き」という人間だった。
おもしろおかしく言えば、「7 Girls Warの作曲者は?」「休養前の神前暁が簡単なコードとワンコーラス分のメロディを担当し、そこから田中秀和が(ry」(オタク特有の早口)「じゃあWUGの紫担当は?」「アッ…アッ…アッ…」と返答するバケモンみたいにひねくれたオタクだったのだ。
元々音楽ライブに足を運ぶのはすごく好きなので、WUGのライブにも興味はあった。
だが、アニメを見ていないしメンバーも分からない。こんな私がライブに行っていいのか。
そんな思いがずっと消えなかった。
だから、ちょうど私が地元・広島に帰省するタイミングでWUGが広島公演をすると知っても、幕張で大規模なライブを行うと知っても、私は行かなかった。
アニメを見ていない?メンバーが分からない?
違うよ、お前はアニメを見る気もないし、メンバーのことを知る気もないんだよ。
そんな奴が、ライブになんか行っちゃいけない。

解散が発表されて

 私が石濱翔氏に「サクラジェラート本当に大好きです!またランガちゃん、そしていつかWUGちゃんでも石濱さん楽曲が聴けるととてもうれしいです…!」というクソリプを送った(どうでもいい)約1カ月半後の2018年6月15日。
Wake Up, Girls!はグループとしての活動を終えることを発表した。
私自身もかなりのショックを受け、初めてWUGちゃんねるを見たりぺらじを聴いたりした。
そしてここでやっと、メンバーの顔と名前を覚えた。
ユニットを知ってから1年後の出来事である。
(ちなみに歌声と顔が好きなので、ななみん推しになった。)

 それでもやっぱり、ツアーに行くことはないだろうと思っていた。
ファンクラブ会員以外がチケットを買う方法が分かりづらいという運営的な側面もあったが、やっぱり「私なんかがライブに行って、席を埋めてしまうのが申し訳ない」という気待ちがあった。

 時は過ぎ、2018年12月上旬。わぐらぶに入会した。
わぐらぶ特典の直筆サイン入りポストカードが欲しかった。
入会金1350円。なんて安いんだと思った。
この前までメンバーの名前すら知らなかった人間が、人生初のファンクラブ加入先にWUGを選んだ。

 そして、そこから数週間経った12月22日。
さいたまスーパーアリーナでFINAL LIVEが行われることが発表された。
私がわぐらぶに入ってから、割とすぐのこの発表。
なんだか神様から、「行け」と言われているような気がした。
就活はもう始まっている。
ライブの予定を入れるのは、スケジュール的に危険な行為かもしれない。
でも、私はライブに行くことを選んだ。

 少し話はそれるが、私が一番好きな日本のバンドは、東京事変である。
だが私はライブを一度も見ることができないまま、事変は解散してしまった。
解散から7年経った今でも、「事変のライブを見たかったな」と思うことがよくある。
これと同じような後悔は、もうしたくなかったのだ。

 公開リハのチケットも取った。
午前11時15分集合。就活の予定を捨てることになるのは、確実だった。
それでも行こうと思った。
「新規も古参も関係ない」。よっぴーのこの言葉に、何度も救われた。

(やっと)ライブ当日

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 個人的に、椎名林檎のツアー以来のさいたまスーパーアリーナだった。
まずは公開リハ。
本番のリハに加え、止まらない未来とリトル・チャレンジャーの2曲がリハ限定で披露された。
本番ではあまりしゃべれないということで、MCもたっぷり。
会社説明会切って行った価値は十分にあったと思う。

 そしてFINAL LIVEに関連して、個人的に2つのファン有志企画に参加していた。1つ目は、「神前暁ありがとうマフラータオル」。

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草(最大級の褒め言葉)

ということで、念願の(?)作曲家グッズを手に入れた。
あと念願の(?)作曲家ステッカー田中秀和確定ガチャも引けたのでうれしかった。
自作でグッズ作るほどの勇気がなかった人間だったので、とてもありがたい企画だった。

 2つ目は、女性ワグナー限定のフラスタ企画。
私が「ワグナー」の企画に参加していいのか、と少しためらいもしたが、そこはご容赦いただければと思う。(申し訳ない)

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実物のフラスタを見たとき、自分が企画したわけではないが、涙がこぼれそうになった。
心から参加して良かったと思った。
これまでの私は、ファン主催の企画になんて参加するような人間では絶対になかった。
WUGのおかげで、変わったんだ。

ライブが始まる

 初めて見たからということもあったのだろうが、ライブはひたすらに楽しかった。
これまでずっと聴いた曲が、どんどんその場で披露されていく。
声優ユニットだろうがアイドルだろうがバンドだろうが、その経験は何物にも代えられない。
あとアガペーの「君の名前を呼ぼう」で「恵一〜〜!!!」と叫べたのが最高だった。
いや、まあ作曲家のオタクは、ライブ中も作曲家のオタクだからね。すまんね。

 本編の最後、新曲4曲が披露され始めてから、私自身もWUGというユニットの終わりを実感するようになった。
クニタックの静かできれいな『海そしてシャッター通り』では呆然とするほど歌声に聴き惚れ、恵一の『言葉の結晶』ではサイリウムを持つ手が震えるほどの衝撃を受けた。
秀和の『土曜日のフライト』は元から大好きだった「忘れないで でも上手に忘れて」という歌詞が改めてすごく身に染みて、暁の『さようならのパレード』では、最後のWUGちゃんたちのお辞儀を見て、こみ上げてくるものがあった。
でもここまで何度も泣きそうになったが、それでも泣くことはなかった。

 アンコール。SHIFTから地下鉄ラビリンスとかいう恵一コンボはずるいよ、高まらざるを得ないよ。
少し感傷的になっていた心もすっかり晴れやかになって、また純粋にライブを楽しんでいる自分がいた。

  アンコール最後にTUNAGOを披露し、ライブはダブルアンコールへ。
WUGちゃんたちが、ワグナーに向けての手紙を読み始めた。
その中であるメンバーの言葉を聴き、私の涙腺がついに崩壊した。
それは、あいちゃんの「今気付かれなくてもいい」という言葉だった。
「今気付かれなくてもいい」。この言葉を、今生で聴くことができた。
そう思うと涙が止まらなくなった。
私は2年前にWUGに気付いた。でも気付いたままだった。
最後の勇姿を見ないままWUGとさようならする可能性も十分あった。
そんな私にとって、「今気付かれなくてもいい」という言葉はすごく重く響いた。
これは、あいちゃんが伝えようと思っていたことからは少しずれているかもしれない。
そう思う自分もいたが、「今ここにいられて良かった」という思いがあふれて涙が止まることはなかった。

 だが全体を通して振り返ると、「WUGのライブ、楽しいな〜!」という感情の方が大きかった。
FINAL LIVEが初めて生で見たWUGのライブだったからというのが、やはり理由としてはある。
2回目のタチアガレ!はもちろん、Polarisですらなんだか楽しかった。
このnoteを書いている今も、「ライブ楽しかったな」という気持ちが第一に浮かんでくる。
また解散したという実感が私の中にまだないから、ということも要因としてはあると思う。
一晩明けたらオンオン泣いている可能性もあるし、メンバーのブログを見て大号泣してしまう可能性はかなり高い。
でも今は、LINAL LIVEが初ライブだったからこそ抱けたであろうこの「楽しかった」という気持ちを大切にしたい。

最後に

 言い訳になるが、就活などで忙しく結局アニメは見ないままFINAL LIVEに参加した。
先述の通り、やっぱり私は「アイドル」ではなく「アイドルソング」が好きなのだろうし、もっと言ってしまえば「アイドルアニメ」はそんなに好きではない。
他コンテンツの話にはなるが、現にデレアニは一応完走したものの正直あまり刺さらなかったし、そういった経緯もあってアニマスはまだ見られていない。
そんな言い訳をして、「いつか見るから」と言いつつ、これからも元々好きなラブコメやギャグ作品ばかり見てしまうのだろう。
ライブを見て心が動かなかったのか。アニメを見たいと思わなかったのか。ごもっともな言い分だ。
だからやっぱり私は、自分を「ワグナー」と自称することはできないし、しちゃいけないとも思う。
それでも、WUGのFINAL LIVEは、これからも私の心に一生残り続ける。
これだけは確信を持って言いたい。

 気が付いたら4300字も書いてしまっていた。
こんなnoteを最後まで読んでくださったみなさま、本当にありがとうございます。
そしてWake Up, Girls!に関わってきた全てのみなさま。
私の人生を豊かにしてくれて、ありがとう。

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