僕たちは広告業界をこう変える

今日Vync(ビンク)という動画や画像などのクリエイティブ制作を効率化する製品をリリースしました。それに先立ち、半年前から検証利用していた電通社でもその効果が実証され、先月から正式導入をしていただいています。

Vyncはシンプルに言えば、動画などのクリエイティブ制作における人と人のやり取りを効率化できる製品です。素材のやり取りや、プレビュー、チェックなどがクラウド上でできるので非同期のコミュニケーションが可能になり、これによって対面での会議や待ち時間を無くすことができます。そこで生まれた時間でもっと人にしかできないクリエイティブな仕事をやろう!というのがVyncのコンセプトです。

このVyncという製品、それから僕らViibar社が生まれた原点は、10年ほど前、僕がテレビの制作会社に勤めていた時まで遡ります。

当時、ドキュメンタリー番組のアシスタントディレクター、その後ディレクターとして働いていた僕はマジで非効率な環境で働いていました。

まずアシスタントディレクターは膨大な撮影素材からディレクターが編集しやすいように一字一句セリフを書き留める作業(テロップ起こしと呼ばれていました)から始まります。一字一句ですから正確に記さなければいけないので、早送りはできません。したがって、撮影時間と全く同じ時間がかかるわけです。ドキュメンタリーでは(バラエティでもリアルバラエティなどは同じ)膨大な時間カメラを回しますので、この作業だけでまず間違いなく寝る時間がなくなります。

そうやって、苦労して起こしたテロップをディレクターに渡すとディレクターがセリフだけでまずはざっくりと編集を行います。その下書きに従って、アシスタントディレクターはガチャガチャとでかいテープ編集機で(!)粗い編集をつなぎます。完成後、ディレクターにチェックしてもらうのですが、肝心のディレクターが中々オフィスに戻ってこない。オフィスに戻ってくるまで数時間(あるいは深夜戻ってくることもザラ)意味のわからない待機時間が発生します。

と、終始このようにストレスのかかる非効率なタスクに満ち溢れている環境でした。(あくまで当時ということですので、だいぶ環境も変わっているかと思います)

人を楽しませる、感動させることのできる番組づくりは非常にやり甲斐のある仕事でした。だからこそ、純粋に番組を作ることにもっと集中したいと強く思いました。ただタスクに忙殺されるのではなく、よりクリエイティブな仕事に集中したい。

その想いは、その後、楽天というインターネット企業に転職をしてその生産的な働き方を経験することで、自分の手でそういった効率的な環境をつくりたいという想いに変わっていきました。

そして2013年、楽天を辞めて映像業界の非効率を解消すべくViibar社を創業しました。最初はクラウドソーシングの仕組みで仲介の仕組みをより良くしようというトライをしてきました。ただ、なかなか動画という高単価で複雑なアウトプットをマッチングのみで完結するのは難しくピボットして誕生した製品がこのVyncです。

Vyncには、当時のテレビ業界で僕が感じた憤りに対する答えが色濃く反映されています。例えばスクリーン機能なんて当時使えれば、ディレクターを待っていたあの数時間を使い、僕はデートに行くか、サウナに行くかできたのでしょう。そうすればQOLが上がり、よりクリエイティブワークに精を出せていたかもしれません。

そうこうしているうちに、広告業界で悲しい事件が起きました。世間は特定の会社を徹底的にバッシングしました。僕はその時に強い違和感を感じたことを覚えています。

事件の背景について詳しくはわかりませんが、こういった事件が起きたのは特定の会社だけでの問題だけではなく、業界全体(それは広告業界だけでなくメディア業界などを含む)の構造の問題でもあると感じていたからです。
その構造の金属疲労がいよいよデジタルシフトの大波によってむき出しにさせられたのではないかと。

その時から改めて「持続可能性」というキーワードが自分の頭の中にこびり付くようになりました。僕らの会社だけが効率的な働き方ができていても、意味がない。業界全体の働き方をアップデートできてこそ、10年前の自分のモヤモヤに答えられるんだと。そうしてやっと、若い才能ある人たちが持続的に活躍できる場になるんだと。

クリエイティブ産業が最も大切にしている「人の心を動かす」ということと効率性が相性が悪いことは僕らも十分理解しています。ユーザーはAIがつくった動画で感動はしないでしょう。(例えばそれはAIやロボット同士のサッカーよりも生身の人間のそれが観たいと人が思うように)

だからこそ僕らは、人は「人の心を動かす」ための仕事に集中し、それ以外の領域を徹底的に効率化することが筋が良いと考えています。テクノロジーと人のクリエイティビティの共存、これが僕らがVyncで実現したい広告業界のアップデートです。

今後、広告業界、放送業界は大きなデジタルシフトの波に突入していきます。インターネットが個人をエンパワメントしたように、このデジタルシフトによってコミュニケーションはマスからより特定の「ひとり」を意識したものに変貌を求められます。それに連れて求められるコンテンツの量も圧倒的に増えていきます。その時に、人にしわ寄せがいかない仕組みをつくれるか。

Vyncは僕たちならではのアプローチです。これだけで変えられるとは思っていません。それでも僕が大好きな「人の心を動かす」ことのできるクリエイティブ産業を今後も持続可能なものにすべく、新しい働き方のスタンダードを支えられるように頑張っていきたいと思っています。

また僕ら一社だけで何かができるとも思っていません。

「動画を産業にする」という僕らだけでは到底辿り着けないビジョンを色々な会社さんを巻き込み力を合わせてつくっていきますので、引き続き応援をよろしくお願いします。

最後に、一緒に新しい働き方のスタンダードをつくるエンジニアを絶賛募集していますので興味のある方はこちらからぜひ。

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Yuta Kamisaka

ViibarのFounder & CEO。ドキュメンタリー番組づくりと楽天を経てViibar創業。bouncy、Vyncなど。
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