創業5年を迎えて5年前の自分にこれだけは言っておきたい8つのこと

Viibarという動画スタートアップを創業して昨日でちょうど5年が経ちました。企業の5年生存率が15%と言われている中ここまで生き延びてこられたことに、Viibarに関わる全ての方々に感謝の気持ちで一杯です。

なんとか毎年成長を続けてこられて、4人で始めた会社も100人を超える規模にまでなりました。創業当初Viibarという社名に込めた「動画を通じて人と人が繋がる場をつくる」ということも徐々に実現できています。

ただ、これまでの道のりは決して平坦ではありませんでした。むしろハードシングスの連続、凸凹の荒地をアクセルべた踏みで走ってきた感じです。なので、沢山パンクしたり落とし穴にはまってきました。

ちょうど5年というキリの良い節目でもあるので、自分の備忘録も兼ねて、5年前楽天を辞めて意気揚々と起業した当時の自分に、老婆心ながら言っておきたいことを8つにまとめてみました。

起業は全てスマートにやる必要もないですし、試行錯誤も含めて楽めばいいと思っています。それでも事前に回避できる落とし穴があれば知っておきたいのも人の性かと思います。まだ何も成し遂げていない自分が言うのもおこがましいのですが、当時の僕と同じように、まさに今起業しようという人、これから起業を考えている人にとって少しでも参考になることがあれば嬉しいです。

それから念のためですが、ここで話すことが正解というわけじゃありません。野球のピッチャーでも人それぞれの投法があるように、経営スタイルも人によって異なります。ここでは、あくまで僕が5年という歳月で体当たりで学び取ってきたことをまとめています。

1. 市場選びを間違えない

これはとても重要です。身も蓋もないですが市場選びで成長角度がほとんど決まると思います。市場規模が現時点で大きなところという意味ではなく、これから力強く伸びる市場でやれるかということです。

下の図はViibarが市場に参入したタイミングと市場規模の推移です。

2013年創業当時ほとんど市場がなかったところから、垂直的に2,000億円近い市場が立ち上がりました。この恩恵を受けられたので、手痛い失敗をしたりもたついても、なんとか順調に伸ばしていくことができました。

市場参入のタイミングが早すぎてもダメなのだと思います。動画業界は、それまでも複数回、動画がくる!と言われて結果こなかったので「動画くるくる詐欺」と揶揄されたりしていました。通信環境、デバイス、プラットフォームなどのインフラが成熟してようやく今、本格的に動画がきています。

スタートアップができることは、大きな波がくるところにポジショニングして、その大波に乗る準備をしておくことだと思っています。ちょうどサーフィンで波待ちをしているイメージです。背筋を伸ばしてできる限り遠くのうねりを見極めて、どの地点にどれくらいのサイズの波がやってくるかを予想して、そこにポジショニングする。もちろん波がきても筋トレをサボっていてパドリングが弱く波をつかめなかったらダメです。でも大波は大体セット(連続)で入ってくるので、一度つかめなくてもまた漕ぎ方(やり方)を変えてつかめば問題ありません。

残念なのは、どれだけ最高の準備をしていても波が入ってこないところにポジショニングしては大きな成長角度はつくれないということです。市場選びを間違えないことが重要です。

2. 全てのことから学ぼう

とにかく沢山ハードシングスが起きますw。ベン・ホロウィッツの「HARD THINGS」に書いてあることは綺麗に漏れなく全て起きると思ってください。

もちろん渦中にいると本当にしんどくて、神経が休まらずに夜も寝れない日が続くなんてこともしょっちゅうです。ストレス過多で逃避的になり思考停止に陥りそうな時もあります。ただ、どれだけ大変なことが起きても命を取られるわけではないし、何度でも自分の意思があればやり直しがききます。

もちろんハードシングスを自ら経験したい奇特な人はいないかと思いますが、落とし穴からはいあがることで自己の成長があるのもまた事実なので、この際、その全てを学習の機会とポジティブに捉えて楽しむマインドセットが重要と思います。

やっぱり経営者に限らずこの人凄いなと感じる方は、くぐってきた修羅場の数が違います。そしてそこから学び成長し続ける人が真に強い人なのだと思います。例えば、批判の声や競合からも学ぶところはあります。それくらい謙虚かつ貪欲に、全ての事象から学べると強いです。

3. 弱みを自覚し受け入れ、チームで補完しよう

絶えず機会から学習していくのに重要なのは、自分の弱みを自覚することです。足りない点に自覚的だと学習効率が飛躍的に高まります。

ただ、これがまあ中々できなかった。できているつもりですが、本当の意味で自分で腹落ちできていなかったんですね。

やっぱり世界を変えるぞ!と意気込んで起業するくらいですから、自分はなんでもできるみたいな自己効力感、全能感みたいなものが強い人種だと思うのです、起業家は。でももちろんスーパーマンじゃ全然ないので自分一人で全てできるわけじゃない。

その時に、マジでそれを認めて、周りの人に助けを乞えるか。ここが重要です。僕はこれが途中までできませんでした。弱みを見せられなかった。虚勢を張っていたんですね。それで人と信頼関係が構築できなかった失敗経験があります。

本当に痛い失敗をして学んだことです。自己効力感は大事ですが、自分一人ができる限界を知ることも同様に重要です。

それからは自分は強みの部分にフォーカスをして、それ以外をチームで補完してもらえる体制をつくるようにしました。そして、「自分はここがダメだから、助けてほしい」と率直に言うようにしました。

今の経営チームは弱みも見せあって、その上で補完しあえる最高のチームになってきています。案外、他のメンバーはトップに弱みとか人間っぽいところを見せてほしいと思ってるんですよね。なので、弱みもさらけ出して、みんなでカバーし合う強いチームをつくっていけば良いと思います。

4. 時間軸を使い分けよう

大きなビジョンを語りながら目の前の泥臭い数多のことに対応していくのが起業です。その時に時間軸を意識する必要があります。

鳥の目で飛距離のあるビジョンを示しながら、短期的にはどうするかという虫の目を持つ。サイバーエージェントの藤田社長は有望なベンチャー起業家の条件を聞かれ『高尚で壮大な志を掲げつつ、やっていることは手堅い』と答えられていますが、まさにそんな感じです。

未来だけ見ていても目の前の石ころに普通につまづきますし、手前のことだけに捉われて視点が下がってしまってもアップサイドが限定されてしまう。会社で一番飛距離あることを考えられるのはトップなので、やはり意識して長い時間軸で物事を見るように努力しないといけません。

これ正解はないです。いったりきたり。でもそれらは矛盾するわけでなく、時間軸を変えてみると同じことなんだってことを理解しておくとすごい楽です。今目の前で起きている事象も時間軸を伸ばして捉え直すと全く異なる洞察が得られます。変幻自在な自分の物差しを持っておく。自分の物差しがあれば他の人と比較しなくてすみますし、表面的な外的環境の変化に一喜一憂せずにすみます。

5. 人の話は半分くらいに聞こう

起業はその過程で沢山の人を巻き込んでいきます。それにつれて周囲の人から沢山のフィードバックをもらう機会が増えます。その中には大きな気づきをもたらしてくれるものももちろんあります。なので、前述したように謙虚な姿勢で耳が痛いことも傾聴する姿勢は重要です。

一方で、それぞれの人の発言はその人のポジショントークであるという面を割り引いて聞く必要があります。ポジショントークというのはネガティブな意味ではなくて、それぞれの立場や経験からその人固有の色眼鏡をつけている状態で話しているということです。例えば今ここで書いている内容も僕のポジショントークが含まれています。

経験のないうちだと、大先輩の起業家やVCのアドバイスを鵜呑みにしてしまうことがあるかもしれません。みんな基本的には善意に基づいて話をしてくださるので、その中から聞く部分と無視する部分を選り分けるには、冷徹な意思が必要です。

起業のプロセスは答えのない世界です。あくまで第三者の意見は第三者の意見として重要であるのみです。貴重な意見に耳を傾けつつ、取り入れるのは半分程度くらいが心地よいのではないかと思います。

6. 決めるとは捨てること、捨てよう

当たり前に聞こえるけど、難しいのがこれです。判断の材料はあまりない、環境は絶えず変化する、そんな中で大きなトレードオフを伴う意思決定をしていかなければいけません。しかも普通にやっていると、意思決定をしないという決定を無意識的にしている状態に陥ります。決めてないことに気づかないのです。

これはもう意思決定の積み重ねでしか決める力は磨かれないのだと思いますが、決断の結果、どちらが正しかったの正解もわからないので、構造的に意思決定のPDCAって回りづらいんですよね。経営のABテストはできないので。

だから自分では習慣として、何を取るかじゃなくて、「何を捨てるか?」と自分に問いかけるようにしています。他は最悪全部捨ててもいい、あるいは負けてもいいけど、ここれだけは譲れないという選択肢をあぶり出す。

捨てるのは、いろいろハレーションも起きるのでしんどい決断であることが多いです。なので仕組みで、捨てられる決断をできるようにするのが重要だと思います。

同様に、全ての人を幸せにしようと思わないことも重要です。幸せにできる人も絞る。他の人には嫌われてもいいと割り切る。だからバリューやカルチャーが大事になります。こういう会社だからこういうカルチャーにフィットする人は幸せにできるし、そうじゃない人は幸せにできないよと。ミッションビジョンは勝ち筋が定まってからでも遅くないですが、大切にするバリューは早い段階で決めておくと良いと思います。

僕らも本当に強いカルチャーの会社にしていくのはまだまだこれからの道半ばですが、最近ますますカルチャーの重要性を感じています。

7. それでも渇きを潤すのはグロースだけ

色々言ってますが、グロースしてれば大抵のことは気にならなくなります。小手先のパッチワークはまたどこかでぼろが出るので、本質的には事業の力強いグロースが必須です。あとはそのグロースしている実感を醸成していく。

Y CombinatorのSam Altmanは下記のように言ってます。

「モメンタムと成長はスタートアップの生命源だ」
「進捗(新機能、顧客、売上のマイルストン、パートナーシップ等)をドラムビートのように刻み続けろ」

ドラムビート感はすごい大事。起業家の精神衛生はドラムビードで保たれると言っても過言じゃないです。スタートアップは伸びなくなった時にスタートアップではなくなるというのは、感覚としてそうなんだと思います。

8. 楽しもう!

スタートアップは真っ暗な夜の海を地図なしで全速力で航海しているようなものです。何があってもスピードは落とせません。まさに映画『スピード』のように速度を落としたらそこでThe Endです。なので座礁したり、船底に穴が開いたりしまくります。突然嵐に見舞われたり、行く手を阻む障害物が現れたり、その都度それを乗り越えて行く連続です。

船長に求められることも変化していきます。最初4人で筏で乗り出した時と、今の100人が乗る船での自分の役割は変わってきています。またこの先も変わり続けるのだと思います。

そんな中で大切なのは、やっぱり「楽しむ」ことです。そうした困難や変化を楽しむこと。それが何より大事だと思います。いま、希望を持って起業に臨もうとしているそのワクワク感を、絶えず灯し続けることです。トップが楽しんで諦めない限り、必ず成功すると僕は信じています。

最後に

改めて、読み直してみると一丁前に色々と言っていますが、自分もまだ何も成し遂げてないですし、恥ずかしいですね。今も毎日反省の日々の連続ですし。なので、そんなでも起業していけるんだぞ、成長していけるんだぞということを感じていただけたら嬉しいです。

僕が大好きな言葉に、リクルート創業者の江副さんの『自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ』という言葉があります。あえてそれを上書きさせていただき、僕の5年間の総括とさせていただきます。

「自ら修羅場を創り出し、修羅場によって自らを変えよ」

またこれからも試行錯誤しながらですが着実に成長していきたいですし、会社としてもそうやってみんなでずっと成長していきたいと思っています。メンバーが、自分が頑張らなきゃダメだ!と思ってくれる会社にしていきたいです。もしそんな環境に飛び込んでみたいと思っていただいた方は絶賛採用中ですので、こちらからのぞいてみてください。

それでは、いつかこの記事を見直した時に「青いな!」と思えるようにこれからも精進していきたいと思います。

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Yuta Kamisaka

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