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靴選び

 私はおしゃれな靴を持っていない。洋服は好きだが靴にはあまり力を注がない。普段はサンダルか日本の下駄、今のように涼しい時期にはスニーカーが私の定番だ。下駄は履き心地も良いし、見た目も可愛いい、そして鼻緒で変化をつける楽しみもある。本当はマノロ・ブラニクとまではいかなくても華奢なヒールにも憧れるが、上手に歩けなければ意味がない。


 先日、友人と買物に行った祭に、彼女の「元彼」を紹介された。「元彼」と言っても私達は全員女性。プレスの聞いたストライプのシャツにスラックスを清潔に着こなし、綺麗にカットさた髪から「元彼」が一目でおしゃれな人だと思った。友人がミュールを見たいと言うので、特に目当ての物がない私が「元彼」の買物に付き合った。シャツ2枚をチョイスした後、シンプルだけどほんの少し遊び心のある皮靴の前で私達は足を止めた。これほど気に入るのはもはや運命的な出会いと言えよう。「元彼」は早速試着したが、どうにもサイズが合わない。中敷きを入れてもつま先に出来た隙間が歩行を不自然にしてしまう。やはり紳士靴は大きい・・・シャツのように袖を折って調整出来ないから、なかなかお気に入りに出会えないそうだ。

 靴選びは恋人選びに似ていると思う。大きすぎたり、小さかったりすれば違和感を覚えるし、履いていて楽しくない。デザインに惹かれて買っても手持ちの服に合わないこともあれば、長時間履いていると疲れる靴もある。自分に合う1足を見つけるのは意外に難しい・・・迷った末にディスプレイ棚に靴を返した「元彼」を見てそんなことを思った。

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