20231126

前略、美容院に行きまして。

今まで身だしなみには無頓着な方で、数年前に買った庶民向けブランドのヨレヨレになったTシャツをオールシーズン着ていたり、髪も大体2ヶ月に一度、近所の商業施設の中にあるいわゆる“千円カット”で適当に短くしてもらっていたのですが、この度就職することになったのでコレを機に心機一転、脱・オタクファッション(お母さんに買ってもらったフード付きパーカーにジーンズや、よく分からない英文の書いてあるTシャツなどのことを指す)を目指そうと思い、知り合いの働く美容室へ行くことにしました。
というのは建前で、働いている知り合いから「なんか最近、髪長いなとか思わない?」とかいうファミレスに呼び出して自社製品を買わせまくるタイプのメッセージが送られてきて1週間既読無視していたところ大して仲のいい友人も居ないのに『働いている美容室に知り合いを呼びたい』と店長に言ってしまったので、連絡先の1番上にあった僕に声をかけてくれたので行ったというのが真実です。偶然とはいえ、誘ってもらえて嬉しかったので行くことにしました(照)
オタクが就職くらいで急にオシャレに目覚めるワケがない。
あと、交友関係の狭い美容師っているんだ…

なんだかんだで当日、美容室の前。
もう帰りたい。
なんだこれ。
真夏に「冷房が効いた場所から外に出たときのムワ…って感じ、ゲームのラスボスの前と同じ空気感だよね〜笑」みたいなツイートが流れてくることあるけど、比じゃない。
ガラス製の押戸を挟んだ向こうにある異世界。
キラキラした見た目の人たちが大勢集まってるわけではないが、輝いている…
客も従業員もきっと休日は“古着屋めぐり”をして“ライブハウス”で“なんかよくわからん外国の酒”を片手に腕をユラユラさせてるんだろう。そんな見た目をしている。
俺はな、違うんだよ。休日はな“録画したアニメ”を見て、“ソシャゲのログイン”してたら1日が潰れるんだよ。分かるか?
毎週日曜日を友人や恋人と過ごすための時間ではなく、24時間後に更新される少年誌までのインターバルとして過ごしている人間の気持ちが。
自動ドアにしろ。開けられないから。非力なんだよ、僕は。
入口でビクビクしていても何も始まらないので、覚悟を決めて入店。
しれ〜っと入って「いたんだ!?」みたいな感じで店内に居たかったのに、鈴が付いているタイプのドアで惨敗。
チリンチリンてwチリンチリンてwおい


入店してから順番待っている間の記憶がないので割愛。

気づいたら座ってた。髪切るところに。
昔から注文を訊かれるのが苦手で、焼肉屋で「どうされますか?」と訊かれたときには「肉で」と、床屋では「髪を切ってください」と答えるくらいテンパってしまう。
今回も例外ではなく「髪を切ってください」と答えてしまい爆死。
「どんな髪型がいいですか?」と改めて訊かれたので3分くらい美容師のお兄さんからアドバイスを聞いて熟考して出た意見が「ヘルメッポにしてください。昔の。」だ。
僕が店主なら帰している。ウチは遊びでやってんじゃないんだよ。
ふざけて言っているわけじゃなくて当時はテンパっているなりに結構ガチで考えていたし、本当に真面目に答えていた。
でもテンパりすぎてマジでダメだった。
美容師のお兄さんから「最近はマッシュとかウルフとか流行ってるんですけど、お兄さんの毛量だとウルフはちょっと厳しいっすね〜」みたいなことを言われたのが頭の中にあって「マッシュは嫌だ。マッシュは嫌だ。マッシュは嫌だ…」と思いながら答えた結果が、“ややマッシュ”(僕の中で)こと“昔のヘルメッポ”だった。
セルフ組分け帽するな。ていうかその理論だと僕スリザリンじゃん…やった…(スネイプ先生が好きなので)

結局、昔のヘルメッポではなく“おまかせ”で切ってもらうことになった。お兄さん本当にありがとう。

美容室ってめちゃくちゃ髪切人(ばっせつんちゅ)が、話しかけてくれるんですよね。効率だけを重視した千円カットとは大違いだ。
最初こそ、職業だったり天気の話という当たり障りのないクソつまんねえ接客トークだったのですが、昔のヘルメッポ宣言が功を成したのか、ONE PIECEや呪術廻戦などのマンガの話題になり、ちょっと楽しかったです。
美容師さんが「俺、ゲームとかめちゃくちゃやっちゃうんですよね〜徹夜でやっちゃうから遅刻しそうになったりとかもw」みたいなことを言ってきたときは「どうせ、鉄砲バンバン人殺しゲーム(FPS)だろ…」とか思っていたのですが、話を聞いていたら何か違うっぽくて“ポケモン”の話をしてました。
思い返したら“S”とか“B”とか言っていたのですが、あれってポケモンのステータスの話だったんだ。点と点が線で繋がった瞬間でした。
ポケモントレーナーの美容師は居る。それだけでも覚えて帰ってください。

オタクトークに花を咲かせていると散髪は終わりました。
鏡を見ると、スラムダンクの三井寿がまだヤンキーやってた頃の髪型をした僕がいました。
鏡の前にいるのが、三井寿ならばよかったのですが現実は違います。オタク顔とベストマッチをして、異世界おじさんの主人公がそこにいました。
お前“おまかせ”っつったのに“昔のヘルメッポ”に引きずられすぎだろ。

そんなこんなでお会計を済ませ退店。
千円カットでいいなと思いました。草々

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